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第二話 決断と交渉

やっと書けました。書きたいことはたくさんあるのになかなかうまく書き表せないものですねぇ。待っていたと言ってくれる人が一人でもいてくれるととてもうれしいです。

「まず、その協力について詳しく聞かせてくれ」

 用意されていた椅子に腰かけてから膝に肘を置いて重々しく言うオレ。机もあればゲンド〇ポーズでもしたいところではあるが女神サマと向かい合うためには机がないから仕方がない。


 え? ここは二つ返事でYESじゃないのかって?

 無理無理、ふざけんじゃないよ! やっとですよっ!? やっと就職が決まったんですよ!!? なのになんに説明もなしに異世界に行け?

 マジでふざけんなッ!

 オレにはね、家族がいるんですよ? 母さんと妹がいるんですよ。 女手一つでオレを育ててくれた母さんへの恩返しもロクにしていないし、妹も高校を出て社会へと出ようとしているんですよ。まだまだこれから物入りになってくるし、長男坊のオレが頑張らないといかんでしょう。


 普通ならこんな頼み事、即行で断ってさっさとこの部屋を出ている。

 でも、この女神の言う事が全部正しかったらこの世界つまりオレの家族も危ないってことになる。

 正直この自称女神の言うことがどこまで本当の事なのかはオレにはわからない。でもそれでも家族に危険が及ぶと言われれば決して無視することはできない。

 だからこそ話をもっと詳しく聞いて判断したい。


「ではまず、こちらの資料をご覧ください」

 デスクに置いていたクリップボードからプリントを一枚引き抜いてオレに渡してくる自称女神。そのプリントには…



《松田太一》 性別《男性》 年齢《23歳》 職業《運転手》


《身長》 181㎝

《体重》 94㎏

《座高》 87㎝

《血液型》 AB型

           etc.


 うん、オレのカルテだな。あ、前に測った時より背が伸びてる。やっと180㎝の大台に乗ったかぁ。もともと背は高いほうだったけどかなりうれしい。

 そして、ハァ~(ため息) オレ、太ったな。確かに高校を卒業してから柔道をしていないし、学生のころと比べて運動する量も減ったからなぁ。仕方がないけど、とうとう90kg台に乗っちまったかぁ。そういえば学生のころ見えていた腹筋の割れ目が最近見えなくなっていたなぁ。 アハハ! ハァ~~~(ため息)

「まぁ、あなたのカルテですね」

「おい異世界への話はどこに行った」

 いろいろ肩透かしだよ。オレの心配だの葛藤返せや

 これからどんなとんでもないこと聞かされるのか。

 オレはそれをどこまで理解できるのか。理解できたとして納得できるのかとかそれはもういろんな心配と化していたんだよ。マジで肩透かしはやめてくれ。ホントに


「そもそもなんであなたが異世界に行く人間に選ばれたのかという説明をしようかと」

「ごめんなさい。話を続けてください」

 めっちゃ重要な話ってかマジ根本の話じゃん。肩透かしではなかった。よかったよかった

 そもそもなんでオレなのか。確かにオレは体が大きいし厳つい、高校の時にはインターハイに出られるほど柔道で身体を鍛え続けてきた。学校卒業後も肉体労働系のバイトをこなし体力にもそこそこ自信がある。

 でもそれだけだ。

 オレより柔道が強い人なんてインターハイの時にもいっぱいいたし、体力も筋力もオレより上の人なんて探せばいくらでもいるだろうになんでオレなのか。


「ただ単に身体能力が優れていればいいわけではありません。私が求めているのは『極めて健康的』であり『丈夫で回復力が高く』そして『鍛えられた身体』であるものです。

 もちろん、ほかにも様々な条件がありますがまず大前提として求められる条件がこちらになります。この条件を満たしていなければ神の力に耐えることなんてできません」


 健康的で丈夫、そして鍛えられた身体ね。確かにこの条件ならオレはピッタリ当てはまるな。

 あれ? っていうか、ん? 今サラって言ったけど『耐えることができない』?

 え? なに? もしかして『神の力』てかなり危ないもんなの?


「神の力そのものは危険なものではありません。しかし、条件を満たしていない人間に力を無理に与えようとしたらそれだけどうしても多くの負担をかけてしまいますし条件を満たしていても大前提をきちんとクリアしていなければそれだけせっかく与えた神の力も無駄になってしまいます」

 ちょいまち

「無駄になるってどういうことだ? 結局与えているのはいっしょなんだろう? もしかして前提条件に足りていない分だけ与えてくれる力の量も限られてくるのか?」

「いいえ。与える力の量も一緒です。人間に神の力を与えるとき、力はまず第一の器である肉体に伝わり、第二の器である精神に広がりそして最後に第三の器である魂に染み渡ります」

 女神は地球儀を出した時のように手のひらから今度は白い球を出した。

 白い球は大雑把にデフォルメされた人形の形になった。

 デフォルメされた人形の中には黄色の球が、黄色の球の中には赤の球があった。その一つ一つを光らせて女神は説明してくれる。

 うん。かなりわかりやすい。要するにこの白い人間の部分が肉体を現していて、黄色の球が精神、赤い球が魂を現してるのね


「この時最初に力に触れる肉体に問題があるとまずその問題の解決に力が集中してしまいます。例えば腰痛をお持ちの方に力を与えた場合ですとその腰痛は完全に治りますがそれ以外にはあまり効果がない結果にいなってしまいます」

 実際に腰痛をお持ちの方にとってはこれ以上ない効果かもしれないが異世界に行って魔物と戦うって思うと確かにショボい効果だな。


「じゃあ健康体に力を与える場合はどうなるんだ? 今のたとえの結果と比べてどう違うんだよ」

「残念ながら最初はそんなに違いがありません。しかし、レベルが上がりスキルが身に付きステータスが向上するときの伸びしろは比べ物にならないくらい上昇しますし特別なスキルが必要ですが人間が到達できる限界のLv500を超えて成長し続けることができます」

 要するに大器晩成型になって人間の限界を超えて成長し続けてそのうち神でも無視できないほどになるってわけだな。

 あ、もしかして最初はショボいからこそ地球からその世界に行くときに世界に負担がかからないとかあるのかもな…


「第一の器ていう肉体の問題とメリットは分かった。じゃあほかの二つの器に問題がある場合はどうなるんだ?」

 たしか精神と魂だっけ?

「その場合でしたらほかの条件ではじかれるのでそもそも異世界への候補にもなりません

 いくら世界の危機だからといって人格破綻者や魂が悪い意味で子供すぎる人を異世界に行かせるわけにはいきません」

 きっぱりと言い放つ自称女神。

 まぁ、当然と言えば当然の配慮だな。人殺しに快楽を見出すような輩を送り込んでしまえば魔物とかよりもソイツのせいで世界が危機に陥りそうだ。


「次にこちらをご覧ください」

 二枚目のプリントを手渡してくる自称女神。そこには、


《松田太一》

 《武器適正》     《適正数値》     《ランク》

   斧         1202       SS

   槌          971        A

   槍          894        A

   剣          717        B

  ナイフ         590        C


 《魔法適正》     《適正数値》     《ランク》

  土属性        1005        S

  火属性         957        A

  水属性         871        A

  無属性         847        A

  風属性         448        C


 と書かれていた。これってもしかして…

「あなたの武器と魔法の才能を表したものです」

「やっぱりか。つーか、オレって斧の才能があるのか? 全然自覚がないだけど」

 林間学習に行ったときにマキ割りをしたときはあるけどその時は鉈だったしな。アニメとかゲームとかでデカい斧を力強く振るうキャラにはあこがれを抱けるがマジでオレのこれまでの人生に何のかかわりもなかったんだよな。斧…


「自覚はないようですが、実際にあなたには斧の才能があります。それも飛びぬけて天才的な才能があります」

 女神サマは淡々と説明し続ける。なぜかこちらとの距離を徐々に縮めながら


「だってランクSSですよ? ランクSS! 剣の天才と言われ、数多の戦場を駆け抜けながら数千数万の戦いを勝ち続け、生涯負けなしと言われながら没した伝説の剣士『ロイド』。のちの世に『剣の王(マスターオブソード)』や『剣の神(ゴッドオブソード)』と呼ばれ称えられた彼ですらランクはSだったのに」


 落ち着いて。女神サマ落ち着いてくれ

 興奮しているせいか頬が若干赤くなって鼻息も荒くなっているが目つきの悪さもさらに拍車がかかっている。ハッキリ言って子供が泣き出すレベルだからそんなに近づいてこないでほしい。

 頼むから落ち着いてくれよ女神サマ

「あっ…し、失礼しました」

 慌てた様子で誤ってきた自称女神。まぁ、分かってくれたんならそれでいい。それに人間らしさがあってオレはいいと思うよ。仮にも神様にこんなこと言うのも変だと思うけど


 女神を落ち着かせ話を聞くと才能にはそれぞれランクがあり適正数値が200を超えるごとにランクが一つ上がっていくらしい。



 『ランクF』全くの才能なし。数値に至っては0どころかマイナスになるらしい。ちなみにオレにもランクFはあり「弓矢」の才能は全くないらしい。


 『ランクE』も決して才能アリとは言えないがFよりかはマシなものらしい。ちなみにオレの場合は「鎌」の才能がここに分類される。


 『ランクD』『ランクC』までが凡人。努力次第である程度は習得できるがそこまでらしい。オレの場合はナイフのほかに「鎖武器」の才能がここに分類されるらしく鎖鎌とか鎖分銅なんかが該当するとのことだ


 『ランクB』が才能アリ。環境と努力次第でその道のスペシャリストになれる。別に剣道とかしてたわけじゃないんだけど剣の才能があるらしい。それからオレが数年間打ち込んできた柔道の含まれる「体術」の才能はココに分類されるようだ。だったらなぜ渡された書類にはその記載がないのかと言うと「君に体術の才能があること自体は君自身も知ってるでしょ? だから知らない才能の身をかきました」と言われた。

 まぁ、確かに自分でも才能あるとは思ってはいたよ。だってインターハイにもいったんだよ? これで才能がないわけがないじゃん。でもだからこそこの書類に記載がなかったらもしかして自分が痛々しい勘違いしていたのかもと怖くなるからやめてほしい。切実に


 『ランクA』が天才。およそ一万人に一人といわれる才能であり伝説に登場する名のある英雄のほとんどがこのランクを持っているらしい。いや、いきなり「槍」だの「ハンマー」だのの天才だとか言われても何の実感もわかねぇよ。道場の掃除のときの悪ふざけで(ほうき)を槍に見立ててのお遊びと正月の餅つきと日曜大工の時の釘打ちくらいしかそれっぽい動きしたこともないわ


 『ランクS』は天才を超えた天才。英雄の中の英雄、伝説を超えた神話の中に登場する英雄たちでも持っていた者たちでもごくわずかといわれるほど非常に貴重で稀有な才能らしい。ちなみに書類には記載がないがオレには「長柄武器」の才能もあるようでランクはSに該当するらしい。これも記載がない理由は「槍や槌の場合はSランクよりのAランク。斧の場合はまごうこと無きSランク。そして決して才能豊かではない鎌であってもギリギリBランクに届くと武器の種類によってまちまち何です」とのこと。

 要するに長ければそれだけで発揮される才能だから何の武器にもよるかで細かく決めるのが無理なのね


 そして『ランクSS』と続いていくんだが…

 今まではランクSが最上の才能といわれてきたのでランクSSがどれほどなものなのかは女神でもわからないらしい。



 ここまでの話をまとめると、オレは斧のとんでもない天才ってことになる。が、オレはいままで斧に触ったこともないやつだぞ? いきなりそんなこと言われてもピンとこねぇよ。

「あなたはなれます。神話的英雄を超えた斧の大英雄に」

 これ以上ないくらい真剣な表情をして言う自称女神。

 大英雄ねぇ。想像してみる。全身甲冑を身にまとい身の丈ほどの立派な大戦斧を肩に担ぎ真っ赤なマントをたなびかせる自分の姿。


 誰も彼も恐れおののくような強大な敵に一歩も引かずに己の全力をかけて挑み勝利するその姿。物語の英雄。伝説に語られる勇者となった自分の姿


 悪くない。

 いやすごくいい。

 カッコイイ!

 気分が上がるな。


「戦士としての才能もそうですが魔法も才能も飛びぬけています。これも私があなたを選んだ理由です」

 魔法。魔法ねぇ。女神が最初に使っていた水鉄砲を撃ったり風を自在に操る的なやつか。

 土属性の魔法がランクSだったけど土属性って具体的にどんなことができるんだ? オレが見たことがあるマンガやアニメを参考にすると防御に使う魔法が多くあまり戦いに向かない地味な魔法ってイメージなんだけど。


「それに関しては実際に極めてからのお楽しみです」

 勿体つけるように言う女神。その顔は面白そうに微笑んでいた。

 うん。

 とんでもない美人だわ。

「では、そろそろこのあたりで説明を終了させていただきます」

 ちょいまち。

「いやいや、オレって具体的に異世界に行ったら何をすればいいの?」

「ぶっちゃけて言えばモンスターを倒して強くなって多くの人にプラス方向の感情を持たせてください」

 めっちゃざっくりいう女神。

 うん。本当にわかりやすい。


 女神が言うには元々魔物はその世界の負のアルファメスから生まれた生命体でそれらを駆除することで世界から負のアルファメスを減らし、相対的に正のアルファメスを増やすことにもつながるらしい。

 更に倒した魔物から素材を得て強い装備を作ったり、食べ物や衣服に住居などなど用意できるようになることで人々に希望や勇気などのプラスの感情を持たせることで世界の正のアルファメスを増やせばいいらしい。


「アルファメスが良い方向に向かえば向かうほど私たちの干渉がよりしやすくなります。結果として仕事をさぼってどこかに雲隠れしやがったアンチキショーも見つけやすくなり、この地球をはじめとする多くの世界が助かりこの世界『アールピーナ』もより一層豊かな世界になります」

 アールピーナっていうんだ。オレが行く世界。

「あ、もう決めてくださったんですか?」

「まぁ、いくつかの条件付きでいいなら」

 なんかもう驚きすぎて疲れた。もう目が身に心を読まれたとしてもいちいち反応するのもメンドくさくに思えるほどに

 だからもう、腹をくくった。この条件が許されるのなら、異世界に行って精いっぱい生きてみようじゃありませんか。


「その条件とは?」

 神妙な表情で聞いてくる女神。

 かなりわがままな内容だと思うけどこっちも人生がかかっているからね。

 遠慮なく言わせてもらいますよ? 覚悟してくださいね?

「まず、言語をわかるようにしてください。あちらの世界の言葉や文字を一から学ぶ手間を省かせてください」

「そちらでしたらもともと異世界への門を開くときに付与するものなので問題ありません」

 よしよし。まずは一つ目クリア。

 言葉や文字がわからないと何かと不便だからな。オレ、地球でも英語の授業だけは付いていけなかったし多分この年齢(トシ)で言語を一つ丸々全部覚えるなんて心が折れると思うからな。


「オレが行く異世界はアールピーナって言いましたか? その世界はこの地球のゲームの影響を強く受けた世界なんですよね? だったら『鑑定スキル』ってありますか? もし俺が思い描いているようなモノでしたらぜひ欲しいです」

 まんま物の価値を鑑定したり、人や魔物の名前とかレベルがわかったり、自分のステータスがわかったりするスキル。

「ありますね。ちょうど異世界へ送る人への贈り物としていくつかのスキルやアイテムなどを渡すようになっていますのでそのうちの一つはこの『鑑定スキル』にします」

 オッケーオッケー。いいよいいよ。この調子。

 商売するときとか戦略を考える時とかで重宝できそうだからな。鑑定スキル取れるのであればぜひ習得しておきたい。


「いま『いくつかの』っておっしゃいましたよね? あといくつ残っていますか? もしまだ複数残っているようならぜひオレが思い描いているような『アイテムボックス』が欲しいです」

 大きさや数に関係なく無限にものを保管することができて熱いものを保管したら熱いままに冷たいものを保管したら冷たいままにすることができるスキル。

 まぁ、要するに某ネコ型ロボットのポケットみたいなスキルだな

 商売をやるにしても魔物と戦うにしても大量の荷物を持つ手段が欲しい。


「まずスキルのほうですが、こちらのほうは問題ありません。ちょうどリクエスト通りのスキルがありますのでそちらをお渡しします。スキルやアイテムなどの数ですがこちらは要求される条件によって異なりますので断言はできませんがあと3つか4つは大丈夫です」

 よしよし。アイテムボックスもクリアっと。

 これで荷物運搬に関する心配はなくなったな。バカみたいな量の荷物を一人で運ぶとか想像しただけで心折れるよ。どこの奴隷だよ

 荷物運搬用に馬とか用意するにしても今度はその馬用の食べ物や水が必要になり却って荷物が増えていくだけだし金もかかる。

 そう言ったもろもろの問題が解決できたのはありがたい。


「こちらはスキルではないのですが魔法を一つ今すぐに使えるようにしていただけませんか?」

「どの魔法でしょうか?」

「水を出す魔法です」

 意外そうな顔をする女神。おそらく言われるとすれば得意の土属性か火属性の魔法かと思われていたんだろう。

 女神はゲームの影響を強く受けた世界といった。オレはあまりゲームには詳しくないけど中世ヨーロッパ風の世界観のゲームが多いのは知っている。

 歴史的に見て中世ヨーロッパとはかなり飲み水や衛生環境などに問題があったと学校で習っている。

 二階から糞尿を道端に捨てたり、水には体に有害な物質が入っているからと子供にお酒を飲ませたりと今の常識からは考えられない問題があったらしい。

 別にそこまできれい好きってわけでもないけどこんなことがある世界だと思うとせめて毎日の風呂と安心して飲める水が欲しい。

 あと流石に糞尿が捨てられている道は歩きたくないし、そんな道を歩いた靴はすぐにでも洗いたくなると思う。


「それでしたら水属性の魔法の中で最も初球の魔法に『ウォーター』という魔法がありますのでそちらを使えるようにします。あとアイテムボックスに清潔なタオルとセッケン、あと着替えも何着か入れておきましょう。ご自分で選んだものがいいでしょうし、ご自宅で使われているものを直接持って行ってもいいですので直接選んでくださいね」

「ありがとうございます」

 至れり尽くせり。気が利くね。

 つまり自宅にあるオレのシャンプーとかボディソープに洗顔用の石鹸も持ち込める。髭剃り用のカミソリも持っていけるし自分で選んだ着替えも持ち込めるのはありがたい。

 この体格では着られる服も大分少ないし、一着一着が高い。それをまた一から集めなくて済むと言うのは経済的にとても助かるし、一着一着に愛着もあるからありがたい。

 あと持っていけるのであれば家にある防災用の万能ライトとかほしいな。懐中電灯にもラジオにも発電機にもなる優れもの。ウォークマンや携帯にそれらの充電器も持ってきて好きな時に好きな音楽が聞けるようにしたい。


 え? さっきからなんで敬語なのかって? うっさいただの切り替えだ切り替え。ここは交渉、取引だからこっちの態度と言葉使いをそれに合うように切り替えただけだ。

 女神はまだこっちの心を読んでるっぽいけど気にせず続けよ。


「異世界に転移したらどんな場所につくんでしょうか。もし街中だったら騒ぎになりはしませんか? もし危険地帯についてしまうのならある程度の武器と防具が欲しいんですが」

 町中にいきなり人が現れたら兵士とかにつかまりそうだし、出来れば人里の近くの人目につかない場所に出るのが一番だけど。もしそれができないなら丸腰では不安なので何かしらの武器が欲しい。

「あまり強力な装備は無理ですが一般的な『鉄の剣』に『鉄の斧』それから『皮の軽鎧』くらいなら渡せますね。アイテムは回復ポーションに乾パンと干し肉でいいでしょうか」

「装備に関してはそちらで結構でございます。食料に関しては一週間ほどはその食糧だけで生きていけるくらいに入れてください」

 ただで装備がもらえるんだから十分恵まれているし、一週間もあれば一つくらい人里を見つけられるだろうからね。

「わかりました。ほかに何かございますか?」

「う~ん。魔法の練習方法や、スキルの扱い方などを記した本が欲しいですね」

 人里以外についた時のための野宿用の知識も欲しいんだけど

「わかりました、そちらもアイテムボックスに入れておきますね。ほかには何か?」

 トントン拍子で進んでいくな。ま、ありがたいから全然問題ないんだけどね。

 さて、と。まだいくつかの条件があるけど

 これも通るといいな。

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