第五十三話~納涼祭6~
太鼓の音色も消え、納涼祭も終盤を迎えていた。
北山
「そろそろお開きにすっか」
西園寺
「そうですね。時間も時間ですし」
東条
「高校最後の夏休みも、もう終わりかー」
南
「あと半年しかないのかー、高校生活」
中瀬
「バカをいうな、あと半年もあるだろうが」
白川
「そうだよな、そう思ってた方がいいよな」
北山
「そうだ。タイムカプセル埋めようぜ」
西園寺
「唐突ですね。でも、賛成です」
西園寺は鞄の中から六枚の紙切れを出した。
白川
「準備よすぎるだろ」
西園寺
「塾で、余り紙をたくさんもらってきたところだったんです」
西園寺は一人一人に紙を渡していった。
南
「これ、書いてどうするの?」
西園寺
「そうですね……これの中に入れて地面に埋めましょう! あの杉の木の下にでも」
西園寺は再び鞄の中に手を突っ込み、今度は菓子が入っていただろうディズニーのキャラクターが描かれた缶が出てきた。
白川
「準備よすぎるだろ」
西園寺
「これはさっき神主さんからもらいました」
北山
「嘘だろ」
東条
「よっしゃあ! 願い事書くぜえ!」
六人はそれぞれの想いを書き連ね、缶の中にしまっていった。
そして、杉の木の根元を掘り、缶をその中に入れた。
北山
「じゃあ、埋めるぜ」
白川
「豪快にやれ!」
東条
「ねぇ。風香ちゃんはなんて書いたの? ねー」
南
「開けたときのお楽しみ。ふふっ」
東条
「えー」
中瀬
「では、貴様は何と書き下したのだ?」
東条
「開けたときのお楽しみ。ふふっ」
北山
「はったおすぞ、てめぇ。気色わりぃな。南さんがやるからいいんだよ、バカ」
東条
「ひっどーい」
神主
「おまいら、なにやってる?」
西園寺
「ちょっと杉の健康診断を」
神主
「あるある……ねーよ!」
北山
「にっげろー」
神主
「このDQN共めー!」
六人は笑いながら、追いかけてくるネラー神主から全力で逃げた。