不可解な現実

第六十七話～厨～

北山

「なあ、東条」

東条

「ん？」

北山

「割れ厨ってどういう意味？」

南

（びくっ）

西園寺

（まさか……）

東条

「そんなのことも知らないのー？　歴代の総理大臣の名前より常識だよ」

北山

「うっせー。いいから教えろ」

東条

「えっと。割れってのは、違法コピーソフトを指す英語『warez』から『割れず』ってなって、それが『割れ』になっていったのだよ。まあ、つまり違法コピーを行う厨房のこと」

北山

「なるほど」

東条

「ちなみに、それと比べて正規ルートでソフトを入手するやつらを『購入厨』と言うのだよ」

北山

「とんでもねぇ呼び名だな。どういうことだよ、購入厨って。普通に買ってるだけじゃねぇか。大体、厨って言葉つけりゃいいと思いやがって」

東条

「ホントだよ。最近は厨ばっか。ニコ厨、出会い厨。でもさ、出会い厨っては出会いを大切にする人だし。オタクは一つの物事を熱心に愛する事が出来る人だし。 変態は常識を蹴破った新しい人類だし。 厨二病は自分たちとは違う世界に生きる人だし……」

北山

「なんだか、途中からちょっと何言ってんのか良く分かんなかったけど、まあお前の言いたいことは分かる」

東条と北山は話しながら、教室の外へと出ていった。

西園寺

「あの、南さん」

南

「なに？」

西園寺

「ゲームはちゃんと買った方がいいよ」

南

「うっさい、購入厨」

西園寺

「え……？」