第一話 説明
やっと書けました。指導のほどよろしくお願いします!!!!!
「は? え? どういうこと?」
オレ、松田太一は目の前の状況がいまいち理解できなかった。オレは普通の健康診断を普通の病院で受けていたはずだ。
特別にぎわっているところも見たことはないが、寂れた印象も与えない。清潔感のある病院、たれ目が印象的な看護婦さんがにこやかに対応してくれる受付、白髪交じりで人相のいい50代半ばごろの恰幅のいい先生をはじめとするいろんな先生。
決して名医を言われるような医師ではないかもしれずとも己の責務を全うしようとするお医者様方が勤務しておられる病院でオレは診察を受けていたはずだ。
そんな病院でオレは今、診察室の扉を開けたはずだ。決して某国民的バトルマンガの修行場所の扉を開けた覚えはないぞ。
しかし、見れば見るほど真っ白で何もない空間。
上下左右そして前にもなにもない、ただ真っ白な空間が広がっている。一体どこまでが床でどこからが壁なのかもわからないほどに真っ白で遠近感がおかしくなりそうな空間だ。
唯一の救いは後ろにはオレが今までいた受付前のソファーがあり、そのソファーの後ろにはオレが生活していた街並みの景色が広がっている。
あ、今信号の色が変わった。車道の信号機が青になって一気に車が発信していく様子が見える。衝突を避けるために一呼吸開けてから発進する奴もいれば前の車が発信したタイミングに合わせて一呼吸も置くことなく発進したバカもいる。
運転テクニック自慢か自信の現れかは知らないが危ない行為には変わりない。自身の運転で自分はもちろん他人の人生すら捻じ曲げかねない。そんなこともわからないようなバカは自損事故でも起こして捕まればいいのに…
なんて現実逃避をしつつ改めて俺は扉の先の空間に視線を向ける。
本当に真っ白な空間だ。どこまでが床でどこからが壁でどこら辺からが天井なのかもわからない、長くいれば時間の感覚がおかしくなりそうだ。
「ま、この扉がある分ほかよりマシか」
藍色の扉を触りながら独り言ちる。
「あのぉ、すみません。ここ診察室であっていますよね?」
扉から顔を出し受付に尋ねるが、さっきまでいたはずの看護婦さんがいない。別の仕事に行ったのかもしれない。
いや、このタイミングでいないとかなんかの陰謀的なものを感じるんだが。
オレは腹をくくり、備え付けのスリッパをはいた足を進める。一歩二歩と歩いたが本当に何もない、診察室にあったはずの机も椅子も人体模型も診察台もない。ただ白い空間が目の前に広々とひろがっていた。
「つーか、どこまでが床でどこからが壁だよ」
ふと頭をよぎった疑問の答えを確かめるために履いていたスリッパを「オッラァア!」思いっきり蹴り飛ばした。みるみるうちにスリッパが小さくなっていくがぶつからない。まだぶつからない。まだ壁にぶつからない。そのうち床を転がり止まった。大体10mはいったか?
真っ白な空間の一点にほんの小さなスリッパがコロンと転がっているこの光景は下手をすれば人形用のスリッパと間違えてしまいそうで実に距離感が狂うな。うん
「いやいや、絶対変だろうこれは!」
思わず突っ込みを入れてしまった。しかし、本当におかしいことだぞこれは、この病院はビルになっていて、1Fは薬局、2Fは受付と診察室、3Fは整形科、4Fは歯科、5Fは小児科等など多くの病院が一つになっている作りになっていて一階の広さはそこまではない。
それぞれの医師と看護婦さん含めて4,5人ほどのスタッフが動き回っているのが受付のカウンター越しに見えているほどだ。この病院の隣はそれぞれ駐車場と学生塾になっていたはずだ。さすがに10m以上はあると思うが少なくともオレが記憶している診察室はここまで広くなかったはずだ。
オレの記憶通りであればこの診察室の隣は駐車場になっていて病院の壁をぶち抜いてスリッパが2Fから落ちて車の屋根にでも落ちているはずだ。
とりあえず、飛ばしたスリッパをはき直しに行こう。と片足ケンケンをしながらスリッパをはき直して改めて考える。これは物理的にあり得ない事だ。片足ケンケンである程度の距離は測れる。歩数から考えてほんの8mほどもないな。
だがそれでも外側から見える建物の形状から考えてそこまで距離があるとは思えない。それはまず間違いない。だったらどうするか。
ケータイで警察でもよぶ? なんて言えばいいんだ? 「病院の診察室が『精神と〇の間』になっちゃいました」 うん、ただの頭おかしい人だよね。まず却下、受付まで戻って看護婦さんが戻ってくるのを待つ? 看護婦さんに何ができるの? OK落ち着け、落ち着くんだオレ。
考えれば考えるほどどんな行動を起こさばいいのかわからなくなるがとにかくこんな状況自分一人でどうにかするのは絶対にムリ。とにかく人を呼ぼう。この部屋を見せれば頭のおかしいやつとは思われないはずだ。自分一人ではどうにもできなくとも、自分以外のだけかならどうにかできる…はず?
よし、とりあえず今自分がやるべきことは決まったな。さて、さっそく行動開始しよう。
「あー、ちょっといいですか?」
女性の声だ。しかし、ずいぶん近くでいやすぐそばで聞こえたぞ。
反射的に飛びのいて振り返ると、
「あー、うんごめん。驚かせちゃったね」
ついさっきまで確かになかったはずのオフィスデスクに書類が多く積み上げ、事務用の椅子に腰かけているくすんだ青色の髪にキツイ、いや目つきが悪く目の下には濃いクマが浮かんでいる白衣を着た女性がいた。
「とりあえずここ座って?」
疲れた声で自分のすぐ近くにある丸椅子を指す女性、その手にはボードがあり何枚かのプリントが挟まれている。
まさか、オレのカルテか? 恐る恐るさされた椅子に腰かける。だって座れって言われたし、ほかに何をすればいいのかもわからないし…
なんて誰に言ってるのかもわからない言葉を心の中でつぶやきながら椅子の座り心地を確かめる。うん。普通の椅子だ。「え~と、まず言うけど」女性はオレに向き直りそう前置きに行って、
「私は神よ」
早速ぶち込んできたなぁこの人。
神、この科学の21世紀で神ですかぁ。そうですかぁ。今の時代人前で堂々と自分は神であるなんて言うとか中二病か、怪しい宗教か、のぼせ上った企業経営者くらいなもんだ。なんか全体的に疲れた疲労感というか、倦怠感がにじみ出ているような人だし、きっと今自分が何を言っているのかわかってないんだろうなぁ。
なんかクマがすごいし、きっと企業に酷使され続けて頭が疲れ果ててしまったのかも? まぁ、今時ブラック企業なんてどこにでもある。きっとあの手に持つボードには上司に言えと命令された文章化なんか書いてあるに違いない。
かわいそうに…
「うん、なかなか言うね君も」
かすれた笑みを浮かべながら言う女性。
あれ?オレ今口に出していたか?
「いや、隠し事とかが面倒だから君の心を読んだ」
「おいッ! プライバシーの侵害を堂々と真顔で言うな」
思わず語彙を荒げてそう言ったオレは悪くないと思う。
「まぁ、そうなんだけど。手っ取り早く私が神であることを証明することはできたでしょ?」
確かに人の心を読むなんてまず人間にはできないけど、観察力や洞察力がすごくいい人とかなら予測できそう。なんか母さんが昔好きだった某大人気マージャンマンガでもそんなことができる人とか描かれていたし
「疑り深いね、まぁ単純バカよりはいいかな。本当だってほら」
女性はそう言うと指先を上へ向けた。
火の玉が出た。小さいが間違いなく火の玉。大きさは大体五百円玉くらいかな…?
そんな火の玉が噴水のように噴き出した水で火を消した。透明できれいな水。日常的によく見る水が何もないはずの手のひらから噴き出て零れ落ちる。
水が零れ落ちて床に落ちる寸前まるで透明の器にでも溜まっていくかのように球体を成していく水。なんかよく聞くと風の音が聞こえる? 袖や裾に髪の毛が風ではためいていくのを感じながらもボーリングの球ほどの大きさになった水球が音もなく打ちあがり花火のように弾けた。まるで霧雨のように雨粒にもならずに降る水が口の近くに降り注いで来たから舐めとって味を確かめても普通の水だった。うん。これで砂糖水だったりしたらいよいよオレの頭がおかしいことになるね
最後に足元から砂が集まりやがて拳大の石になった。
「…………………………」
「触って確かめてみる?」
指先一つで石を投げよこしてきた。握ってみる。ノックの要領でたたく。叩いた音を聞く。うん。普通の石だ。
「信じてもらえた?」
あー、うん、まぁね。こんなもん見せられると信じざるを得ないよね。まだオレを対象とした大規模ドッキリとかマジックの可能性もないわけではないけどわざわざオレ相手にこんな大掛かりなドッキリを仕掛けてくるような相手にも心当たりがないし…
とりあえず信じてみよう。
「よかった、さっそく本題に入るよ? 松田太一君、異世界に行って」
「なんでやねん」
ラノベか? 楊卓ちゃんと正社員の仕事が決まったのに何で危険そうなことしなくちゃいけないんだよ。ふざけちゃアカンでホンマッ!
「うん、関西弁のツッコミと文句をありがとう。今からそれを説明するから」
女性、いや女神か? 手のひらを上向きにして青白く輝くハンドボールほどの大きさの球を浮かばせていた。もういちいち驚くのも面倒に感じながら球を見ていると。
「うん? これ地球か?」
地理の授業でお世話になった地球儀そのままの図形が描かれていた。
「そう、その通り」
まぁ見てて、と続けると、
「え? なにこれ?」
地球儀は最初の青白い色から目に優しい黄金色と、なんだか濁ったような黒の二色に分かれている。黄金色と、黒の割合はちょうど1対1ってところか?
「これが今の地球の感情、<アルファメス>の力です」
あるふぁめすとはなんぞや?
「地球、この星、この世界の行く末に大きく影響を与える力です。より分かりやすく言うとこの黒い方のエネルギーが負のアルファメスでこれが多すぎると世界が崩壊します。そしてこっちの黄金色の方のエネルギーが正のアルファメスでこれが多くなればなるほど世界がより良い方向へと向かい、繁栄していきます」
あぁそうなんですかぁ。
えっ? 反応がおざなりすぎ? だってしょうがねーじゃん。
いきなり世界の滅亡だの、繁栄だのに大きく関係する力とか言われてもどう反応すればいいのかなんてわかんねぇっつーの。リアクションがオーバーヒートを起こしてしまうっちゅーの!
「今からそのことについて説明します」
あ、はい
「まず、この光り輝いているアルファメスはあなたたちこの世界に生きている人々や動植物たちの『喜び』、『希望』、『友情』、『愛情』といったとても尊く大切な感情の力です。一つ一つとても小さく脆弱なものでも多くが集まると、とても強く優しい力になります。それこそ世界をより良い方向へと導くことさえできてしまうような力に」
女神は地球儀の黄金色に輝いている部分を嬉しそうに大切に慈愛に満ちている表情で見つめている。
最初に感じた目つきが悪いなんて印象がまるで嘘のように感じる。
物語や神話、聖書などに記されている女神とはこんな表情しているのではなかろうか。
思わず見惚れてしまった。
さすがは女神というべきだな。うん。
まぁ、要するにこの金ぴか部分が世界の平和と繁栄に大きく関係しているってことね。
オレが中学の時に友達と一緒にカラオケに行ったり、テスト勉強をした時の友情とか
高校入試に受かった時の喜びとか、柔道インターハイ本選に出場できた興奮と闘争心に試合で勝った時の高揚感と優越感
親や妹に向けている愛情、就職が決まった時の喜びなんかのもこのアルファメスとやらに貢献しているのかな?
「一方この黒く濁っているアルファメスは『悲しみ』、『憎悪』、『絶望』、『復讐心』、『嘲り』といったひどく昏く恐ろしい感情の力、数多く集まると世界に多くの厄災をもたらす力です」
今度はひどく悲しくつらそうな表情を浮かべる女神、さっきの表情が美しかっただけにとても痛々しく切ない表情に見える。
ちょっと、いやかなりバツが悪い。
オレ自身そういった感情に全く心当たりがないわけじゃない。
小学生のころ自分をイジメてきたやつらのことを殺してやりたいほどに憎悪したし、今でも顔も合わせたくないほど大嫌いだ。
中学の時に自分に絡んできた不良相手に怒りに任せて喧嘩した。やれ自分より体が大きいのが気に入らないだの自分の方が強いだのいろいろ言われてホントにめんどくさいし、イライラした。
高校の時にオレのせいで団体戦のメンバーから落ちたと影で嘆いていた先輩を心の中で『お前の努力が足りねぇからだろうが』とひどく見下し嘲笑った。試合に負けて悔しがって泣いている奴にも悪感情を抱いたのも一度や二度じゃない。
正社員の面接に落ちるたびに絶望した。面接のときには「君の履歴とその体格でいまだに正社員じゃないのが信じられない」とか言っていたくせにお祈りメールや手紙を寄越してくる企業に殺意を抱いたこともある。
バイトをしていた時にもいい加減な指示で現場を混乱させる上司経営者たちを心の底から憎み軽蔑した。
そういった感情もこの黒いのの中にあるんだろうなぁ。
なんだかそう考えると自分も共犯な気がして後ろめたい気持ちになる…。
「生き物というものは生まれてから死ぬまでの間に多くの感情を生み出します。正の感情も負の感情も数多くの感情が生まれます。森羅万象のあまねく多くの命が生み出した感情の流れ。それがアルファスです」
「何つーかとんでもなくスケールのでかい話ですねぇ」
今の話でこんな感想しか言えない自分を許してほしい。だってマジハンパなくスケールがデケーんだもん。ついていけねぇって、話はなんとなぁく理解はできたけどさ。ん?
「今も話だと地球にはその世界を導く力と、世界に厄災をもたらす力がなんかちょうど1対1の割合であるそうに見えるんですけどこれって大丈夫なんですか?」
「ええ、大丈夫です。むしろこれが正常値です」
ふーん。そうなんだ。
「普段幸せなところに突然不幸なことが起こると生き物はひどく絶望します」
うんうんそれは確かに
「そしてそれはそのまま逆もしかり、不幸な出来事が続いた後で突然いいことがあると生き物はそれだけで希望を見つけることができます」
うんそれも同感だ。オレも面接に落ち続けたからこそ今回の採用通知には飛びはめるように嬉しかった。
「だからこそ、この『陽』と『陰』のアルファスのバランスがちょうど1対1であるこの状態が最も理想的であるといえます」
なるほど、理解も納得も十分できる説明だ。
「では次にこれを見てください」
女神はそう言うと別の手のひらでさっきの地球儀と同じ青白い球を出したが、今度の球は地球儀のハンドボールクラスの大きさを超え、ボーリング玉ほど、バスケットボールほどさらに風船のように大きく膨らんで最終的にはバランスボールくらいの大きさになった。
「ずいぶんでっかいっすねぇ」
う~ん、我ながらなんと安直な感想。ていうかこれ絶対地球じゃないね。だって地球にはひし形の大陸なんてないもの。
「見ててね?」
女神がそういうとバランスボールも二つのアルファスに分かれたが、
「は? えっ? なにこれ?」
オレは思わず、言うより呆然とつぶやいた。だって黒いアルファスが全体の8割以上ってどういうこと?黄金色のアルファスなんて虫食い状にぽつぽつとあるだけだぞ?
「これがあなたに行ってもらいたい世界です」
「なにこの状況」
女神は深刻そうな表情で言うがオレも嫌な予感がする。女神は確か陽と陰って言ったか? それぞれのアルファスが1対1の割合が理想的だと言っていたがそれだとこの世界は
「はい、絶望的な状況です」
「…まじですか」
そんな世界をオレに救えと? それどんな無理ゲー? 多少格闘技の経験はあるが所詮はそんなもの。とても人々に希望与えられるようなモノではないと思うが
「この世界は地球のいわゆるゲームにちかいものです。レベルがありステータスがありの剣と魔法の世界であり、魔物もいれば勇者や魔王も存在する世界です」
「その勇者にオレがなれと?」
「いえ違います」
ずいぶんバッサリ切るね。少し期待したのに
「実は本来この世界を管理、監視するはずの神が姿をくらませてしまっています」
「おい、それって仕事ほっぽり出して逃げたって事か?」
なんと無責任な
「そのせいでこの世界はフォローすべきところでフォローが間に合わずどうすることもできないレベルにまで悪化しちゃいました。」
「いやだったらあんたがやれよ」
神がやってしまった責任は神が取れや、テヘペロじゃねぇよ。似合っているけども。
「できればそうしたいのですが、神にも誓約があってどんな世界にも即フォローできるわけではないんです」
苦々しい表情でそういった。
「かと言ってこの世界を見捨てることなんてできません」
女神が言うことを要約すると世界は最高創造神が創ったすべての世界の大元、神々が『原初の世界』と呼ぶ世界があり、そこからいろんな世界が派生してさらにその派生した世界からさらに世界が派生し広がっていたらしい。
地球は比較的『原初の世界』に近い古株の派生世界らしくこの異世界は地球から派生した世界らしい。
今でも一番末端の世界は誕生と死滅を繰り返しているらしいが地球クラスやその一つ下の世界がもしもダメになるようなことがあればその下にある数多くの世界がすべて死滅してしまい、地球クラスの世界たちも決して無傷では済まないらしい。
あれ? 世界が滅亡と言うことは…
「はい。数えきれないほどの命が滅亡してしまいます」
「今すぐどうにかしないとじゃんか! じゃあ何? このまま放っておいたら地球も決して無事では済まないってことだろ?。メチャクチャやばいじゃんッ!」
なんでそんなになるまでほっといたんだよ。バカじゃねぇの?
あとそんな重要なことサラリと言ってんじゃねぇよ緊張感ねぇなおいッ!
「その通りです。しかし、我々神が干渉するにも世界にそれだけの負担をかけてしまいます。ましてや私は直接この世界にはかかわってこなかった神です。やはり担当の神が干渉するよりもどうしても負担をかけてしまいますので最悪、干渉した瞬間世界の崩壊が始まってしまうかもしれません」
要するに神であればなんとかできるんだけどできない事情があるのね
「だったらなおさらオレが行ったところでどうにもならないだろう」
しょせんは平和の国日本のしがない新人正社員ですよ?
「確かにただの人間に行かせたところで何の変化も生まれないでしょう。でもあなたに私の、神の力を与えればどうでしょうか、どれだけ力を与えても結局のところ人間の魂では使いこなせる量にも持てる量にも限度があります。結果として私たちが干渉するよりはるかに少ない負担で、世界に変化と改善をもたらすには十分なものになります」
女神はゆっくりと椅子から腰を上げて
「お願いします。どうかご自分の家族のために、この世界のために協力してください」
土下座した
本来ならご立派な教会か神殿か神社で崇められているはずなのにたかが人間のオレに土下座までするとはな。
それだけこの世界が大事ってことか? オレも自分の家族がとても大事だ。女手一つでオレを育ててくれた母さん、生意気ではあるがずっと一緒に育ってきた妹。この二人はオレのこの世でたった一つしかいない、オレの宝物だ
そしてこのままでそんなオレの宝にも被害が及ぶと言うことになる。
つまりオレに出せる答えは…
「まず、その協力について詳しく聞かせてくれ」