第十二話 起床と出会い、そして訓練開始
書き直しました。
安全て尊い。コレが異世界に来て数日でオレが思い知った真理だ。
いつ魔物、奇妙奇天烈な化け物に襲われ、殺されるかわからない緊張感は思ってたよりもオレの精神をすり減らしていたようで敷布団も敷かずに袖を持ち着物やちゃんちゃんこのように着ることができる搔巻布団を着て床で寝ているだけなのにとろけそうなほどに幸せだ。
こんなことをすれば堅い床で寝たせいで寝違えたり睡眠の質も悪くて当然のはずなのにまるで高級布団にくるまれている。いや、まるで人をダメにするクッションで全身をくるんでいるような心地よさがある。
もう意識も浮上してきて起きれるはずなのに起きたくない。
もっともっと寝ていたい。
そんな考えが拭えず、オレは再び意識を手放した。
再び意識が浮上してきたのでもういい加減起きようと体を起こすと堅い床に手を着いたはずなのに手がどこまでも沈み込んでいくような柔らかさを感じた。
不思議に思って視界を下に向けると自分で敷いた覚えのない敷布団があった。その厚み以上だと思える柔らかさでどこまでも手が沈み込んでいくこの感触は家具販売店で触ったことがある人をダメにするクッションに似ていた。
どういうことだと疑問に思ったがその疑問に決着をつける前に一つの臭いが鼻を衝いた。
「みそ汁の匂い…?」
日本人の魂に訴えかける匂い。
日本食では当たり前すぎて逆に咄嗟に出てこないであろう料理。その匂いに驚いて匂いのする方へと行くと
「おはようございます! ご主人さま♪」
メイドがいた。
美人である。オレと同じ黒髪黒目でネコみたいにクリッとしたアーモンドみたいな目つきが特徴的な美人である。表情もいかにも仕事しています見たいな能面ヅラじゃなくて、まるでイタズラに成功した子供みたいなニヤニヤした笑みが浮かんでいる。うん。絵になる。
そんな美人が清楚で奥行きのあるロングスカートタイプのメイド服を身に纏っている。現実離れしているはずなのになぜかコスプレ感がないのはメイド服と美人との一体感ゆえだろうか
ちょっと待ってほしい。
おかしい。オレは偉大な先達の遺産を引き継いでこの森で魔法とかいろんな知識を蓄えつつ少しずつでもこの森で魔物を討伐するつもりだった。もしもこの家に不足があるのであればその時に森を出て人里に行くつもりではあったが少なくともこんな妄想や夢を見るほどに溜まってはいなかったはずだ
いや、メイドさんは好きだよ? 地球にいたときもエロ動画で散々世話になったよ。でもこのタイミングではなくない? オレってこんなに性欲旺盛だったっけ? なんか自己嫌悪がハンパじゃないんだけど…
とりあえず、オレがとるべき行動は…
「ふんぬッ!!!」
「おわッ!? いきなり自分を殴りつけてどうしたの? え? 『この程度では目覚めないか。ここは鬼滅ヨロシクこの方法で』? 待って待ってどこから取り出したのその剣ッ! アイテムボックス? やっぱり君は後輩なのね。待って。なんでいきなり剣を首に当ててるの? まさかと思うけどやめなさい。説明するから落ち着いてッ!」
「落ち着いた?」
「はい。すみませんでした。先輩」
先輩。
そう。信じられないことではある。だが今オレの目の前にいるこのメイドさんはこの家の持ち主でありオレの先輩の坂本真理さん本人だった。
非常に信じられないことである。なぜならこの世界にオレ以外の転移者はいないはずだ。なぜそう言い切れるのかと言うと女神さまに聞いているからだ。オレ以外に転移者がいるのであれば手を組むことができるからだ。でも帰ってきた答えは
『君以外の転移者はいません。と言うより一度に何人も送り込むことはできないからです』
『なぜですか? 頭数が増えればそれだけできることも増えていく。困難なことでも成し遂げられる可能性が増えるはずです』
『そもそもこの世界の住民を送り込むこと自体が双方の世界に負担をかけるのです。地球であれば問題のない負担であってもあの世界が耐えられるかは…』
と言うものだった。
納得できる。異世界転移なんてよくわからんことではあるが世界に負担がかかると言うことには納得できる。もともといた世界から別の世界に移動させる。しかも移動させる本人に全く負担をかけないのであればもともといた世界と向かう世界に負担が生じるのはわかる。
そんなわけでオレ以外の転移者なんていないと思っていた。
でもいたわ。ここに
そもそもなんでいるのかを聞けば
「まぁ、そもそもこの身体。坂本真理本人の物じゃないのよ」
とのことである。
詳しく聞くと先輩はこの世界の魔法や錬金術の第一人者になっており、多くの発明や発見によって人々の生活水準の向上と魔物討伐の損失の軽減を成し遂げていたらしい。
「まぁ、結局どっちもバカな貴族やそんな貴族に乗せられた民衆によって失敗に終わったんだけどね」
おおう。思考が読まれた。しかもこれ、先輩の地雷だったようで一気に瞳からハイライトが消えて雰囲気が沈んだ。
結論から言えばこの家には地下室があり、そこには先輩の錬金術研究室もあった。先輩の今の肉体はそこで培養され、保存された人造人間であり、オレがこの家の結界を解除して家に入ったことで保存が解除。別の場所に保存されていた先輩の魂がホムンクルスの肉体に定着することで今の状態になっているらしい。
「成功するかは分からない。あくまで実験段階だった技術だけど成功して何よりだわ♪」
とのこと。
「あくまで保険の一つだったんだけどね」
「保険とは?」
「君の教育」
こちらを指さして言う先輩。その顔には成し遂げたことへの達成感と充実感。そしてこれからの覚悟と決意があった。
「君。この世界にやってきて日が浅い。というよりほんの数日でしょ?」
「わかります?」
オレの問いに先輩はうなずく。まぁ、来てる服と良いステータスと良い。いかにも日が浅いのがまるわかりだろうよ。
「この世界の魔法や錬金術。そして私は本職ではないけど戦士としての訓練や鍛錬法の伝授もしてあげる。この私の七十年分の集大成のすべてを継承してもらうわよ」
覚悟を良いわね?
と先輩、いや先生が言った。当然答えは決まっている。
「ぜひよろしくお願いします」
こうしてこのオレはこの世界にやってきて初めて師匠と呼ぶべき人に出会えた。
「ではまずは松田君の才能について教えて?」
「この世界にやってくる前に女神さまに調べられたあれですか?」
あの健康診断の時の奴?
首をかしげるオレに先生がうなずくので覚えてる範囲で教えた。細かい数値とかは覚えていないんだよ。とにかく斧の才能があることと魔法に関しては火属性と土属性に適性があることは覚えているからそのことをまず教えた。
「なるほど。斧の才能が飛びぬけている。魔法については火属性と土属性に適性があるのね。魔法も使える前衛タイプかしら」
こちらをじっと観察するように見てくる先生。その瞳には研究者や科学者といった言葉がよく似合う理知的な光があった。
「ひとまずは私の専門分野から教えていくからね」
「先生の得意分野というと魔法や錬金術ですか?」
「そうよ。この世界における魔法の立ち位置や詳しい仕組みに使うには何が必要なのかといった基本知識から教えていくからね」
願ってもないことだ。
「よろしくお願いします」
こうしてオレはさっそく教わるつもり満々だったのだが
「その前に朝食にしない?」
私もおなかすいてるし、と先生に言われてオレも腹が減ってることに気が付いた。
「さぁ、お口に合えばいいけどね」
「いただきます」
配膳を手伝っていたからメニューはわかってはいる。だが
「白いお米、温かい味噌汁。卵焼きに冷ややっこと鮭の塩焼き…ッ!」
これぞザッ日本の朝食と言わんばかりのメニュー。というか
「この世界って味噌とかしょうゆとかあったんですか」
「もともと私たちのさらに先達が広めてあったらしいのよ。それを私が錬金術を駆使して簡易的に作れるようにしたの」
なるほど。日本食の基本を担う味噌に醤油。これが欲しくなるのは日本人の性。もしもオレの先達の中に料理人志望のヒトでもいれば可能なのかもしれないと考えてはいた。
だがまさかこんな序盤も序盤に出会えるとは、感激だ。
「いただきます」
まず箸を取った。日本人にはなじみがありすぎる箸。持つ部分には青の塗装がされていて実に日本らしい。思わず顔がほころびながらサケの切り身を切り分けてから口に運ぶ。
まず感じられるのは塩気。舌先を刺激して唾液が誘われる。そしてすぐに鮭の旨味と香りが広がって塩気と混じり合う。
この旨味が残るうちに炊きたてホカホカのご飯を掻き込む…ッ!
「……………………美味い」
あれ? 目の前がにじんで
「うんうん。わかるよ」
先生は心の底から共感できると言った様子で
「ワタシもこの世界で初めて味噌汁を呑んだ時に懐かしさで泣いちゃったもん」
故郷ってホントに大切よね。と言った。
そうだ。オレはホントに故郷から遠い場所にいるんだ。先生の言葉不思議なくらいにオレの胸の内にストンと落ちてきた。
いまさらと笑いたくもなる。覚悟してきたつもりだった
でも
それでも
「うっ…、く……」
止められない。
「母さん、京香…」
立った二人だけのオレの家族。その家族から離れた。それも金を出せば会えるとか長い休暇をもらえれば会いに行けるとかそんな距離ではない。
下手をすればもう二度と…
そう考えるとそれだけに止められなかった。
「ごちそうさまでした」
「お粗末様でした。ごめんね」
オレが礼を言うと今まで黙っていてくれた先生が急に頭を下げた。戸惑うオレに
「この世界に来て数日の君にこの料理は刺激が強すぎた。もっと時間をおいても苦しいだけだと思って出してみたけど、身勝手過ぎたわ」
だからごめんなさい。
と先生は言ってくれた。正直あの料理、日本食のせいで気持ちがあふれ出てしまったと思いはする。想いはするがそれ以上に
「ありがとう。ですよ」
「?」
キョトンと首をかしげる先生にオレは
「確かに先生の料理でオレは猛烈なホームシックに襲われました。離れて家族への愛情を強く実感しています」
自分の気持ちをキチンと言語化するために自分の気持ちを一つ一つ丁寧に言葉にしていく。
確かに先生の料理でオレは家族への愛情と猛烈な郷愁があふれ出てしまった。できることなら今すぐにでも家族に会いたいし、家族がいる家に帰りたい。
妹の京香と軽口をたたき合いたいし、母さんのカレーや肉じゃがを食べたい。たった二人しかいないオレの家族がいる家に帰りたい気持ちはある。
でも、
「家族への愛情を確かめたからこそ、この世界の崩壊は絶対に阻止しなければいけないと思いました。本当に大切だからこそそんな家族が世界の崩壊に巻き込まれるところなんて見たくない」
家族への愛情をしっかりと感じられたからこそそんな家族が理不尽に脅かされるなんて見たくない。もしもオレが頑張ることでその理不尽が防げるのなら頑張れる。
そして何より
「ケガだけでもこんなに嫌なのに死んでしまうかもしれないなんて絶対に認められないッ!」
もう涙も出せるだけ出した。
残ったのは二人への愛情とそんな二人を護りたいと言う気持ち。
まるで焔のように燃え上がるこの気持ちさえあればきっと何とかなる気がする。何の根拠もない。子供の妄想かもしれないがオレはそう思えた。
だからオレのそんな気持ちに気づかせてくれて
「ありがとう」
オレの言葉に先生は戸惑ったような顔をしていた。だがやがてこちらをまっすぐ見据えて
「どういたしまして」
と言ってくれた。
その瞳には微笑ましいものを見たと言う年長者にしか出せない気持ちと確かな懐かしさと喜びがあった。オレはその瞳を見ているうちに自分の心が澄み渡り、どこまで広がっていくような高揚感を得ていた。
あれから先生が食器を下げてくれたり、濡れたタオルを出してくれた。仮にも目上の人にここまで世話を焼かれるなんて、ましてやこれから教えを乞う身分なのに罪悪感を感じていると
「これもこの新しい体に慣れるためのついでだから気にしないで♪」
と言われた。ので、お言葉に甘えることにした。オレが手伝ってもかえって足手まといになりそうだったからな。
そして片付けが終わってから改めて指導を着けてもらえることになった。
「さて、早速ですが松田君は魔法って何だと思いますか?」
「すみません。今まで一回しか使ったことがないのでわからないです」
この世界にやって来て数日。ほんの一回だけではあったが魔法は使った。身体の汚れを落とすために使った水の魔法。
女神さまに頼んでこれだけは使えるようにしてもらったわけだがそもそも魔法とはどんなものなのかと問われればそもそもそのための知識すらないのが現状だ。
「なるほど。ではまずはその知識から教えていきますね」
「よろしくお願いします」
「簡単に言うとこの世界における魔法とは数式やパズルのようなものです」
「数式? パズル?」
数式ということは何か方程式でもあるのか?
「そもそも魔法を扱うにはまず魔力が重要です。この魔力というのは私たちの世界でいうところの電気のようなものでプラグやコンセントを通じていろんな電化製品を動かしていたように必要な分の魔力を決められた魔法式に流し込むことで発動します」
「電気…、魔法式…」
オレ達の世界。地球の事だよな
地球、確かなんかの科学マンガ読んでたら出てきたな。確か電気というのはこの宇宙で最も根幹を司るエネルギーだと言ってたな。
残りが確か重力と強い力と弱い力とか書いてたか? とにかく電気というのはこの世の根幹にあるエネルギーであるらしい。
そしてこの世界ではそんな電気と同じくらいに重要なエネルギーなのが魔力らしい。魔法式というのはよくわからんが魔力とはどうやらマンガに登場するような不思議パワーの類ではないようだな。
でも確か万有引力を見つけたニュートンも重力が何であるのかを考えすぎて気が狂ったらしいし、重力と同じくらいに重要なエネルギーである電力と同じ魔力に関してもあまり深く考えすぎない方がよさそうだ。そういうエネルギーがある。程度の認識でいいはずだ」
「そうですね。それでいいと思いますよ」
「あれ? 口に出てました?」
頷く先生。マジかい
「生徒にやる気があるのは素晴らしいことです。では次に魔法式について」
と言いたいところなんですが、と先生は続けた。
「その前に松田君には魔力操作を身に着けてもらいます」
「魔力操作?」
なんじゃそりゃ
あ、もしかして
「魔法使った時に感じたあの感覚ですか?」
「お、もう心当たるがあるの?」
そうだ。確かあの時
『魔法を使う感覚ってやつはこんな感じなのか』
―――――なんていうか魔法を唱えるのと同時に自分の体の中心。ちょうどへその下あたりにハンドボールサイズのナニかがいきなり現れて、それが胸を通り、腕を伝って掌に集まってから水が吹きあがってシャワーみたいに降り注いだ―――――
あの時感じた感覚。日本似たときには全く感じたことがなかった不思議な感覚。
あの時のあの感覚が魔力、もしくは魔力が動いている感覚ならばあの感覚を完全にオレの物にできれば魔法も自在に発動できるようになるのだろうか?
まだまだ分からないことだらけではある。だがそれでも少しずつ知っていくことで何とかなる。と思いたいオレだった
「今日中にです」
「はい?」
きっぱりと宣言する先生。奮起するかのように気合を入れる先生は日本でも見たことがあるような黒のジャージを着ていてこれでホイッスルでも持っていれば立派な体育の先生に見える。
そんな先生が言ってきた言葉にオレが耳を疑って聞き返すんだが
「今日中に松田君には魔力だけではなくもう一つのエネルギーである『気力』の操作も身に着けてもらいます」
はい。ちょっと待って
「気力? それは何ですか?」
「気力というのは戦士が扱えるエネルギー。魔力が魔法使いの使えるエネルギーだとすればちょうどその対極に位置しているエネルギーの事です」
こっちの説明もした方がいいわね。と先生は言って、また授業の続きが始まる。手際悪くない?なんて言ってはいけない。多分オレが先生にとっても初めての弟子なんだろう。たとえこの世界に弟子と呼べる奴はいたんだとしてもオレのように日本からやってきた後輩への指導は初めてなんだろう。
「では改めて説明です」
ジャージのまま殺気の授業を受けた部屋へと戻ってきた。先生が錬金術を駆使して作ったと言うノートとペン。まんま日本の学校授業で散々世話になった文房具そのものだよ。
「では改めて魔力と気力についての説明を始めます」
黒板にチョークでデフォルメされた人を描きながら説明が始まった。
「まずは魔力について。魔力とは主に個人が所有している『個人魔力』と自然界に存在する『自然魔力』の二つに分類されます。基本的には魔法使いが使いのは個人魔力の方。これは個人がそれぞれ持っている魂を例的に保護している精神体。別命『霊体』と呼ばれるものから生み出されるものから生み出される『精神エネルギー』の事です」
「つまりこの個人魔力というのは生き物であれば全員持っていると言うことですか?」
魂からねん出されるエネルギーなら生き物であればみんなが持ってることになるはずだ。
「その通り。この個人魔力とは私たち人間は無論のこと動物に昆虫の類も本当に微弱ではあるけど持っています」
もちろん魔物もね。と先生は続けた。
なるほど。つまりあの六つ腕クマが角から出していた電撃もその個人魔力から出していたわけか
あれ?
「つまり魔物も魔法が使えるのか?」
「大正解。というか魔法は元々魔物が使ってたものなの」
え? オレ達人間が後追い側かよ。普通こう言う技術って人間が長い年月積み重ねて完成させていくものじゃねぇのか?
「より正確に言うと魔物たちが使う魔力を用いた身体能力強化や摩訶不思議な現象を人間が長い年月研究を重ねて研究して学問にしたのが魔法学の始まりなんですよ」
「なるほど…」
つまり魔物たちが使う魔法はあくまでオレ達人間が扱う魔法の原点みたいなものなのか
「鑑定系スキルを用いれば魔物のステータスも見ることができます。ですが例えそこに魔物が魔法を使えるという項目があってもそれはあくまで魔物流の魔法が使えると言うもので私たち人間が扱う魔法とは正確に言えば別物です」
魔物と人間の使う魔法は別物。例え鑑定スキルで同じように表示されても違うのか…
「次に気力についてです。これは私たち人間の肉体を構成している数十兆もの細胞が燃焼されることで発生される『身体エネルギー』の事です」
身体エネルギー。こっちが戦士に必要なエネルギーだな。
「こっちも魔物が源流なんですか?」
「いいえ。一部大型魔物はそうでしょうけどこっちは正真正銘私たち人間が独自に見つけた力です」
「よっしゃ!」
キタコレ
別に使えればどっちが源流でもいいけどどうせならこっちが源流な方が嬉しいからな。
「より正確にえば気力に関しては私たちの世界。地球でも存在していたんですよ」
「地球で?」
そんなとんでもパワーを持っていた? どういうこと?
「最もわかりやすいのが仙人と呼ばれた人たちね。彼らは厳しい修行の末に自らの気力を覚醒させることに成功した人たちの事だから」
「なるほど」
仙人。昔の中国とかに居そうな存在。確か西遊記の三蔵法師や孫悟空も仙人のような状態を経て神様になったんだっけ?
ああいう人たちが気力を持っていた。いや、先生の説明では気力を操作できていたのか
「ほかにも超能力者とかカリスマと呼ばれる人たちも仙人ほどではないにしても気力が操れていたわね」
「超能力者にカリスマ?」
念動力とかが気力なのか?
「さて、地球ではいまいちよくわからないエネルギーだった気力。その力は単純な身体能力の向上だったり天気や未来を予知できたり霊魂が見えたりと様々な形になっていた不思議なエネルギーだった気力でもこの世界ならその役割ははっきりしているのよ」
その役割とは、と先生が若干間をおいて言う
「戦士により肉体強化と感覚強化。そして戦士が扱う闘技の発動に必要なエネルギーなのよ」
「アーツ?」
なんぞそれ?
「アーツというのは簡単に言えば戦士たちが扱える技。バトル漫画の主人公たちが放つような技の数々を多く再現することができます」
先生の説明を聞いたオレの背筋に電流が走った。
「そ、それは例えば月牙天〇とかかめ〇め波とか界王〇とかもですか!?」
日本、いや地球全土の男の子のロマンのような技がホントに可能になるのか? 胸がどきどきしてくることを感じつつ先生の答えを待つ。
「はい。できます」
…
………………
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ふぅ
「? あの、なんでわざわざ席を立って窓へと移動してるんです? 松田君?」
何やら先生が喚いているような気がするそんなことよりも
「ロマン――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――ッッッッッッッッッッ!!!!!!!!!!!!!!!!」
この滾りを沈める方が優先じゃァッ!
ウォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオォォォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオッッ!!
燃えるじゃねぇかァァァァァァァァァァァァァァァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッッッ!!!!!!




