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第四十二話~約束~
午後四時、日が少し傾き始めた昼下がり。
荷物をまとめ、六人は西園寺の別荘の中で、去る準備をしている。
西園寺
「じゃあ、そろそろ行きますか」
北山
「そうだな、行くか」
南
「なんか、一泊だけなのに、名残惜しいね……」
東条
「うん……」
白川
「そうだな……楽しかったな。飯うまかったし、星は綺麗だったし……おい、楓。なに泣いてんだよ」
東条
「な、泣いてないよ! で、でぼさ、なんか、寂しいじゃん! ずるっ」
白川
「一生の別れみたいに言うなよ。来年もここで泊まろうぜ! 卒業しても!」
西園寺
「僕の別荘ですよ。勝手に決めないでください! ……もちろん、みなさんには必ず参加してもらいますからね、約束ですよ! えへへ」
一同がくすくすと笑う。
中瀬が笑いながら、窓の外を見ていることに北山が気付く。
北山
「おい、中瀬、何やってんだよ」
中瀬
「い、いや、何でもない。では、帰ろう」
中瀬の笑窪に一筋の光の筋が走っていたのを、北山は見逃さなかった。
北山
「素直じゃねぇな」