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第四十六話~塾~
雀谷高校の多くの生徒が通う大学受験用の塾『徹夜大塚』。
北山は大学受験に向けて、夏休みからこの塾に通うことにした。
北山
(なんか辛気臭ぇ塾だな、これは)
教室に入ると、血眼になって参考書の問題を解いている高校生ばかりで埋め尽くされていた。
入口に一番近い席に着席に座ると、前に座っていた奴が振りかえった。
中瀬
「貴様か」
北山
「お前か」
中瀬
「どうした? 貴様もNext stageへ進もうとしているのか?」
北山
「は? ああ。大学受験な。分かりづれぇんだよ。Next stageってアーケードゲームみたいに言うなよ。てか、お前通ってたのか?」
中瀬
「拙者は、前学年よりこの分校に通っておったから。移り住むと同時に通っていたのだ」
北山
「まあな。兄貴が留年経験してて、就職が厳しいらしいからな。俺がなんとかしなきゃいけないんだよ。急だな、夏休みからとは」
中瀬
「人情深いな」
北山
「あの兄貴がバカなだけだ。『大事な学年なので二回繰り返しました』とか言ってやがったし、あのタコ」
中瀬
「兄上は才覚がありそうだ」
北山
「ねぇよ。んなもん」
講師が入ってきた。二人は話を止めた。