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第十五話 本日の訓練終了とお楽しみ

書き直しました。下手をすればこれが2024年最後の投稿になるかもしれません

 あれからオレは先生に説教を受けつつも今日の反省をしていた。

 やはり実戦では一つ一つの戦場が命懸けで勝ち続けねばならず、その疲労を次の戦場に持ち込んではならないんだ。


 非常に厳しい考えだがその通りだ。

 日本の仕事でも同じだった。いくら別の現場や仕事で疲れていようとも一度仕事場に立った以上。プロとして最大限の仕事を求められていた。一度その最大限の仕事をこなしてからさらに別の現場で同じかそれ以上の仕事の出来を求められるのは肉体的にも精神的にも疲労がたまる。


 そんなことを戦場で求められているんだから正気の沙汰ではない。仮にも命のやり取りが行われている戦場でのしかかる負担や疲労は尋常なものではない。そんな負担や疲労を少しも持ち越さずに連続で戦場に立ち続けるなんて無茶にもほどがある。


「でもできなきゃいけないんだよなぁ…」

 死にたくない。

 魔物に殺されたくない。

 闘争の場で負けたくない。

 負けたとしても逃げ切りたい。

 文字にしてしまえばたった数文字。その数たったの50文字にも満たない文字を現実のものにすることすらできなくなる。

 だからやらないといけない。オレにできるのは不安だけどそれでもやるしかないんだ

 言い聞かせるように心の中で何度も何度も念じた



「せっかくメイド服を着てるんだし、久しぶりに腕を振るうわよ~♪」

 上機嫌なところ悪いんだけどさ先生。アンタ口調変わってない?

 キッチンに立って料理を始める先生。つい先ほどまで歴戦の強者の風格を漂わせてオレの至らない点や改善すべき点やそのためにおすすめの鍛錬方法などを教えてくれていた先生と同一人物だとは思えない変わりようだよ。

 メイドを服を着ていた先生が手際よく食事を作り始めた光景を見てオレは慌てた。オレも手伝った方がいいかな? いろんなこと教えてもらって、その上世話まで焼かれちゃあなんか居心地悪いよ。そう思っていたんだが


「松田君はそのまま待っていてね?」

 スグに出来るからと先生。

 まぁ、ありがたいんだよ? 疲れているし、自分だけが食うんなら思いっきり手抜き料理もできたんだけどほかの人、それも先生だとすると手抜き料理なんて作れねぇからな。

 でも、メンドーばかりかけているとなんだか居心地悪いんだよなぁ。

「なにかオレにできることがあればいいんだけどなぁ…」

 小さくつぶやきながらテーブルに突っ伏した。



「ご飯できたよ~♪」

 先生がどんどん皿をテーブルに運んでくる。オレも手伝おうとしたんだがたった一往復で全部運んでしまったようで手伝う間もなかった。

 並べられた料理はオレがさっき討ち取ったデビルプラントが使われている。

 具体的には野菜と肉が入った具だくさんのトマトスープ。

 大根とキュウリと大豆のサラダ。

 塩じゃけ。

 玄米入りご飯。

 以上が献立だ。スープはカボチャと芋がたくさん入っていてごろっと大きめの肉も入っていて実にうまそうだ

 先ほどまで殺し合いをしてきた相手だと思うと箸が重くなるが

「いっただっきまーす♪」

 そんなオレの事なんぞお構いなしに料理を食べ始める先生に毒気が抜かれる。いや、違うな。

 オレの心中を察して自分から率先して見本を見せてくれたんだ。

 自分で獲物をしとめ、自分の生きる糧にする。

 文字にしてしてしまえばなんてことのない普通のこと。オレ達人類が何世代にもわたってやってきた営み。昨今の文明発展に伴って人類それぞれに役割が割り振られて、直接獲物を捌く機会も仕留める機会も失われて久しい原初の文化。

 実に今更な感傷だなと我ながら呆れる。何を気にしてるんだか

 俺が今すべきなのは

「いただきます」

 思いっきりこの料理たちにかぶりつくことだな。



「「ごちそうさまでした」」

 二人そろって食事を終えた。

 感想は一言。

「美味かった」

 これに尽きる。


 まずは玄米入りご飯。これは日本のお米と変わらない。

 米。そう米だ。日本の主食でありこれまで何回食べてきたのかもわからないほどに食べてきたいろんな思い出がある主食の米。普通は白米だけで炊くから玄米の歯ごたえと白米の味が両方味わえるのが新鮮だったが食べられてくると玄米の栄養と白米の味が両方味わえるのが面白い。


 塩じゃけ。残念ながら本物ではない。あくまでこの異世界にいる鮭のような魚の魔物を塩焼きにしている。だがその見た目と味わいは確かに日本でよく食べた塩じゃけに通じるものがあった。唾液を誘う猛烈な塩気に隠れる魚の旨味が亀中むほどに舌の上に広がり、米を掻き込むと円身が抑えられて魚の旨味が際立つ。日本でもよくやったご飯のお供ともいえる組み合わせに思わず涙が出そうになった。


 サラダ。煮られた大豆と細めの短冊切りにされた生の大根とキュウリが盛られたサラダに先生特性のドレッシングをかけて食べた。煮豆は口の中で崩れるほどに軟らかく煮られているのと対照的にシャクリシャクリと適度な歯ごたえがある生の大根とキュウリ。先生のこだわりなのか酢と塩を基本に作られたドレッシングはあっさりしていても野菜の味を引き立てて口の中がさっぱりした。


 そしてメインのトマトスープ。芋はまるでジャガイモのようにホクホクとしていて体の内側からじんわりと熱が広がっていくような感覚が素晴らしい。カボチャはねっとりとした甘さがスープの酸味で引き締められていて全くしつこくなく、濃厚で深いコクを感じられる。スープはトマトの旨味と酸味がよく聞いているのはもちろんいろんな具材の味や旨味も溶け出して深い味わいになっている。そして極めつけがこの一口大の肉。鶏肉のような味わいで肉特有のガツンとした旨味があって食べ応えがあった。


「それはよかったです♪ 地球では絶対に見ない食材ばかりだったしちゃんと食べてくれるか不安だったんだけどこれ以上はないってくらいイッパイ食べてくれて安心した~」

 ほっとした表情で胸をなでおろした先生。

「いや~、ホントに美味しかったですよ。特にスープが美味しかったです」

 流石はメインというべきかほかのメニューと比べても旨味や存在感があった。

 特にあの肉は何の肉だったのか気になる。多分鳥の魔物だと思うんだがどんな魔物なんだ? オレでも討伐出来る魔物なら見つけ出してぜひとも狩りたい。


「あ~。あの肉? フフフフ…」

 先生がなぜかニンマ~といやらしい笑みを浮かべている。なぜだ?

「あのスープに使われたのは君が討伐した蛙の肉よ」

「あぁ。そうなんですね。意外に美味かったですよ」

 蛙の肉ってあんな感じなんだ。テレビでは鶏肉と白身魚の中間のような味と触感だと聞いていたんだが思いのほか鶏肉だったな。

 もっと魚っぽ味なのかと思っていたんだが…


「あれ? もっとリアクションとかないの? カエルの肉よ? 一般家庭ならまず食べないし、まずは嫌悪感とかあると思うけど?」

「ん? あぁ、まぁ、確かに食べる前なら箸が重くなったと思うけど腹も減っていたし、人間を襲う野菜も食べてる上にこれまでも魔物の肉は食べてるんだから今更じゃありません?」

 忘れもしない。この異世界にやってきて初めて食べた肉はオークだった。人間に近い骨格を持つブタ。武器を使える程度には知能もあって人間と交配もできる魔物。

 そんな魔物の肉が出されたときはさすがに戸惑いもした。せめての優しさなのかトンカツにしてくれていたから元々の姿ではなかったので割とすぐに食べることができた。

 ちなみにオークトンカツの味は普通に美味かったです。

「それにもともとオレもあのカエルの肉は食べようと思っていたので別に気はしませんよ?」

 オレが言うと先生はなぜかがっかりしたようにため息を吐いた。


「ちぇ。もっとリアクションがあると思っていたのに残念。君さ、この世界に順応するの早すぎない?」

 ムスッとした表情で言う先生。

「まぁ、オレの場合はもともとこういう世界だとわかったうえで来てますからね」

 別にそこまで重度ではない。でもそれなりにラノベもアニメも楽しんできたオタクのつもりだ。

 小学生の時にキャンプに行ったりもしていてそれなりに行動派でもある。だから異世界に行くとなると普段ではまず口にしないような食べ物を食べることがあることをオレは経験で知っている。

 もともと分別のきく年齢(トシ)ではあるから受け止める心づもりは出来てはいた。

 もちろんいくら頭の中でまとめてもそんなものは『想像』でしかない。実際に経験して改めて見えてくるものもある。

 だがそれもオークトンカツのおかげで十分経験できた。少なくともオレにはあの時の食事でこんな時への心の準備は完了していた。

「それにあのバラエティでカエル肉を使った料理を芸人さん達が食べていくところはよく見てましたから」

「あぁ、あの番組か。私も日本にいたときによく見てたなぁ…」

 懐かしいよ。と視線を宙に向けて思い出に浸る先生をオレはなんとなく眺めた。

 オレは女性芸人がナイル川を昇り始めるところであの番組を見ていた。世界中のお祭りに参加する企画や世界中の温泉を紹介するコーナーも楽しんでいたよ。

 この世界に来る少し前から見なくなっていったけど何が原因だったっけ?



 昼食の片づけを終わらせて修行再開ですっ!

「ではまずは気力を練り上げる訓練から」

「了解です」

 気力を練り上げる訓練。要するに座禅だ。

 胡坐をかくように座り、目を閉じて意識を自分の内部に集中させる。全身の細胞が活性化させること産まれるエネルギーを自分の丹田。へその下あたりに集中させることで気力は練り上げられる。

 ジンワリと温かい熱が産まれてそれが全身へとめぐっていく感覚が生まれ、まるで温泉にでも入ったような心地よさがある。

 実戦では一々意識してはいられない変化。でもこれこそがオレが日本から離れ、異世界にやってきた何よりの証拠

 その事実をかみしめるように練り上げた気力を全身に巡らせてもっと多くの気力が扱えるようになるために訓練に勤しむ。

 次の闘争に備えるために



「はい。次は魔力の練り上げです」

「ハー、ハー…。了解です」

 先生の言葉にオレは呼吸を整えながらうなずいた。気力を練り上げる訓練はいうなれば全身運動しているようなもの。全身の筋肉や骨格のすべてを形作っている細胞から直接エネルギーを生み出しているのだからマラソンや筋トレ以上の疲労をもたらす。特に訓練では自分の限界以上の気力をねん出するために意識を深く集中させる必要もあるので疲労も蓄積される。

 だがそれを乗り越えることで筋トレと同様にオレが扱える気力の総量の増大につながる。

 実際にこの訓練をこなす様になって数日で実感できるほどには気力の量が増えている。

 そして次にやるのは魔力の総量を増やすための訓練。それは…


「はい。また崩れてるよ。やり直し」

「…チクショウ」

 オレは発動させていた魔法を解除した。そのせいで目の前に浮かんでいた水の球が重力に惹かれてバチャバチャと音を立てて零れ落ちる。

 そう。魔力の総量を増やすために訓練。それは体力づくりと同じく限界ギリギリか少し超えるほどに魔力を放出することだ。

 勿論それはただ魔力を放出するだけでもいい。だがそれでは効率が悪いことはもちろん時間がもったいない。どうせやるなら実り多い訓練にすべきだ。

 そこで今オレがやっている訓練は魔力の総量を増やす訓練は無論のこと、それに並行して魔法の制御とそのコントロールを鍛える訓練をしている。

 具体的には水属性初級魔法『ウォーター』を発動させ、現れる水を球状にとどめることをしている。透明な風船に水をたっぷりと入れるイメージでやるとできた。

 一瞬やるのはいいんだけどこれを持続させるのはすごく難しい。まるで片腕で逆立ちするような、難易度の高いヨガのポーズを維持するような難しさがある。

 一瞬でも気を緩めるとすぐに形が乱れて綺麗な球状にならない。

 現在最高記録は21秒。

「まだまだだな…」

「いや、そうでもないわよ?」

 慰めはいいよ。


「いや、慰めとかじゃなくてね? まだまだこの世界に来て数日でしょ? それでこの記録は十分以上に優秀よ?」

「だったら先生は最高記録は何なんですか?」

「丸三日ね。具体的に言えばもう眠気が限界でそこであきらめたのよ」

「慰めじゃねっすか」

 書いて文字の如く吹けば飛ぶ程度の記録に対して何言ってんだか…


「いやいや。アタシ、賢者よ? 書いて文字の如く魔法のスペシャリストで半世紀以上研究と実験を繰り返して己の腕を磨いてきてのこの記録だからね?」

 そう簡単に超えられても困る。とやや怒ったように先生は言う。まぁ、オレと先生じゃ前提条件が違い過ぎるんだから比べることはおこがましくはある。おこがましくはあるんだが

「勿論先生が魔法の第一人者というべき素晴らしい人なのはわかっています。でもこの仕事はそんなすごい人でも成し遂げられなかった文字通りの超大型案件。いつまでも出来ませんでは話にならないのではありませんか?」

 そう。これがオレが焦る理由。

 自分でも笑ってしまいそうだ。初めから困難なことだとわかっていたくせにここ数日で確かな腕の上達を感じたことで逆に自分がどれほど無茶で無謀なことをやろうとしているのかがわかってきて不安に駆られるようになってきたなんてバカにもほどがある。

 でもこれがオレが焦る理由だ。

 ホント、バカみたいだと自分でも思うよ」


「なるほどね。確かにバカな理由かもね」

「あれ? もしかして口に出てました?」

 オレの質問にうなずく先生。

 マジか。頭の中で考えてただけのつもりだったんだが

「でもそれでいいんじゃない?」

「はい?」

 どういうこと?


「自分がやろうとしていることの難しさを思い知って焦る。至って普通で当たり前の事よ。むしろ何の比喩でも何でもなく大真面目に世界を救うなんて大きすぎるにもほどがある大仕事に取り掛かろうとしているのにその自覚もなくいつまでもヘラヘラしてるような奴よりずっとマシよ」

 先生が優しい表情で微笑みながら言う。

 確かにそうかもしれないけど…

「もう。松田君は自分に厳しすぎるわよ? 君は十分やるべきことをやってる。これ以上を求めるのは間違ってるわ」

「でもオレがなんとかしないと…」

「確かに君もアタシも女神さまから力をもらってこの世界にやってきた。この世界の人々よりもずっと優れた力や才能を持っているし、鍛えれば伝説の英雄にも賢者にも成れる。できることがとても多いのだから自分に大きく期待するのも間違ってない」

 弱弱しく言い募るオレに先生は困ったように笑いながら言う。


「でもね? アタシたちも人間よ? 泣いたり笑ったり怒ったり不安におびえたりもする普通の人間なのよ」

 先生は誇るように言う

「別に神や仏さまになる必要なんてない。世界の命運なんて大真面目に背負う必要性なんてないのよ」

 まるで悟りでも開いているような穏やかで静かな表情。

 オレはその表情に何だか吸い込まれそうになった。


「だってあたしたち、ただの人間よ?いくら女神さまに力を授かろうともただの一人間に過ぎないのよ」


「人間。ただの人間…」

 何を当たり前のことを、との思う。オレが人間だなんてオレがよく知っている。

 親父の仕事の転勤のせいで何度も転向させられた小学校時代。いくら友達を作ろうとも親父のせいで離ればなれになってつらいから次第にオレは友達を作らなくなった。

 オレや母さんに強化にあれだけ迷惑をかけたくせに余所で女を作りやがったクソ親父と母さんが離婚してから母さんの実家がある長崎に戻り、過ごした中学時代。クソ親父への恨みと片親に対する好奇の視線に腹を立てて部活に打ち込みつつも何度もケンカや暴力騒ぎを起こした。

 中学での暴力騒ぎのせいですっかり周囲から不良と扱われることにも慣れたオレだったがそれでも文化祭や体育祭には全力で臨んだ高校時代。オレ達のクラスの出し物が注目を集め、ニュースにもなってテレビの取材を受けたときは頑張った甲斐があったと心の底から喜んだ。

 楽しかったことも

 嬉しかったことも

 腹が立ったことも

 悲しくて泣いたことも実に多くあったオレの人生。

 決して人よりも優れたわけではないがそれでも何よりも代え難いオレの生涯。


「あれ…?」

 なんか急に涙が出てきた。

 ポロポロと流れ出てくる涙に戸惑うオレ。

 だって悲しいわけでも寂しいわけでもないのに涙が出てきて止まらない。

 そして涙が零れ落ちるたびに心が軽くなっていく感覚にとにかく戸惑った。



 あれから気を取り直して魔力の訓練を積んでから魔法についての授業を受けた。

 この世界のおける魔法とはまず魔力を感知して操作することから始まり、その魔力を決められた魔法構築式、通称「魔法式」に流し込むことで効果が発揮される。

 言ってしまえば魔力とはガソリン。魔法式とはエンジンなのだ。

 魔力が足りなければ魔法は発動せずに、魔法式がなければ望んだ効果が得られないんだ。さっきオレがやっていたように本来であればタダ水を出すだけのはずの水属性初級魔法『ウォーター』を水を出し、その水を操作するといった具合に効果を変えることはできる。

 だがそのためにもまずは魔法式について深く理解していないといけない。


「であるからしてこの部分が主に重要であり、この部分がこの魔法の心臓部と言っても過言ではありません。この部分はほかの属性においても共通しており―」

 だから勉強している。

 今習っているところは魔法式を図面に書き出して、重要な部分の洗い出しとその意味について習っている。

 こうして実際に図面で見ると幾何学的な文様で何が何やらわけわからなかった。だがここ数日の勉強で多少はわかるようになってきたのか先生の言っていることがなんとかわかる。

 これはあれだ。英語と古典の授業に似ている。

 文法や表現法の授業に似ている印象。やっていることは機械の分解やメンテナンスに近いのか? 先ほどオレは魔法式をエンジンに例えたがこうしてみると複雑な立体パズルにも見える。

 魔力という水を流すことで関せされる立体パズル。決して魔力()をこぼしてはならず、一分の隙間もなく見たしやらねばならずない。そして逆に水を粘液にまで濃密にして立体パズルを覆い尽くして本来の大きさよりも大きくすることもできる。

 知れば知るほどにできそうなことが増えていき、試すべきことがどんどん増えていく。それはとてもうれしく楽しいことではあるがオレにきちんと扱いきれるのか不安でもある。


「であれば例えば土属性や火属性でも同じですか?」

「もちろん」

 不安ではあるがそれでもやってやる。とにかく今はできることを増やす。それからオレ自身に合った方法を構築していけばいい。



『確認しました。個体名『松田太一』の熟練度が一定に達したので魔法『土属性魔法:初級』、魔法『火属性魔法:初級』を習得しました』



 今日の授業が終わるころにこんな声が聞こえた。試しに

「かつて世界を創生せし炎よ。盟約に従い我に暗き闇を払う灯火を授けたまえ『トーチ』」

 指先にライターのような火が灯った。

「緑の父にして命の母よ。その力の一端を我に貸し与えよ『ストーン』」

 手のひらに小指サイズの小石ができた。

 コレがそれぞれ火属性魔法と土属性魔法の初級魔法。それぞれが『トーチ』と『ストーン』。それぞれが火力不足でとても攻撃に使えるものではないがこれからどんどん強力な魔法を憶えていけば問題ない。

 それよりも


「コレが詠唱…」

 う~む。中二病全開もいいところだ

 一応魔法式の構築に一役買っているから無駄ではない。無駄ではないんだが

「隙が大きすぎるし、タイムラグも気になるな」

 そもそも詠唱は声に出して言うものだからどうしても戦ってる相手にも聞こえるだろう。そうすれば対策だって講じられる。

 そもそもオレは一人で戦ってるからどうしても接近戦よりになる。つまり相手とも近い距離にいるから余計に詠唱が聞かれやすい。

 本職の魔法使いであれば詠唱を聞かれないようにする工夫もあるのだろうけどオレには無理っぽい。であれば詠唱を問えない無詠唱を習得するしかないな。

「それまでは接近戦を始めるまでの牽制だと思った方がよさそうだ」

 またほんの少し強くなれた。

遅々として書き直しが進まず、誠に申し訳ありません。ですがその分、面白い話にできていると思っています。できれば感想などをいただけると嬉しいです

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