第八十話~台風~
東条がタクシーに乗った日の昼間。
10月末、雀谷高校には季節外れの台風が迫っていた。
東条
「台風きたーーーーーーーーー」
北山
「うっせぇな、万年ハリケーン女」
東条
「昔は台風一家とよく呼ばれたものだよ……ふふふ」
白川
「それにしてもすげぇな、これ。風も雨も。明日、学校休みになんねぇかな」
南
「これくらいじゃならないわよ」
西園寺
「ハリケーンで思い出したんですけど、アメリカじゃ、ハリケーンに名前をつけるらしいですよ。シェリーとかパティとか。面白いですよね」
東条
「面白っ!! 台風かわいそうじゃん!! ぼくたちが名前つけてあげようよ!!」
北山
「たしかに、番号で呼ぶなんて、囚人みたいでかわいそうだな」
東条
「よし!! 一人ずつ言っていこう!! 今回の台風13号くんに名前を!!」
北山
「東条楓」
東条
「ぼくかよ!!」
白川
「恋」
全員
「え……」
白川
「じょ、冗談だよ!! ばか!!」
南
「経文寺右門左衛門」
東条
「かっけぇ!!」
西園寺
(どうせ、アニメのキャラかなんかだろう)
中瀬
「強制亜空間移転流風速限界突破……」
豪徳寺が扉を開けて教室に入ってくる。
豪徳寺
「どうした、中瀬。何を召喚してるんだ? 病院行きたいなら、早退しても良いんだぞ?」
中瀬
「貴様!! 呪文の最中に止めるとは……貴様、死ぬぞ!!」
東条
「先生!! 台風13号さんに名前つけたげて!!」
豪徳寺
「ヒッキ―・M・キットニート」
北山
「つっこみどころが多すぎる」