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第五十六話~何でもない自分~
放課後、西園寺、北山、白川の三人が一緒に教室を出た。
白川
「あーあ、最近面白くねぇなー」
北山
「そうか。まあ、なんか今の時期ってよく分かんないよな。一応勉強して大学目指してるけど、なんて言うか、まだ『なんでもない』っていうか」
西園寺
「なんかふわふわしてますよね」
白川
「なんかさ、デートしてぇ」
北山
「そっちの話か。まあな。誰と?」
白川
「は、はぁ? べ、別に誰かってわけじゃねぇけど。なんていうか」
北山
「お前、いろいろ遊び人だけど、意外に肝心なとこで駄目だよな。だから童貞なんだよ」
白川
「童貞も守れないやつが何を守れるんだよ」
北山
「女にすら股開いてもらえないで未来が開けんのかよ」
西園寺・白川
「ぐはっ」
西園寺と白川は黙って下を向いた。