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第二十三話 狩りと闘争

書き直しました。

 ゴブリンの大群を討伐して大幅にレベルアップ。さらに新しくなった職業や新規取得したスキルなどを慣らすためにもさらに探索を続けた。

「『クリーン』、『クリーン』、『クリーン』、『クリーン』、『クリーン』、『クリーン』、『クリーン』、『クリーン』」

 これでもかと無属性魔法『クリーン』で消臭してから

「これでも臭いが取れ切っているのかわからねぇんだからどんだけだよ。ホントに…」

 一応この魔法は一発でウンコの臭いとかは取れるはずなのにこれだけ必要って…、どんだけゴブリンくさいんだよ…



『ゴブリンの体臭? あれはとてもくさいわよ? ウンチよりも臭いんじゃないかしら?』

 何時ぞや聞いた先生の言葉を思い出しながら何とか自分ではもう臭わないくらいには消臭できたので改めて出発する。

 今まで行ったこともない場所を探すのは怖い。だけどそれ以上に楽しい。ワクワクしてドキドキする。

 だから夢中になって探索を続けた。



 そのおかげでいろんなものを見つけることができた。


 大きな湖。のぞき込むと小さな魚やエビやカニがいる。別に生物学者でもないオレではわからんがこの湖はここいら周辺の魔物の水飲み場になっているはずだ。

 もしもそうなら水の奪い合いやより良い場所を占領しようと争う魔物もいるはず

 魔物を探すのならここで待ち伏せるのも一つの手なのかもしれない。


 怪しい洞穴があった。出入り口付近にたくさんの足跡があったから魔物の住処になっていることは間違いない。足跡の形から察するにゴブリンのように見えるがきっとオレが先ほど討伐したゴブリンの大群とは関係がない。

 なぜ言い切れるのかというと数が合わないからだ

 オレが討伐したゴブリンの大群。あれはもともともっと大きな群れの一部だった。少なくともオレが討伐したハイゴブリンと同じくらいの上位種に引き連れられて相当数が離れていくのが見えていたからまず間違いはない。

 オレが確認しただけでも相当数がいたのに実際にはもっと数がいた可能性もあるんだから余計に洞穴では入りきらないはずだ。

 だからきっと洞穴にいるのはあのゴブリンの大群とは関係のない別のゴブリンの群れの可能性が高い。

 本音を言えば突撃して称号やスキルなどの検証をしたい。でも…

「あの臭いはもうしばらくいいよ」

 もうホント

 あの鼻の曲がりそうな臭いをもう一度浴びる気はないよ。思い出しただけでもまだ自分がくさい気がするもん


 三階建ての建物よりも高い木々が立ち並ぶ場所があった。まるで見えない境界線でもあるかのようにいきなり木々が巨大化している場所があった。本来なら森と表現すべきなのかもしれないけどその場所の周りも全部が森だから「森」という表現はできない。だから「場所」と言わざるを得ないんだがそんな高い木々を悠々と飛び越える巨大な怪鳥がいた。

 しかも怪鳥は一匹や二匹じゃない。十匹前後はいた。

 それぞれが気ままに飛行しながら周囲を飛び回っていた。時折ぶつかりそうになりながら紙一重で回避しつつ各々が気ままに飛びながら周囲へと散っていく。

 よく見ると高い木々のてっぺんに鳥の巣らしきものもあったのでこの高い木々はあの怪鳥たちの縄張りなのだろう。

 あれだけ高い位置にいられたら斧はもちろんほとんどの物理攻撃では絶対に届かないので魔法主力で戦わないと太刀打ちできそうにない。

 そして残念ながらオレにはあれだけの数の巨大な敵を相手取れるような高威力広範囲の魔法はない。残念ながら鑑定スキルも効果範囲外なのかあの怪鳥たちの名前もレベルもわからない以上下手に手出しはできないな。

 幸いなことに怪鳥たちもこちらには気づいていないようだったので急いでその場から離れた。



 いやはやホントに今日だけでも随分歩き回ったもんだ。そしていろんな場所を見ていたけどそんなオレが今見つけた場所がここだ。

 とても大きな木のうろ。樹洞(じゅどう)というのか? もともと幹の太さからして下手な家なら入りそうなほどだったからうろ自体も部屋の一つなら十分入るであろう空間がある。

 そんな部屋に並べられていたのが何かの魔物の卵だった。一つ一つがパイナップルほどの大きさを持つ魔物の卵。

 きっとそれ相応の大きさを持つ魔物はずだがなぜこんなところでほったらかしにされている?

 親個体はどこだ?

 今ここで卵を処分してもよかったがそれだと親の情報も途切れるかもしれない。ここを観察していれば親個体を見つけることができるかもしれないし、そうなれば儲けものだ

「だが燃やす」

 今燃やす。そうなれば異変を察知した親個体が姿を現すだろう。

 あ、でも今鑑定すれば何の魔物卵なのかくらいはわかるかも?



『マーダーマンティスの卵×250』



 お、おぉう。

 マンティス。要するにカマキリの卵だったのね

 それが250個もあると

 うん。虫嫌いが聞けば卒倒しそうな内容だな。しかもマーダー。殺人て…

「直訳で殺人カマキリか? 毒でも持ってるのか?」

 なんか、考えただけで気持ち悪い。でも…

「ゴブリンの臭さよりはましか」

 デカい虫よりもゴブリンの臭さの方が嫌だよな。

 では、レッツ着火ファイヤー♪

「炎よ集え。我が手に集いて礫となり、我が敵を射抜け『ファイヤーボール』」

 打ち出された火球は狙い通りカマキリの卵に命中し、問答無用で焼いていく。

 卵から卵へ燃え広がっていき、樹洞すべてを炎が埋め尽くすように燃え始めると



「ギギギィイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイッッ!!」



 怒り狂った鳴き声が聞こえた。



『マーダーマンティス LV90』



 黒のまだら模様が入った黄色い体を持つカマキリの姿を確認したと同時に斬りかかったオレだが


「攻撃を防がれたのかオレが攻撃を防いだのかどっちなんだろうね。これは…」


 オレとほぼ同時のタイミングでカマキリも攻撃を繰り出していた。まるで血に濡れたように赤い文様が刻まれた鎌。

 その鎌の一撃と斧の一撃がぶつかり合い、拮抗している。だがこっちは両手で斧を振るっているのに対してカマキリは一本の鎌で対抗している。つまりカマキリにはもう一本の鎌がある。

 ここは一旦距離を―



 ゾクリ…ッ!



 飛び退こう賭した瞬間に背筋が凍りそうなほど冷たくなり、中途半端にその場でジャンプする結果になった。

 そのせいでカマキリの鎌で押されて身体が後ろへと下がり、背中に衝撃が走った。

 見るとカマキリの鎌が背後に回されていてもしもあのまま飛び退こうものならオレの首が斬られていただろう。

 その場で中途半端にジャンプしたおかげで首を狙った鎌は背中に当たり、鎧で阻むことができた。だが


「思いっきり捕まったな…ッ!」


 二本の鎌でしっかりと押さえつけられて身動きが取れなくなってきている。きっとこのままではオレはこのカマキリに頭からボリボリと食われることだろう。

 だが食われてたまるかッ!

 負けん気と闘争本能の赴くままにオレは



「ウォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオッッラァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッッッッッ!!!!!」



 吼えた。



 気が付くとまたオレは戦場を俯瞰的視点で見れている。どうやら叫ぶことで一気に意識が集中してスキル『俯瞰の目』が発動したらしい。

 そして俯瞰的に見れるからこそ自分の今の体勢とどんな行動を起こせばこの局面を切り抜けられるのかがわかる。



「『ストーンランス』」

 斧を握っていた手の一つを話し、魔法を使う。

 土属性魔法『ストーンランス』。石の槍を射出するこの魔法で掌から石の槍が生成される。だがその槍は鎌きりの鎌同士の間で挟まり、結果としてオレが脱出できるだけの隙間を創り出した。

 時間にしてほんの数秒。石の槍が時間を作ってくれたので脱出できたがここで離れるわけにはいかない。

 せっかく脱出できたのだから()()()()()()()()()()を斬ることにした。


 もともと二本の鎌で挟むようにしてオレを捉えていたんだ。そのオレが脱出した以上。挟むための力が空回りして脱出したこちらに差しような形で迫ってくる鎌が一本ある。

 だからオレはその鎌の付け根を狙って


「【斬撃】ッ!」

 斧を振り下ろす。


 ほんのわずかの抵抗を残しつつ斬り落とされ、地に堕とされた鎌を確認もせずにオレは更に追い打ちをかけていく。

 斧を振り下ろし、屈んだ体勢を利用して一気にカマキリの懐へと接近し、胴体に斬りかかるがオレの斧は空を切った。


「飛んだか」


 まぁ、カマキリは飛べるんだから魔物でも飛べてもおかしくはない。だが


「バランス悪いだろ」

 なんせ鎌一つが斬り落とされているんだ。いつも飛んでいたとしてもその違和感は尋常ではないはずだ。その証拠にオレの斬撃を躱すために飛びあがったのはよかったがすぐにバランスを崩して落ちつつある。

 カマキリも自分がすぐに飛べなくなることは承知してるのか残った鎌で攻撃を繰り出しているが


「遅ぇよ。魔力よ。我が意に従い見えざる手となって動け『マナハンド』」

 無属性魔法で鎌をつかみ、こちらに引き寄せてからカマキリの顔面に向かって


「【斬撃】」

 斧で叩き割った。





















 カマキリを討伐するとまた一つレベルアップした。が

「どうやらやりすぎたらしい…」

 樹洞を燃やした炎が思いのほか燃え上がったせいかオレがカマキリを討伐したのを皮切りに辺り一帯に魔物が押し寄せてきた。



『ソルジャーアント LV65~90』×30



『ウォーアント LV75~95』×10



『ナイトアントLV80~90』×3



『アントコマンダー LV45』



 一番小さくともゴブリンよりもやや高い位の体高を持つ蟻の群れが現れた。



『ポイズンアナコンダ LV75』



 人間と変わらないくらいの胴回りを持つ全身まだら模様の蛇が現れた。

 ほかにもオークにワームまで現れた。もうここまででも十分以上なのに最後に現れたのは



「ガァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!」



『オーガバーバリアン LV100』



 コイツだった。

 オーガ、忘れもしない赤鬼。

 ついこの前、オレが牛娘のリナと出会った時に遭遇した魔物のオーガ。

 そのオーガの上位種が今オレの目の前にいる。

 鑑定結果からして上位種であることに疑いはない。そしてそれは見た目からも明らかだ

 あの時のオーガよりも頭一つ分は大きい体躯。

 その体躯の限界ギリギリまで詰め込まれた筋肉。

 そしてその筋肉を覆うのはクマの毛皮。

 さらにそんな剛腕を生かせるような剣が二振り握られている。


 明らかにこの前の赤鬼よりも格上。

 そんな鬼が一匹だけでなくほかにも複数の魔物がいてこちらにはリナのような協力者もいない。

 普通に考えなくても逃げの一択。

 それ以外ないんだが…


「逃げたくねぇ…ッ!」


 逃げるべきなのは十分わかってる。

 でも逃げたくない。だってあの鬼を殺せるのならオレは…


「あの赤鬼を超えられた何よりの証拠になるんだから…」


 後悔している。

 あの赤鬼との決着がつけられなかったことが悔しくてしょうがない。もうどこか死んでるんだからオレとは縁がなかったんだ。諦めよう。

 何度もそう思った。

 でもホントは…


 あの赤鬼をちゃんと退治して自分が強くなったことの証拠にしたかった。

 そんな思いが消えなかった。

 だから…

「オレは今から馬鹿になる」

 どうせもうこれだけの数の魔物がいて逃げることも困難なんだ。だったら今目の前にいる魔物を皆殺しにして悠々と家に帰ってやる…ッ!

 オレはそんな決意を固めるためにひときわ大きな声で咆哮を上げた。





















 オレの咆哮に真っ先に反応したのはワームだった。要するにバカでかいミミズ。見たところ目玉がないため音で周囲の状況を確認してる様子。

 そんなワームにとって火災恩を鳴り響かせ、突然咆哮を上げるオレは目障り以外の何物でもなく一刻も早く殺したかったのだろう。

 いったん身体を縮めたと思えば猛烈な勢いで迫ってきている。


 普通であれば目の前に迫ってきている化け物の口に恐れおののくことだろう。だがオレはスキル『俯瞰の目』のおかげで自分を含めた周囲の状況を事細かに観察できてる。

 だからわかる。

 オレが次に繰り出すべき攻撃が


「炎よ滾れ。煌々と輝き、死と再生をもたらす赤き炎よ。我が意思を聞き届けよ。我が求めるは我が敵を打ち滅ぼす炎の鉄槌。我が意思を聞き届けたなら答えよ。我手に集いて我が敵に滅びを与えよ『バーニングブラスト』ッ!」


 以前は両手で放つ必要があった炎のビーム。今では片手で十分放てた。

 放たれた魔法はオレの狙いを寸分も違わずになぞり、ワームの口の中に命中した。

 突然生きながら身体の中から炎で焼かれる痛みにワームはのたうち回り、身をよぎって暴れまわるがそんなワームにオレは斧を振り下ろし止めを刺した。



 次はオーク。

 身体の中から焼かれたワームが美味そうにでも見えたのか涎を出しながらこちらに迫ってくるオークが棍棒を振りかざすのでオレは新しい盾を使って受け流した。


 盾越しに伝わってくるオークの膂力。うん。これなら赤鬼の方が強かったな

 盾に衝撃が伝わってきた時から流し始める。

 川を流れる木の葉が水面から顔を出す岩石をヒラリはらりと躱す様に相手の膂力に逆らわずに、されどその力の流れをほんのわずかに変えつつ受け流す。


 渾身の力で繰り出したであろう攻撃を流されてオークは大きく体勢を崩してたたらを踏む。


 そんなオークの隙だらけな脳天にオレは斧を振り下ろした。

 だがオークはしぶとく一撃では死ななかったらしい。全身を痙攣(けいれん)させながらオレの斧をつかもうとするオークに驚きはした。

 だが


「それならこれで終いだ。【唐竹割り】」

 肘と手首の反動を生かして一息にオークにめり込んでいた斧を引き抜いてそのまま闘技(アーツ)を乗せて放った。

 ただでさえ斧の一撃がめり込んでいたオークの脳天はついにカチ割られ、鎖骨くらいまで一気に斬り裂けた。



 オークを仕留めたのを見計らったように今度は毒蛇が攻めてきた。

 木々を伝わってオレの頭上から大口を開けて迫ってくる。

 普通であれば不意打ちを食らうのだろうがオレはスキル『俯瞰の目』のおかげで見えている。だから問題ない。とは言えない


 オークの止めを優先させたからさすがに魔法や闘技(アーツ)が間に合わない。だからここは変に意地を張らずに下がるべき

 そう判断して下がったオレだが逃がさないと言わんばかりに毒蛇が毒液を吐きかけてきた。水鉄砲か何かのように浅い弧を描くように吐きかけられた毒液が風に散らされてほんのわずかにオレに付着する。

 オレは一瞬だけ動揺するが特に何の影響もない。遅効性の毒の可能性もあるが効果が表れるまでに時間があるのならありがたい。

 すぐに解毒薬を口に含みつつ毒蛇や周囲の様子を確認する。


 今のところオレに向かってきてるのは毒蛇だけ

 ほかのオーガやアントはそれぞれ様子見のようだ。

 オーガは腕組みをしながらこちらの様子を見ている。オレの手のうちでも探っているのだろう。

 アントは頭目らしいアントコマンダーとやらが一声鳴くとどこからともなく現れた別のアリがオレが仕留めたワームの死骸をどこかに運ぼうとしている。

 多分自分たちの巣であろう。つまりあのありをびこうできればアリの巣(次の狩場)が見つかるかもしれないわけだ。


 非常に興味がそそられるものがあったが今は置いておこう。うん

 毒蛇はオレが毒の影響を受けていないのが驚きなのか仕掛け来ない。

 毒蛇の様子から察するにオレが喰らったのは即効性の毒。本来ならもう何かしらの影響が出ているはずの者なのにオレには効いていない。その理由はおそらく



《健康体》・・・この世に生を受けてから20年以上無病息災であり続けた者が持つユニークスキル。全状態異常に対して極めて強い耐性を持つ。病気等にはほとんどかからなくなり訓練が必ず血肉になる。あまりに条件が厳しく保持者がほとんど存在しなかったため効果の詳細は不明。



 コイツのおかげだ。

 わざわざ好き好んで毒を食うわけもないので一体どれほどの耐性を持っているのか知らなかったのだがこの毒蛇くらいの毒であればほとんど無効化できるくらいには耐性が高いらしい。

 そこにさらに先生謹製の解毒ポーションも飲んだから余計に効かないのだろう。


 もちろんわざわざそんなことを説明してやるつもりもないので


「大地よ貫け。我求めるは我が敵を貫く大地の槍。我が意に従い我が求むる場に大地の穂先を突き出せ。『グランドランス』」

 土属性魔法で串刺しにしてやった。



 毒蛇はすぐに止めを刺さなくとももうすぐ死ぬ。

 そう判断してオレはワームやオークの死骸を運ぼうとしているアントの群れに突撃した。ついでに運んでいるアントを鑑定しておく。



『ワークアント LV30~32』×10



 ワーク。要するに働きアリの魔物か?

 レベルが低いところから察するにマジで運搬用に呼ばれただけで戦力としては感情に入れられていないと見た。

 だがそんな魔物でも討伐すれば経験値も素材も手に入ることには変わりないのでまずはこの場から離脱しようとしている働きアリに狙いを定めた。


 アリの頭目のアントコマンダーがオレの狙いに気づいたようですぐに配下を護衛に就けようとしているようだがもう遅い。

「大地よ起き上がれ。我が求めるは我が敵の行く手を阻む岩壁なり『ロックウォール』」

 まずは土属性でワークアントの進行方向を塞いだ。

 ワークアントが迂回すべきか乗り越えるべきかそれとも運んでいる餌をあきらめて逃げるべきかを考えてるであろう間にオレはワークアントたちの追いつき、斧を存分に振るって一体残らず仕留めた。


 そんなオレに怒り狂っているアントコマンダーが一声鳴いてアントの集団がこちらに責めてきた。

 まず近づいてきたのはソルジャーアント。ついさっき仕留めたワークアントと比べて外殻と大あごが発達していて少々厳つい印象を受けるアリが30匹一気に突っ込んできている。

 なるほど確かにあれだけ一気に来るのであれば斧でイチイチ斬っていても手が追い付かないし、ソルジャーアントの外殻がどれほどの硬度なのかもわからない現状では接近戦は非合理的だ。

 下手をすればあの大あごで足をかみ切られるかもしれない。


 でもだったら接近戦をしなければいいだけの話。

「大地よ穿て。我が求めるは汝の窪み。我に相対す愚か者を落とし、汝への供物をささげる穴なり。『ピットホール』」

 土属性魔法で落とし穴を作った。ちょうど今ソルジャーアントたちがいる場所で落とし穴を作ったので大半のソルジャーアントが穴に落ちる。それでも多少は落ちずにこちらに向かってくるがそんな奴はほんの数匹だ。

「十分斧で対処できる」

 そしていくら穴に堕とそうが放っておけばいずれは穴から這い出てくるので斧で残りのソルジャーアントを切り捨てつつ

「炎よ燃え上がれ。我が魔力と我がささげる供物をもって存分に歌い踊るがいい。『フレア』」

 火属性魔法で燃やした。

 ソルジャーアントの断末魔の声が聞こえる。だがそんな声を気にしていられない。すぐに上位種たちとの戦闘が起こる。



 起こらなかった。

 オレが次の戦闘に備えるともうアントコマンダーが残りのアリたちを引き連れて戦場を離脱していた。

 ワークアントが始末されて怒っていたのはホントなんだろう。だがその怒りをすぐに飲み込む、いや、その怒りすらも利用してより多くの群れが生き残れるように動いたんだ。


「厄介だな…」

 生存戦略を考えればそれが正しい。

 オレが見たところアントコマンダーが率いていた群れは確かに手強くはある。だがオレが単独でも十分全滅させられる可能性がある範囲だった。

 わざわざ自分の配下たちを全滅させるような奴は無能。敵を討ち取れる可能性よりも全滅してしまう可能性があるのであれば逃げてしまうのが最善。そんなことは平和な日本で生まれ育ったオレでもわかる。

 それをやっただけなんだろうがそれができる奴が群れを率いてる以上。中々滅びないし、着実に力をつけてくるだろう。もしかしたら次はもっともっと大きく強い部下をたくさん引き連れてオレの前に姿を現すかもしれない。

 そう考えると身が引き締まる思いだった。



 アントたちとの戦闘で身が引き締まる思いだったがもっと引き締める必要がありそうだ。


「ふっふっふっふっふっふっふっふっふっふっふっふっふっふっふっふっふっふっふっふっふっふっふ」


 笑ってやがる。

 最後に残った魔物。オーガバーバリアンが

4月13日に書き直し更新完了。本日中にまた更新予定

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