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青い春と君  作者: スワン
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new encounters~夏~

この物語は、ごく普通の男子高校生と女子高校生のたわいもない日常を綴っただけのものである。

そう、まずは出逢った頃のことでも話そうか。




7月半ば。

蒸し暑い日々が続いている。

学生達は近づく夏休みに浮かれながら日々をすごしている。

俺もその一人だ。

ここで自己紹介でもしておこう。

田仲隼斗(たなか はやと)ごく普通の高校二年生だ。

趣味も特技も特に無し。勉強も運動も並み。

どこにでもいるような男。

さて、簡単に自己紹介も済ませたことだ現在の状況でも話そうか。

今現在の時刻は午後三時過ぎ。

教室には帰り支度をしている生徒、楽しげに談笑している生徒…。HR後のこの時間を各々楽しく過ごしているようだ。

かく言う俺はと言うと…


「夏休み始まるねー。今年こそ海に行きたいよね。」


そんなことをはなしている目の前の女子生徒に付き合わされ、この放課後の貴重な時間を井戸端会議に費やしている。たった二人だけの井戸端会議に。

俺の目の前で楽しそうにお話をしている女子生徒はクラスメイトであり、幼なじみでもある真宮憐(まみや れん)だ。


「ちょっと?話きいてる?」


「あ、うんすごいな」


「全然噛み合ってないから!きいてないでしょ…もう…」


長い脚を綺麗に組み、長く綺麗なウェーブのかかったブロンドの髪を耳に掛け頬杖をついている彼女は、学校の中でもなかなかの美人だ。

性格も明るく活発で、まわりから信頼されているとても優れた人間だ。

そんな彼女が幼なじみとゆうのは周りからしたら羨ましいことなのだろう。しかし、長い間一緒にいるからこそ知ってしまう現実もある。くわしくは割愛しておこう。


「でね、だから今年こそは…」


「行くとして。誰を誘うんだ?まさか二人きりだなんて言うなよ。」


憐は海に行くことをご所望のようだが俺はあまり乗り気になれなかった。

海よりプール派なのだから。


「なによ…こんな美人と二人りだなんて羨ましいことよ?まぁ、でも隼斗は嫌がるだろうと思っていつものメンバーを誘う予定よ。」


「そうか。」


「ちゃんと予定空けといてね!んでね、日程は…」


~♪~♪~♪


突然教室に軽快な音が鳴り響いた。


「あ、そう言えば今日早く帰らなきゃいけないだった。詳しいことはまた後日」


「あ、あぁ」


憐は着信音が鳴り続けている携帯を片手に大きく手を振りながら教室を飛び出していった。


「じゃぁねー」


元気なやつだ。

さて、三時過ぎ。もう夕方、よい子は帰る時間だ。俺も帰るとしよう。

窓からは暖かな日の光がさしている。7月になり日没までの時間も長くなった。

夏が始まっていることを実感する。


長い廊下を独り歩く。グラウンドからは部活に精を出している運動部員たちの声が聞こえる。

元気なやつらだ。


いつもとかわらない風景を横目に校門へ向かう。


途中。どこからか微かに歌声がきこえてきた。

多分普段なら何てこと気にもしないだろう。

が、しかしなぜか今日はその声に惹かれて音のする教室へ向かっていた。


「ここは?空き教室。この歌…」


多分…自分の知ってうる曲が、好きな曲がきこえたから…俺はこの教室まで来てしまったのだろう。

さて、ここまで来たが勝手に開けて良いものだろうかと悩む。


「ソッと、静かに開ければ…気づかれないよな。」


好奇心とゆうものはいつも人をを惑わす。

せっかく来たのだからどんな奴が歌っているのか確かめてみるのも悪くない。と、自分に言い聞かせてドアを開けた。


~♪~♪~♪


ドアを開けた先には小さな女の子がいた。

こちらには気付いていないようだ。

彼女は少し狭い教室の真ん中で真っ赤なギターを片手に楽しそうに弾き語っていた。


カーテンの隙間から差す日の光はスポットライトのように彼女を照らして輝いていた。

薄暗いただの空き教室は彼女のためのステージと化していた。


輝かしいその光景に目を奪われ、彼女と目があったことに気づくのに少しの時間がかかった。


「…!?」


「あっ、…」


レンズ越しの彼女の目は大きく見開かれていた。

鳩が豆鉄砲を食らったような顔だ。

実際にそんな鳩の顔を見たことはないが、そんなことを思わせるような表情を彼女はしていた。



「あ、ごめ…」


「すいませんっ。」


「へっ…?」


なぜか突然彼女に謝られた。

寧ろ俺が謝るべき立場にいるのでは…と、思う。

彼女は続ける。


「空き教室だったので…つい…勝手に使ってしまってすいません。この教室使うんですよね?あ、ど、どうぞ…」


そう言って彼女は片付けを始めた。

どうやら勘違いをしているようだ。


「いや、別に…使わないけど、その…」


「…?」


つい君の歌声に惹かれて来てしまったんだ。

…なんて素直に言うのもどこか気恥ずかしさがある。


なんて考えていると片付けを済ませた彼女はこちらに向かって来た。 


「あの、どうぞ…お邪魔しました。では。」


そう言って軽く会釈をして彼女は教室を出て行った。


「あ、行っちゃった。」


…帰るか。


帰路につきながら俺は先ほどまでのことを考えていた。

確か彼女が歌っていたのは…“YU-RI”と言う歌手の新曲だったと思う。最近メジャーデビューしたばかりの女性アーティストだ。

多くの若者から支持を受けている。

ちなみに、俺はインディーズで活動していた頃からのファンだ。


確かうちの学校には軽音部があったと思う。

わざわざ空き教室でなくても入部をすればちゃんとした部室で練習だって出来る。

なのに彼女は何故あそこにいたのだろう。


なんて考えている間に俺は家の前に着いていた。


「また、明日もあの教室に行ってみようかな。」


そう独りごちた。


そして俺はドアを開けた。

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