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第百四話 出発準備

せっかく貯まったので続投です。

勝鬨(かちどき)だッ! 勝鬨(かちどき)を揚げろォ―――――――ッ!」


「「「「「「「「「「ウォオオオオオオオオオオオオオオオオォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオッ!」」」」」」」」」」


 オレの参戦により思いのほかあっさりと解決したサハギンの大群襲来は死傷者多数出ながらも団結して立ち向かった人々の勝利という結果に終わった。

 相手がザコ。しかも手負いだったからか今回でレベルアップはしなかったが代わりにこの街の戦力に関してはそれなりに情報が手に入ったし、これで満足しておこう。うん。


「しかし、あいつはいったい何者なんだ…?」

「確かに、いきなり現れたと思ったらとんでもない力で一気に殲滅しちまったぞ…」

「ていうか、あいつが来てから敵の動きがあからさまに鈍くなったと思うのは俺だけか?」

「あ、それ。俺も思った」

「「「……確かにッ!」」」


 なんか言われてるなぁ…

 ステータスの恩恵で全部聞こえてるんだけど当の本人たちはこれで隠れて話してるつもりだろうし、間違えても関わらない方がいいな。

 さて、では次にオレが取るべき行動は…



「アンタがこの街のギルマスだったのか」

「初対面のくせにずいぶん生意気言うじゃないさ。アタシみたいな女がギルマスで驚いたのかい?」


 そもそもこの街へ来た理由。きっかけとなったのはこの街のギルドマスターから要請を受けたからだ。まずは挨拶からするべきだと判断した。

 肝心のギルドマスターは何と女性。それもさっきの戦闘で指揮を執っていた奴だ。

 こんがりと日焼けした小麦色の肌。蒼い髪をポニーテールに結んでいて、整った顔立ちをしている中々の美人さん。

 年齢はパッと見の印象で三十代前半といったところ。だがそれは加齢によってシミやしわなどで美貌が損なわれなどおらず、むしろ時を重ねたことで決して少女では出せない魅力を身に着けている。

 オレにはリナがいる。だから決してほかの女性に見惚れるようなことはしない。だがしかし、彼女が言う通りオレは驚いている。

「まぁ、驚いているさ。あの小太りジイさんとエルフギルドマスターの知人だと聞いていたからてっきりそれなりの年寄りだと思っていたからな」

「あぁ…」

 納得したとばかりにつぶやくギルドマスター。

 まぁ、今のオレの発言にうそはない。だがこれで全部言ったわけでもない。

 オレが驚いていたのは名前だ。

 今オレ達がいる場所はこの街のギルド。そのギルドマスター室だ。地球、日本の役場のお偉いさんの机にもありそうな重層な名札とでも言うべきネームプレートに書いてあるんだ。


 ギルドマスター カナコ・ルータムル・アヤセ


 ルータムルを抜きにするとカナコ・アヤセ。つまり綾瀬(あやせ) 加奈子(カナコ)。うん。どう見ても日本人の名前だ。

 だがそれにしてはコイツ、弱くね?

 別に地球、日本から来たからと言ってそのすべてがオレみたいに強いとは限らないだろうけど仮にも異世界へ行くんだし、それなりに戦闘力も女神さまからもらうよな?

 これは一体どういうことなんだろう…?

 鑑定でもするか?

 いや、もしばれたら面倒だし、そうでなくとも失礼だ。個人情報を無許可で盗み見ようとするのだから問題しかない。

 本人に直接聞く?

 これも却下だな。それでホントに同郷のものだったからと言ってだから何だって話だし、もし違おうものならアレコレ根掘り葉掘り聞かれるだろうからこれも厄介だ。面倒ごとの火種にしかならない。

「あ、あぁなるほど。アタシの名前か」

 バレちまったか。

 流石に見過ぎたか?

「お察しの通りアタシは『流れ者』の末裔だよ」

 うん。文面から察するに『流れ者』は地球からの転移者だろうけど…

「流れ者…?」

「え? 知らないのかい? 異世界から来たっていうニンゲンの皮をかぶったバケモン共のことだよ」

 うん。知ってたよ?

 大体察することはできてたさ。でもね? 何? 『ニンゲンの皮をかぶったバケモン共』てどういうことだ?

「随分な言い方だな。末裔というからには自分のご先祖なわけだろ?」

 これはちょっと探りを入れるべきかもしれないな。



 結論から言ってやはり流れ者とはオレと同じ異世界人であり、先生と同様、オレの先輩だった。

 だがその人たちのすべてがこの世界の住民に歓迎されたわけでもなく、やはりというべきかこの世界に災いをもたらせてしまった人もいる様で一部の人々からは嫌われているらしい。

 その中でギルドマスターの先祖である綾瀬加奈子という人物は商売で一つの国の経済を支えていたらしく、今でも『アヤセ商会』という名前で押しも押されぬ大商会として運営されているらしい。

 だがその過程で潰した商売仇や失墜させた貴族などから目の敵にされており、現在でもその末裔というべき存在から恨まれ続けているらしい。

 そしてギルドマスターはそんな商会の次期会長候補であったが偉大な先祖が残してくれた遺産に頼り切っている一族にほとほと愛想が尽きたギルドマスターは一族と縁を切り、一冒険者として名を上げ、現在に至っているらしい。


「ご先祖様のことはすごいと思うし、尊敬もしてる。でも同時に一冒険者としてはどーしても感じてしまうのよ。嫉妬、てやつをね」

 うつむき気味に心情を吐露するギルドマスターにはどこか懺悔するような気配を感じる。

 気のせいかもしれないが尊敬する先祖をバケモンだなんて言ってしまったことに対する罪悪感があるんだと思いたい。

 ではなぜ罪悪感を感じるのに先祖のことを悪くいったのか、それは先祖のことを何も知らない少年少女たちのためだ。


 考えればわかることだが冒険者とは長くは続けられない商売だ。

 常に命懸けだからというのはもちろんだが老いやケガなどで引退せざるを得ない場合もある。そこで多くの冒険者はある程度の金と名声を手に入れるとそこで引退し、五体満足である程度の富と名声を生かして商人や職人になるものが多い。

 ここまではオレ自身もギルドの書庫などで調べた。

 そんな引退していく彼らにとっては冒険者を束ねるギルドマスターの実家が大きな商会であることはとても大きな自信につながるらしい。

 他人(ヒト)にできたことだから自分にもできるという謎理論でも掲げているのかどうかは知らないが全く経験もないくせに商人になったせいで身を滅ぼしてしまった元冒険者も多かったらしい。

 そこで末裔であるギルドマスター自身が「先祖は人間の領域に収まらない化け物であった」と流布することで無謀なことをする冒険者たちを抑制していたらしい。


「いや、そんな面倒なことをするよりも規則か何かで禁止にすればよかったんじゃねぇのか?」

 冒険者を引退する前にどこかの商会の下働きにでもなって経験を積むことを義務付けるなりすればよかったのでは? そう思い、訪ねたオレへ

「君は、人の夢や人生を止めることができるのかい?」

 という答えが返ってきた。

「夢に貴賤(きせん)はないし、その人の人生はあくまでその人のものであるべきよ。その人が自分の人生を最大限に楽しむために大金を稼ごうとすることは何らおかしいことではないし、そのために命を張ることをやめさせる権限はアタシたちにはないわ。その結果得られたお金を元手により安全にお金を稼げる方法に挑むのもその人の自由よ。アタシたちがどうこう言うことでもないわ」

 勿論あまりにも無謀であれば止めもするけどね。と締めくくったギルドマスターの言葉は受け取り方ではとても冷たい考え、まるで他人がどうなろうとどうでもいいかのような考え方に聞こえるだろう。だが実際は違う。

 自由とそれに伴う責任。これを重要視している考え方だ。

 今まで自分の事ばかり考えてきたオレだがここに至るまでに何回命を危険にさらしただろう。そしてそれはだれかに命令されたことか? いや違う。あれらは全部オレの意思でやったことだ。

 そんなオレだからかな?

 今のギルドマスターの言葉には胸に刺さるものがある。



 その後いくつか仕事の内容を打合せしてから

「さっそく取り掛かろう」

「えぇ」

「まぁ、こんな状況じゃあ、観光も無理ね」

 オレの言葉にうなずくリナと周りの状況を見ながらため息をこぼす先生。

 まぁ、先生の気持ちもわかる。オレも海に行くと思うと年甲斐もなく舞い上がってくるものがある。だが肝心のロケーションはよろしくない。

 だって…


「負傷者のうち手傷のものには自分で手当てをさせろ。まず意識不明の重体からだッ!」

「おーいッ! 薬の在庫が残り少ねぇぞ。手が空いてるやつ。手伝えッ!」

「ねぇッ! 参加した人数と今ここにいる人数があっていないんだけど。これ、まだ現場に残されてる奴いるんじゃないの? 急いで確認してきてッ!」


 まさに修羅場。

 ついさっき終わった防衛線の際に傷ついた冒険者や漁師の皆さんを治療しようと回復魔法を発動させる者。傷薬の在庫補充のためこの場で薬草を煎じ始めた者。管理のために作成した資料とにらめっこしつつ、不審な点を見つけると鬼のような形相で回りに指示を飛ばす者とその指示に一も二もなく走り回る者といった具合に誰も彼もが必死になって働いているこの状況ではのんびり観光も楽しめないだろうな。

 まぁ、それはそれいいんだ。問題はそこではなくて…

「船が全滅とはね…」

 あの戦闘で使える船が全くなく、すべての船に損傷があるらしい。

 オレが直せるのならよかったが残念ながら船づくりは専門外だ。オレがあれこれ口を出しても邪魔にしかならない。

 であればほかの手段を試すまで…


召来(カモン) クラブ ドラゴン」



《マンリキ》 種族:ギガントクラブ 性別:オス 職業:漁師・重戦士・破壊戦士(デストロイファイター) 年齢:一か月

     レベル:25 魔力:2500 攻撃力:6000 魔攻撃2000 防御力:14000 魔防御:12500 敏捷性:4000 運111

《装備》鎖付き超巨棘鉄球モーニング・ギガスター 芯伸刺突竿(ピアーシングフィシン) 守護海神の腕輪 不変の腕輪 鬼拳王(オーガチャンピオン)王者腰帯(チャンピオンベルト)

《魔法》無属性魔法:中級 水属性魔法:中級

《スキル》魔力操作 身体強化 デコイ 泡操作 クラブハンマー 金剛力 堅固 身命 射出 高速再生 鈍器術:初級 槍術:初級 鎧殻(がいかく)精製 重積鎧甲殻(クロスシェルアーマー) 不屈 癒水 水泡

《種族固有スキル》甲殻再生 自切 強化再生 瞬間再生 巨蟹豪鋏返(ギガシェルカウンター)

《称号》大海の眷属 大樹の加護を受けし者 大海の加護を受けし者 苦労人 我慢の達人 報復の笑う者

《信頼度》100%



《エン》 種族:炎竜 性別:オス 職業:魔法拳士・武術家・飛行士・守護者・天駆(あまがけ) 年齢:二か月

   レベル:10 魔力:13000 攻撃力:34000 魔攻撃:12000 防御力:30000 魔防御:21000 敏捷性:45000 運:120

《装備》炎宝珠のチョーカー 竜の(くら) 竜の(あぶみ)

《魔法》無属性魔法:上級 火属性魔法:最上級 風属性魔法:中級 水属性魔法:中級 雷属性魔法:中級

《魔術》火属性魔術:初級

《スキル》体術:上級 魔力操作 気力操作 身体強化 咆哮 飛翔 爪斬撃 金剛力 堅固 身命 機敏 魔量 翼刃 高速機動 咆哮威力強化 爪強化 牙強化 竜麟強化 再生 龍牙生成 龍鱗精製 命炎 竜鱗結界 鎌鼬(かまいたち)の羽ばたき 炎雲生成 念話 無詠唱

《種族固有スキル》ドラゴンブレス 竜炎 竜の眼光 竜麟

《称号》炎の眷属 大樹の加護を受けし者 大空へ羽ばたく者 龍の王を志す者 鬼殺し 守護の炎を宿す者

《信頼度》100%



 マンリキとエンを召喚した。

 ステータスを見るとわかるがマンリキは水属性のモンスター。ここ、水中戦で最も力を発揮できるモンスターのはずだ。

 エンは空中戦要員。水上戦、水中戦だけでなく空から戦闘を仕掛けられれば優位に立てるはずだ。ていうかコイツ…

「お前ずいぶん使える魔法属性増えたな」

 ついこの前まで無属性魔法と火属性魔法しか使えなかったくせにいつの間にか風属性魔法と水属性魔法に雷属性魔法まで習得している。

「ま、ますます頼りがいのある奴になったわけだ。期待してるぜ」

『お任せを…』

 オレの言葉に律義に返すエン。今の一言は独り言のつもりだったんだが、まぁいい。

「出発だ」

 新たな冒険とやらに…ッ!

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