特別兵士訓練施設
「起きろ。おい、起きろ、早水悠斗。」
(……ここは、…どこだ…。)
「やっと目覚めたか。お前が最後だぞ。さぁ立て。」
(本当にどこなんだ…ここは…。それに、最後って一体何の…。)
「まだ状況が把握できていないみたいだな。ここは国立特別兵士養成学校の併設機関だ。君は抽選によりテクノヒューマンとして戦ってもらう日本代表に選出された。」
「……!ぼ、ぼくが日本…代表…。」
「そうだ。誇らしく思え。」
「む、無理です!!今からでも変えてください!!!」
「…それはできない。抽選で公平に決められたことだ。それに君の体内には、すでにオッドストーンが埋め込まれている。」
「そ、そんな!!勝手に手術までするなんて…。じゃ、じゃあ、僕の自己決定権はどうなるんですか!!」
「面白いことを言うな。自己決定権などAIに半分支配されている現代の言葉ではない。ともかく、君は日本代表の一人として選ばれたのだ。これから戦争までの一年間、ここで訓練に励んでもらう。」
「そんなぁ…。。僕、死にたくないですよ…。。」
「安心しろ。現代の倫理観に沿わないかつてのような戦争を思い描いているのなら大間違いだ。」
「え、違うんですか?」
「当たり前だろう。そんなことを国際規模で行ったらどうなると思ってるんだ。肉弾戦にはなるが、絶対に死には至らない。」
「そ、そうなんですか。でも僕、喧嘩なんてしたことないですし…。」
「フッ。何のための手術だと思っているんだ。君はもう人間ではない。テクノヒューマンなんだぞ。疑うならここで少し動いてみろ。」
「わかりました。やってみます。」
(……‼︎何だこれ…。体が軽すぎる…。)
「はははっ。どうだ。体が軽いだろう?」
「はい。自分の体じゃないみたいです。。」
「それならよかった。もうしおくれたが私は教官の作楽だ。よろしくな。」
「……よろしくお願いします……。」
僕はそうは言ってもまだ納得できないまま、教官に連れられある部屋に連れてこられた。
「……キミも日本代表なの?」
振り向くとそこには、僕より少し年上だろうか。美しい顔立ちの少女が僕をじっと見つめていた。
「は、はい。そうみたいです…。」
「これで全員揃ったわね。私は神吹雪 舞。あなた、名前は?」
「ぼ、僕は国立工科高校3年 早水悠斗です。よ、よろしくお願いします!」
「よろしくね。悠斗。」
そう言って彼女は僕に少し微笑んだ。
1話 end