第十四話 訓練課程と成果
書き直しました。
あれから数日間。オレは気力と魔力を操作し続けた。スピードの緩急を着けつつ少しでも多くの気力と魔力を消費して鍛えるために動かし続けた。
その一環として風呂の水をオレの魔法で貯めることにも挑戦してみた。最初は半分どころか一割に届くかどうかといったところで魔力が底を尽きかけた。
だがここ数日の訓練のおかげかようやく半分ほどは貯められるようになった。どうやらオレの魔力操作には無駄が多かったようで今では操作に関する燃費も大幅に良くなっている。
気力の方も先生に教わり、頭の上と肩や手の甲に水が入ったお猪口を乗せて、水をこぼさないように歩くと言う訓練を行った。初めて聞いた時は簡単そうだと思ったがやってみると一瞬の気のゆるみも許されない。ただでさえレベルアップによって大きく上昇した身体能力に加えて気力による肉体強化も加わるから一歩歩くことすらできなかった。
だがここ数日の訓練のおかげで何とか部屋を一周出来るくらいには慣れることができた。しかも驚くことにこの訓練の副産物か身体が明らかに引き締まっている。余計な贅肉が消え失せ、久しく腹筋が割れている。部活に打ち込んでいた時以上に身体が仕上がっていた。たった数日でこの効果とは、地球のダイエット業界が吹っ飛ぶな
『確認しました。個体名『松田太一』の熟練度が一定に達したのでスキル『魔力操作』、スキル『気力操作』を習得しました』
なんて声が聞こえた。
おかげで今では
《松田太一》種族:人間 性別:男 職業:見習い戦士・見習い魔法使い 年齢:23歳
レベル:49 魔力:60 攻撃力:92 魔攻撃:55 防御力:84 魔防御:80敏捷:89 運:87
《装備》鉄の剣 鉄の斧 革の防具 鋼の額当て 無地のTシャツ 丈夫な黒ズボン アウトレジャーブーツ 普通の下着
《魔法》水属性魔法:初級
《スキル》体術:初級 杖術:初級 斧術:初級 瞑想 索敵 潜伏 魔力操作 気力操作 中級鑑定 アイテムボックス 超感覚
《ユニークスキル》健康体
《称号》絶望に抗いし者 豪運の持ち主 見習い斧使い
こうなった。
職業。ついに職業に就けた…ッ! 就活に苦しんだ経験を持つ者ならわかるはずだ。この感動が、胸を張って堂々としていられる安心感と自信が胸の奥から湧き上がってくるこの感覚がわかるはずだッ!
ちなみに装備欄の項目にある装備達は間違ってはいない。先生曰く、
「実戦で丸腰に無装備で挑むわけないでしょう?完全武装状態でやるのよ」
なんて言われたからだ。もうホント、無茶にもほどがあるよね。革製の籠手に乗せたお猪口が滑りそうになっただけで泣きそうになったよ
でもそのおかげでステータスが向上した。この世界でも筋トレは有効なようだ。
例えば同じステータスでもヒョロガリとマッチョが戦えば高確率でマッチョが勝つ。そもそもヒョロガリとマッチョでは同じレベルでもステータスに大きな差が開くらしく、地球と同じように筋トレすることはとても大事らしい。
「いくら異世界と言ってもそこらへんはシビアなんだな…」
まぁ、これまでこの世界で過ごしてきた感覚から察して物理法則などは基本的に地球と同じと考えるべきなのだろう。オレは間違っても学者ではないから詳しいところはわからんがそれでも今自分の起こっている変化くらいはわかるつもりだ。
運動すれば心臓が大きく脈打ち、身体が熱くなる。その熱を覚ますために発汗して汗が滴る。運動を続ければ筋肉が悲鳴を上げ始めてやがて負荷に耐えられなくなり切れる。
心臓が大きく脈打ちよりたくさんの酸素が欲しくなるから口で大きく息をしながら運動を中断すれば切れたであろう筋肉を修復するために身体の血と栄養が集中し、切れた筋肉は再生する。その時の過程で同じ負荷に耐えられるようになるために切れた筋肉はより大きく強くなる。
至って普通の反応。日本で部活に打ち込んでいた時も含めて何度も経験した痛みや苦しみそのままを今も感じている。
日本では試合で勝ったときか鏡を見たときぐらいにしか成長を実感できなかったのにこの世界では鑑定スキルで手っ取り早く確認できる。ありがたいことだ
そして先生に課せられた稽古はまだまだ終わっていない。
「フー、…フー、……フー、…フーッ!」
一つ一つの動作を確認しながら武器を振るう。いわゆる素振りだ
動作の速さを求めるのではなく、動作の正確さを求めるためには体のどこに力を込めて、どこへと流しながら連動させることで最大限の効果が得られるのかを体に覚えさせる必要がある。
単に何度も武器を振るうのではなく、その前段階の踏み込みから一つ一つの動作を丁寧に繰り返す。
正直気の遠くなるような作業ではある。だがそのおかげで武器の重さや武器を持つ恐怖にも慣れてきた。いずれはマンガや小説で紹介されていたような『無拍子』のような極意というべき極致に至りたい。
時々スピードも出して振るいながら素振りをする。もうそれだけでどれくらいの時間がかかったのかもわからないほどに振るってから
「今日もお願いします」
「はいはい」
オレの頼みに先生は軽く返事をしながら魔法を発動させる。
すると足元がうごめいて人の形がせり上がってくる。これは土属性の魔法のようでゴーレムのようなものが作れるらしい。
「より正確に言えば私がそんな形に制御してるだけでゴーレムというわけではないんですけどね…」
よくわからんがゴーレムとはこの世界では結構メジャーな魔物らしく、魔法で作れるわけではないらしい。
「召喚魔法なら呼び出すことはできるけどそれには手間か魔力のどちらかがメチャクチャかかるから今の私の肉体じゃやりたくないわね」
ホントによくわからん。
とにかく先生が用意してくれたオレと同じくらいの大きさを持つ人形に先生が武具を渡す。何気に何もないところからいきなり出してるからオレと同じくアイテムボックスだと思われる。
「より正確に言えばストレージなんだけどね」
先生からの訂正。要するにオレの持っているアイテムボックスの上位互換のようなスキルか魔法があるようだ。
そんなスキルか魔法で武装を施された人形が先生の操作の元オレに襲い掛かる。
今回施された武装は全身金属鎧と身の丈に迫るほどの大きさを誇る大剣だった。
まるで砲弾か何かのようにこちらに迫ってくる人形にやや緊張しつつ、女神さまからもらった鉄の斧を構える。
もちろん気力操作によって身体能力を高めた状態でだ。そして特に目。視神経により多くの強化を施したつもりで人形の動きを注視しつつギリギリまで引き寄せてから、避ける。
人形の横を通り過ぎるようによけながら振り返りざまに斧を振―
ドッカァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアァァァァアアアアアアアアンンッッ!!
―おうとしたんだが突然の爆発音に固まってしまった。
斧を振るうために振り返ったオレが見たのは大剣を振り下ろした鎧人形とくすぶる爆炎だった。
『耐火の重鎧』・・・特殊級装備品。火で熱されると堅くなる性質を持つ鉱石が含まれている特別な全身金属鎧。火炎による熱と衝撃から装備者を護る。
『爆炎の大剣』・・・特殊級装備品。振るう際に装備者の魔力を消費することで消費された魔力に応じた規模の爆発を引き起こす魔剣。ある一定以下の爆発では決して傷つくことがない。だが一定以上の爆発を引き起こすたびに急速に刀身が傷つき、最終的には刀身が砕け散る。
なるほど。
今回は鎧人形の装備は全部マジックアイテムなわけね。
ちなみにマジックアイテムについてもここ数日で勉強した。要するに使うだけで魔法の効果を発揮する便利な道具の総称らしい。
より正確に言えば今回の鎧人形が身に着けてるような武具は魔法武具と呼ばれ、人々の生活に活用されるような魔法道具とは区別されているらしい。
魔法武具の種類は膨大で今回のように爆発を引き起こす者もあれば振るうたびに火や雷を出す武器にそれらを吸収してしまう防具があるらしい。というか先生に実際に見せてもらった。あくまで博物館のように飾られた状態で見ただけでこうして実戦形式で文字通りのその力を体験させてもらうのは初めてなんだが…
オレの考えがまとまらないうちに鎧人形はまた大剣を振り上げてこちらに迫ってくる。
先ほどと同じスピードだからこのままでは普通に躱せはする。躱せはするがその後再び爆風や爆炎に気圧されて同じことの繰り返しにしかならない。
だが、…ッ!
「こうするしかねぇッ!」
躱すッ!
サイドステップの要領で鎧人形の後ろに回り込むようにするオレの目の前で鎧人形が大剣を振り下ろした。
直後
ドッカァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアァァァァアアアアアアアアンンッッ!!
舞い上がる粉塵。
鎧人形を挟んでそこなりの距離があるはずなのに肌が焼かれるような爆炎。
両足で踏ん張らないと後ろに下がりそうなほどの勢いを持つ爆風。
なるほど
「こりゃ、食らったら死ぬな…」
何を当たり前のことをと思う。だが改めて思い知らされる。自分がどれだけ無謀で危険極まりないことをしようとしているのかが
今すぐにでも逃げだしたいくらいに怖いし、帰りたい。
だがその気持ちを押し込めるほどに生きたい。負けたくない。という気持ちが大きくなってくる。
恐怖を勇気と負けん気が塗りつぶしていくのを感じつつオレは三度目の振り下ろしをしてくる鎧人形に突撃した。
振り下ろされる大剣に渾身の力を込めて斧を振るう。狙うは大剣―を握りしめる鎧人形の手の部分。
手を斧で強打された鎧人形。当然鎧に覆われていたがそれでも手の部分がぐちゃぐちゃになった。もしもこれが人間だったら指がひしゃげてもう使い物にならないだろう。
医術素人でも無理だと確信できる有様にされた鎧人形の手から大剣が零れ落ち、地面に落ちる。地面に触れた瞬間にまた爆発するのではと一瞬身体がこわばったがそんなことはなかった。
狙い通り。
あの大剣は持ち主が明確な意思の元に振るわれなければ爆炎を吐かない。偶然落としただけでは普通の大剣と変わらないんだ。
オレが近くにいるせいで大剣を拾うこともできない鎧人形が体術で応戦しようとしているが
「悪いがここからは一方的だぞ?」
生き残れる。という安心感
成し遂げた。という満足感と充実感で口角が上がっていくのを感じる。
さぁ、ここからは仕上げだ。
腰を深く落としてから体ごと突きあげるように斧を振り上げる『斬り上げ』
気力と魔力で強化された肉体でも掌に痛みを感じつつ更に斧を握りしめて振り下ろす『唐竹割り』
鎧人形の兜がへしゃげることを感じてここで止めを刺す。
気力操作を憶えて見習い戦士の職業に就けたオレが使える闘技
「【兜割】ッ!」
オレの持つ気力がゴッソリと消えていくのを感じつつ発動した技が鎧人形の脳天を捉えて胸のあたりまで斬り裂いた。
「か、…勝った……」
オレは気力と魔力による肉体強化を解除してからその場にへたり込んだ。
思い出したように暴れ狂うように鳴り響き、胸が痛いッ!
へたり込んだ手足が心臓の音に合わせて痙攣するように震え、体中の水分が出尽くしてしまうのでは? と思うほどに汗が噴き出して全身が濡れているのがわかる。
生き残った。仮にも稽古なんだから大げさだとも思う。だがそれでもあの鎧人形は十分オレの命を脅かすものだった。あの爆発を思い出すだけでも身のすくむ思いだった。
そんな相手に勝ち残り、生き残った。これは
喜び
安堵
愉悦
とても言葉一つでは言い表せない感情の渦が全身からあふれ出てくる。
これがいわゆる脳汁がぶっ飛ぶといいのか? よくわからんがいくら深呼吸をしても全く収まる気配もなく
「~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ッッッ!!!」
声にならない叫びがいつの間にか轟いていた。
今はとにかくこの感情をどうにかしなくては…
何とか気持ちが落ち着いた時にはもうすっかり汗も引いていた。
なんと言うべきか。何か悟りでも開いたかのような穏やかな気持ちになった。
「あ~。もういいかしら?」
先生が遠慮がちに聞いてきた。もちろん問題ないので頷く
「では反省会の開始ね」
いよいよ今日の分の稽古の大詰めだ。
「まず全体的にはよかったわ。今回用意した人形に持たせていた武具はあえて太一君の動揺が誘えるように爆発するタイプを選んだのにすぐに気持ちを持ち直して影響を出さなかったのはよかったわ」
「ありがとうございます」
先生の言葉に礼を言う。
確かに今回の鎧人形。前回までは強化系の能力で鎧人形の身体能力が急に上昇してきたり、逆に弱体化系能力を持つ武具でオレのステータスの数値をいきなり下げてくる戦い方をしてきていた。そんな中で今回いきなりの爆発能力。突然の爆音と肌を焼く爆炎の熱に混乱したのは事実だ。
先生の言う通り混乱している場合ではないとすぐに切り替えることはできた。だがそれでも…
「今回は運に助けられたのも事実ですよ…」
そう。運
今回のオレは運に助けられている部分が多かった。具体的に言えば大剣。もしも地面に落ちた瞬間に爆発でもしようものならオレは大けが。下手をすれば死んでいてもおかしくはない
それに先生はあくまで今のオレの力量に合わせて鎧人形を動かしてくれた。
そもそもおかしいのだ。鎧人形はあくまで先生が操作している人形に過ぎないんだから先生の視点からオレの狙いや作戦なんてお見通しだったはずだ。つまり阻止も十分にできたし、もしも先生が魔法を使って鎧人形の援護をしていればオレは魔力や気力を切らせて気絶していただろう
つまり鎧人形はあくまで今のオレの実力に合わせて手ごろなように調整してくれていたんだ。子ども扱い。というのは言い過ぎだとしても決して誇れるようなことではない。
なんてついさっきまで大はしゃぎもいいところだったオレが言っても説得力ないと思うけどこんなことでっ実戦経験を積めたと思ってはいけない。
そんなことを想ってしまえばそれだけでオレは堕落してしまう。レベルも上がっていないんだから決して調子に乗ってはいけない。
自分でも言い聞かせながら自分の言葉で伝えきったオレ。
そんなオレの言葉を先生は黙って聞いていてくれた。
というかどこか嬉しそうな様子だった。
「うんうん。松田君は思ったよりも優秀ね。そこまでわかってるんなら私からあれこれ言うべきことはないわ」
さぁ、食事にしましょう。
先生はそう言って訓練室を後にした。
オレが後を終えたのはそこから数分後。思ったよりも緊張していたのか。それとも消耗していたのか脚に力が全く入らず、立ち上がるにもそれだけの時間が必要だった。
ようやくまともに歩けるようになったオレは処刑台にでも向かうような気持ち、楽しみにしていた有給が同僚の入院の穴埋めで消えてなくなった時と同じ気持ちで向かっていた。
オレが向かったのは先生が食事の準備をしてくれているリビング―ではなく家の外。
ガーデニングとか家庭菜園というには大きく、農家の畑というには小さい位の規模を持つ畑だ。
畑全体の大きさはオレと先生が暮らしてる家と同じくらい。その家の一部屋くらいの大きさを持つトマトの区画には赤いトマトが風に揺れている。
その隣には縦横無尽にツタを伸ばしたカボチャがたわわに実り、太陽の恵みを存分に受けている。
ほかにも大豆にナスに大根にジャガイモなどなど日本でもおなじみの野菜の数々が仕切られた区画内に生い茂っており、さらに遠くではイチゴとブドウとモモの三種類のみとはいえ果物も育てられている。
そのおかげか鼻に届く匂いは緑の匂いに交じって果物の甘い匂いもする。
そんな場所でオレは動きやすいつなぎを着ているわけでもなければジャージでもない。先ほどの稽古と同じように完全武装状態だ。というのも
「やるか…」
気合を入れるために自分の頬を張ってトマトの区画内に足を踏み入れた瞬間
「ギギギギ…」
目の前のツルに実っている一番大きなトマトに顔が出てきてツル全体が動き出した。
『デビルプラント LV3』
そう。この畑にある植物は全部魔物なんだ。
カボチャも大根も大豆もナスもキュウリもジャガイモも全部が魔物。全部がこのデビルプラントと呼ばれる魔物なんだ
そしてオレは今からこの魔物と戦うことになる。
全ては今日食べる分の野菜を得るために…ッ!
「頑張れ太一君。今日は豊作だよ♪」
先生ののんきな声が聞こえる。
豊作。つまりは魔物が大量発生してるわけだ。
投げ槍気味に考えるオレに向かってデビルプラントがトマトを投げつけてきた。生命力を思わせる深い赤を持つトマトの身は日本のスーパーでも中々お目にかかれないほど立派なトマトに見える。
そんなトマトが野球のボールのように剛速球で投げられた。すでに気力による肉体強化を施したオレが強化された動体視力でトマト一つ一つをじっくりと観察してから受け止めた。
剛速球で投げられたトマトがつぶれないように一つ一つ丁寧に受け止めながらアイテムボックスに収納していく。この回収したトマトだが
『斧毒トマト』・・・一般級アイテム。斧や鉈でもないと切れないほどに堅い皮を持つトマト。硬い皮を持つ半面、内部はとても柔らかく強い毒性を持つ果汁を蓄えている。相手に投げつけて内部の毒を与えることが主な使い方。もちろんこのまま食べれば命にかかわるが正しい手順で独貫すれば美味しく食べることが可能。
これだ。
なんでこんなに詳しく記載があるのかというと実際に自分が食べているからだ。毒抜きされたトマトを
普通のトマトだった。
いや、違うな。まるで果物のように甘いのに後味がさわやかな酸味で引き締められている極上のトマトだった。一度だけ農作業を手伝った時に取れたて新鮮のトマトを食う機会があったんだがその時のトマトにも勝てそうなほどの美味しさだった。
そんなトマトをできるだけ回収してから素早く斧を構えてダッシュ。
デビルプラントが戸惑っているようだが油断なくツタを斬り裂いて仕留めた。しかし、
「ここからが重要」
ツタを斬り裂いて終わったように見えるデビルプラントだが実はまだやるべきことが残っている。
それは根っこの処理。デビルプラントの根元をつかんで引っこ抜く。
すると丸々太った芋主のような太さを持つ根っこがうごめきながら出てきた。絵面が悪すぎるのであまり直視もしたくないし、斧で斬り落とすことでデビルプラントの討伐は完了した。
これでようやく一体の討伐。畑にいる魔物の多さに投げ出したくもなる。だがすべてを美味しい野菜のため、今日を生き抜くための食事のためと自分に一瞬で言い聞かせてまた別のデビルプラントの討伐に動き出した。
本日の成果
斧毒トマト14個(大きな実が四つでその半分くらいの大きさの実が十個)
石イモ6個(石のように固い皮を持つ芋。こちらは斧や剣で半分に割ってから回収しているから実際にアイテムボックスに収納されているのは12個)
大根棒1本(棍棒のような大きさと形を持つ大根。渾身の力で投げつけてきたそれを真剣白刃取りの要領で受け止めてから収納した。そうしないと大根が割れちゃうからな)
鉄皮カボチャ4個(鉄のように固い皮を持つスイカのような模様を持つカボチャ。トマトや芋同様に投げつけられたそれをオレは芋と同じように斬り裂いてから回収しようとしたがさすがに硬すぎたのであきらめた)
ほかにも大豆にキュウリなどの野菜も収穫できた。まぁ、大豆と言ってもマシンガンのように鉄皮カボチャくらいに堅い豆を射出してくる『マシンダイズ』だったし、キュウリと言ってもツタを足に絡ませて転ばそうとしてきたり麻痺毒の花粉をまく花を直接鼻へと近づけてきたり首を締め上げようとしてくる『ツタキュウリ』だった。
どれもこれもこの世界特有の品種らしいけどつい先ほどまで本気でオレの命を狙ってきた魔物だと思うと引っかかるものがある。
そんなオレの内心も空腹の前には霧散して消えてなくなり、先生に収穫した分の野菜を渡すと先生から今回の戦い方に関する反省会が開かれた。
「さて、今回は全体的に反応が鈍いですね。前のけいこの疲れが抜けていないと言うのもあるんでしょうけどもうこの畑の魔物たちは大体倒せてるし、ちょっと油断にもつながってるかな?」
「そ、そうですか? オレとしては疲れが取れていないのが悪いと思うですけど…」
「その言葉。実戦でも言うつもり?」
先生の評価にオレが反論すると普段のオチャラケタ様子とは打って変わって真剣そのものといった様子で聞いてくる先生にオレは気圧された。
もう一本書き直し分を投稿するつもりです




