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いつ俺に休みが来る?

作者: motty

元日、澄み渡る冬空の中を俺は、神社へと続く坂道を走りながら登っていた。

「待ってよ、お兄ちゃん。」

妹が息を切らしながら後ろから叫ぶ。

「早く行ったって何も変わりはしないぞ?」

父がゆっくり歩きながら語りかけるように叫ぶ。

しかし、そんな事はよそに俺は坂を駆け上がる。

目当ては、綿菓子やベビーカステラや射的などではない。

今年の運を俺は確かめるためにここに来たのだ。

「今年もいっぱい並んでるね。」

そう言いながら妹は急いでおみくじ売り場の行列の後ろに並んだ。

「早くお前も並べ。」

そう父に急かされながら俺は、妹の後ろに並んだ。

「あれ?

並ばへんの?」

俺は、父に聞いた。

「…俺はいいから母さんのを引け。」

そう、母さんは寒いから家にいると言って初詣に来なかったのである。

去年は、小吉だったので今年は、吉を狙いたいな…。

そんなことを考えながら俺は、くじを引いた。

そのとき考えなければならないことが一つあった。

それは先に引いたほうを俺か母さんのか決めていなかったことである。

「1番と3番ですね。」

巫女さんに言われながら俺は、おみくじを受け取った。

「どっちにすんねん?」

父に聞かれ俺は、巨人が好きなので長島終身名誉監督の背番号3番を選んだ。

結果は…凶。

えっ!

俺は、目が点になった。

小吉から凶って悪くなってるじゃないか!

「どうやって運見るの?」

妹が聞いてくる。

「えっと、ここを…ってお前も凶か~!」

「えっ…。

嫌ぁぁぁぁぁ!」

隣で妹が騒ぎ出す。

そして、運の下には、今年の運勢が書いてあり、妹の文章には待ち人来ずとかいてあり、

まだいいほうであった。

俺のおみくじの文章にはひどいことが書かれていた。

生死は危険十分注意…。

どうやって注意したらいいのかさえ分からない。

「交換して。」

俺は、妹に頼んだ。

「嫌っ!」

頬を膨らませながら妹は答えた。

「…いじわる。」

俺は、そうつぶやきながらポケットにおみくじを無造作に突っ込んだ。

そして、家族でおせちを食べ終わったあと色んな服屋がある大型のショッピングセンターに行った。

目当てはもちろん福袋である。

まぁ凶だがそんなことは考えないでおこう。

俺は、そう考え福袋争奪戦という戦場へと駆けていった。

各自、自分の気に入った福袋を掲げながら戻ってきた。

しかし…。

「無い。」

そう、俺の福袋が無かったのである。

俺のサイズの服を取られてしまい品切れになってしまったわけではない。

そもそも俺のサイズの服が売られていなかったという話である。

「何でどこの店にもSサイズが無いんだ!

Sサイズ欲しいのに…。」

俺は、仕方なしに子供服を探した。

しかし、肝心の子供服の子の文字さえな無い。

「はぁ…。」

仕方なく服探しを止め俺は家に帰った。

他の店に行って探した関係もあってすっかり辺りは闇に染まってしまった。

「風呂入れてくるわ。」

俺は、湯船にお湯を入れた。

そして、晩御飯を食べた後風呂に入った。

つまり一番風呂ということになる。

身を清めて凶運を取り払うか…。

俺は、冷たい体を震わせながら湯船の蓋を開けたときだった。

「これはいったいどういうことだ?」

なんと湯が無かったのである。

正確には、お湯が全て底から抜けていたのである。

「閉めたよな?」

しぶしぶ俺はもう一度湯を入れた。

しかし…。

「ん?

冷たい。」

お湯のカランを回してるのに出てきたのは水。

「はぁ?」

全く理解ができなかった。

もう一度お湯のカランを回した。

でてきたのはまたもや水。

「これ壊れてんのかな?」

俺は、再度お湯のカランを回した。

「さすがにもう水じゃないよな?」

俺は、恐怖にかられながら蛇口から出ている液体に指をそっと突っ込んだ。

「あっつ!」

出てきたのは熱湯。

俺は、少し火傷を負ってしまった。

「こっ殺す気か?」

俺は、そのお湯を湯船に流しながら冷たい体を温めた。

そして、冬休みが終わり俺は大学の始業式(授業)に行くため電車に乗った。

電車の中に女子高生が二人乗っておりおみくじについての話をしていた。

「私ね、小吉だったの。」

うつむきながら一人の少女がつぶやく。

「まだいいじゃん、凶じゃないんだし。」

「…うん。」

「私の友達なんかひどかったんだよ。」

「どういう風に?」

俺は、話に興味を持ち耳をそば立てた。

「うちの友達ね、生死は危険十分注意って書いてあったんだよ。」

何!?

「それでその子どうなった?」

「かろうじて生きてたよ。」

かろうじて…だと?

じゃあ俺も…。

「だから、私ね毎年友達に聞くんだ。」

「何て?」

「今年、生死は危険って書いてあった人?って。」

…。

そして、俺は学校に着き友達におみくじやその後に起こった出来事を話した。

「…やばくないか?」

「やっぱそう思う?」

「あぁ。」

「そうか…。」

「これからもっとやばいこと起こるぞ。」

「やっやめてくれ~!」

「冗談だって。」

「だといいのだが。

ん?」

「どうした?」

「そういやもうすぐテストだよな?」

「…あっ!」

「殺す気か?」

「多分。」

「おいっ。」

そんな会話をしながら俺達は、昼食をとった。

「あんた、またそれ?」

一人の女子が俺に聞いてきた。

「うん。」

「死ぬよ?」

「構わん。」

「…。」

何故こんなことを言うのかというと、俺の昼食は…。

メロンパン一個

まぁこれは普通だと誰もが思うだろう。

リポデタンD。

ん?

誰もが疑問符を打つだろう。

毎日こんな昼食を取っていたらどうなるだろうか?

安息香酸ナトリウムが体にたまり、DNAを破壊していき、ガンになりやすくなり、

寿命が縮まり…後は予想がつくだろう。

実際、俺はこんな生活をしている。

「お前、死が怖くないのか?」

以前、友達にこう聞かれた。

回答…我道は牙なり。

「…。

何故それを飲む?」

「徹夜でレポートを書くときに素晴らしい力を発揮してくれる俺の回復の薬だ。」

「そうか。

今の楽しみは何?」

「レポートを書くこと。」

「はっ?」

「レポートを書くことだと言ってるだろう。」

「それのどこが楽しいんだ?」

「分からないのか?」

「分かるか!」

「教えてやる。」

「別にいい。」

「物語の構成を考えるようで楽しいではないか。」

「どこが…。」

「具体的に言うとだな。」

「…うん。」

「目的は、王子様がお姫様を助けに行く物語としよう。」

「うん。」

「試薬・実験器具は、役だ。」

「役?」

「そうだ。

試薬・実験器具ならぬ登場人物・アイテム

王子様

お姫様

姫をさらった盗賊

お城

と置き換えられる。」

「それで?」

「結果は、ストーリー構成だ。」

「考察は?」

「あとがき。」

「あぁ!」

「どうだ?」

「すごい考え方だ。

まねできん。」

「そうか。」

「で…。」

「ん?」

「何枚書いた?」

「今年一年で…234枚。」

「先生殺す気か?」

「あぁ。」

「先生…絶対キレてる。」

「可能性大だな。

あ~あ。」

「どうした?」

「テスト無くして全部レポートにして欲しいな。」

「それは、俺達を殺そうと思って言ってるのか?」

「いや、先生を潰すのとみんなを救うためだ。」

「救ってない気がするが。」

「大丈夫だ。

いざとなったらみんなの分を俺が書いてやる。」

「お前は、レポートの神様になるつもりか?」

「神か…なれたらいいな。」

「…。」

「なんだ?」

「いや、もうなってる気がする。」

「そうか?」

「ああ。」

「やった。」

「褒めてないんだが。」

「むすっ!。」

「怒るなよ。」

「うるさい。」

そんなことを言いながら昼食を摂り、授業を受けた。

「バイトどうするの?」

ふと隣に座っていた友達が聞いてきた。

「近くのマ○ドにバイトするつもり。」

「へぇ、結構きついらしいよ。」

「レポ神をなめるな。」

「なめてない…。」

「そうか。」

「死ぬなよ?」

「だからなめるなって。」

「なめてません。」

次の日は、土曜日だったので俺は、マ○ドに電話をし面接の予約にこぎつける事ができた。

面接は、日曜日になった。

面接で何を聞かれてもいいように練習を繰り返した。

そして、運命の日曜日。

面接場所は厨房の一角で行われた。

大きなオーブンの隣にはいくつものロッカーの棚、その前にはテーブルと3つのパイプいすが置いてあった。

「ここで面接を?」

俺は、眼鏡をかけた若い太った面接官に聞いた。

「はい。

ここに座ってください。」

「はい。」

そして、俺の面接が始まった。

「まずは履歴書を書いてください。」

「はい。」

俺は、面接官に履歴書を渡された。

自分の卒業した年度は確認していたから問題はない。

問題は…志望動機である。

なんて書こうか…。

部活をしているので俺は、お金が欲しかった。

しかし、純粋にこれを書くことはできない。

ここは…。

俺は、自分で稼いだお金で親に恩返しをしたいと書いた。

履歴書完了。

次は、テスト。

テストといってもハイかイイエの二択問題でチェックし客の対応について答える問題である。

むっ難しい…。

マニュアルのような問題に俺は、苦戦した。

そして、何とか終わらせ面接官に渡した。

「はぁ。」

「どうしました?」

「難しいですね。」

「まぁ個人差ありますからね。」

「私は、結構簡単でしたよ。」

20代だろうか、目の前に座っていた1人の太った女店員が答えた。

それは、俺に対する皮肉か?

俺の心の底から知らず知らずのうちにメラメラと怒りがこみ上げてきた。

「では、いくつか質問しますね。」

「はい。」

俺は、質問に答えていった。

そして、結果は不合格。

ん?

ふっ不合格!

理由は、客に対しての応対が正直に答えてしまい店側の負担が大きくなるということであった。

正直で何が悪い?

客には何でも対応するのが店の仕事ではないのか?

俺は、不満を抱きながら仕方なくこの現実を受け入れてしまった。

そして、その夜俺は悪夢を見た。

自分の部屋の机の下に座っており、栄養ドリンクを2本飲み、立ち上がったとき机の上には一枚のレシートがたたまれておりそれを広げてみた。

なっ長!

全長30cmもあった。

書かれていたのは栄養ドリンクの名前と価格(1パック価格)が書かれてあった。

「うわーっ!」

俺は、飛び起きた。

「なっ何だ今のは…。」

あれは間違いなく体が俺に警鐘を促しているに違いなかった。

それから俺は、2つのバイトの面接を受けるために履歴書を書いた。

やはり困ったのが志望動機である。

どうしよう。

あれやこれやと考えるうちに2日経ってしまった。

親に、「前の面接でこのように書いたらいいと面接官に言われたんだろう」

と言われたがたとえそう書いたとしてその志望動機について聞かれると答えられない。

これに俺は困ってしまい書けなくなっていた。

しまいに親に考える力が無いと言われ、大学辞めるかと言われてしまった。

何も答えられなくなってしまい黙っているとそこに止めを刺されてしまった。

「何で黙る?

答えろ。

病気でそんなんあるよな?

確かアスペ――だっけ?」

やめてくれ、そこまで悪くない。

しまいにパソでのその病気についてのテストをされ児童相談所へ電話。

俺の居場所がどんどん無くなっていく。

何で今年はこんなに悪いんだ?

おみくじで凶を引いたからか?

そんなはずはないと信じたいところだが、否定はできない。

日々進んでいくにつれて前まで明るかった自分が暗くなっていった。

俺は、教師になるために教職を志望していた。

よって、父はこう言った。

「何故、採用試験の勉強をしない?

本を買わない?

やる気が無いならやるな。」

ん?

そこに俺は疑問符を打った。

何故ならある夏休みのことである。

「教職の本どんなんあるかみてきたら?」

この母の一言で俺は本屋へと向かった。

資格の本棚には、教職についての本が沢山あった。

今のうちにやっとくか。

そう思い俺は教員採用試験対策本を買った。

しかし、母は怒った。

「あんた、まだ1年なんだから勉強しなくてもいいだろ」と

今2年の手前の春休み…。

つまりまだ1年である。

矛盾してるよな?

そんなことを俺は考えた。

しかし、肝心の母は何も答えない。

おいっ!

だがこんなことを考えてる余裕は無い

何故なら大学辞めるか辞めないかの瀬戸際・岐路に俺は、今立たされているのだから…。

俺は、親を何とか説得し事なきを得ることができた。

しっ死にかけた…。

心臓が今にも破裂しそうな思いである。

そんな思いをしながら俺は、今テスト勉強をしている。

潰す。

どっかで聞いたフレーズだな…。

そんなことを考えながらテスト勉強をした。

テストが終わり俺は、他のバイトがあるか見に行くために情報誌を買いに本屋に行った。

資格…。

教師になりたいという希望が捨てきれずにいた俺は、教師になるための本に手をやり呼んでいた。

しばらくして隣の棚には誰もいなかったのに突然縦に立てかけてあった本が雪崩れ落ちた。

!?

店にいた人達の目が俺の方に向いた。

俺ですか?

俺は、仕方なく本を拾い棚へと戻した。

「なんでこうなる?」

今年は、いいことが一つも起きやしない。

起きているかもしれないが悪いことが多すぎて訳が分からない状態になっていた。

誰か助けてくれ。

しかし、叫んでも誰も助けてはくれない。

どうすればこの悪夢のような日々が消え去るんだ?

御祓いでもしてもらおうか…。

かといって金は払いたくない。

「はぁ。」

途方にくれていたそのときだった。

「きゃっ!」

いきなり上から女の子が落ちてきた。

ん?

上は天井だから落ちるということはまずない。

あきらかにおかしかった。

「大丈夫ですか?」

俺は、彼女の手を取り起き上がらせた。

「あいたたた。

すいません。」

額に凶と書かれた三角巾?を巻きつけており黒色で髪が長い女の子は深々と頭を下げた。

「凶?」

「はい。

私の名前は凶って言うんです。」

「あっそうなんですか…。

えっ?」

「何か?」

「いえ、何でもないです。」

「そうでうか。」

俺は、最初こいつが悪夢の元凶とは思わなかった。

名前で判断してはいけないと思ったからだ。

「では、また。」

「はい。」

俺は、店を後にした。

家に帰り部屋のドアを開けた。

すると、ベッドの上には見知らぬ女の子が座っていた。

いや、俺は彼女を知っていた。

さっき会った女の子だったからだ。

「あっさっきはどうも。」

「なっなんでここにいるんですか?」

「えっそれは…あなたの凶ですから。」

「はっ?」

「あなた元旦に凶引きましたよね?」

「はい。」

「それが私です。」

「…。」

「お分かりいただけましたか?」

「っていうことは。」

「はい?」

「お前が悪夢の元凶か!」

俺は、彼女にキレた。

「ゆっ許してください。

私は、何もあなたに悪いことをしようと思ってしているのではありません。」

「じゃあこの悪夢は何のためにしているんだ!」

「そっそれは…。」

凶は、口を閉じてしまった。

「やっぱり俺を地獄の世界に落とすためなんだな?」

「ちっ違います!」

「じゃあ何だ?」

「…だって。

言ったら怒られちゃうんです。」

「誰に?」

「神様に…。」

「そうか。」

「あっ!」

突然、凶はしまったというような顔をした。

「どうした?」

「わっ私、あなたに姿を見られては駄目なんです。」

「ふ~んって駄目じゃん!」

「どうしよう。」

「見られたらどうなるの?」

「私にも分かりません。

これが初めてですから。」

「そうか…。」

「怒られるのかな?」

「さぁ俺にはわかんないよ。

神様じゃないし。」

「ですよね。」

そのときどこからか一枚の紙が落ちてきた。

「これは?」

拾った瞬間に凶にその紙を取られた。

「なっ何すんだよ!」

「これ、私宛の手紙です。」

「えっ誰から?」

「…そんな。

かっ神様からです。」

「…何て書いてあるんだ?」

「しばらく人間になって修業しろって書いてあります。

…あの。

大変言いにくいのですが。」

「何?」

「凶の効果はそのままだそうです」

「えっ!

そこは、消してくれよ~。」

「私に言われても無理です。」

「…そうだな。

さてこれからどうしたものか。」

「ここに私がいたら駄目なんですか?」

「う~ん。

俺は、いいんだけど家族が何て言うかなんだよな。」

「そこは心配しなくてもいいですよ。」

「どうして?」

「私の姿は他の人からは見えません。」

「そうか。

いや、問題がもう一つある。」

「何ですか?」

「生活どうするんだ?

食事とか服とか…。」

「え~っと…それは。」

「まさか、無いのか?」

「…。

家にあるんですがこうなった以上取りに帰るのは無理です。」

「そうか。」

そのとき一つのダンボールが光輝きながら上から降ってきた。

「…。」

「ダンボール?。

何が入ってるんだろう。」

中を覗いてみるとそこには…。

「これは…。」

俺は、ダンボールから離れた。

「えっ?」

凶は中を覗いた。

中には、凶の下着や服が入っていた。

「…。」

「おっ俺は何も知らないし見てない!

怒るなよ?

俺は…俺は。」

俺は、怖くなってここから一刻も早く逃げたくなった。

しかし、見られた本人はケロッとしていた。

「今のは、仕方ありませんよ。

誰だって覗き込みたくなりますよ。

でも…。」

「でも?」

「私の大事なものだったら怒りますけどね。」

「大事なもの?」

「はい。」

「何?」

「言ってしまったら元も子もありません。」

「確かに。

どこにしまっとこうか?」

「う~ん。

あなたが邪魔だと思わないところですかね。」

「じゃあ、タンスの中に入れとくね。」

「はい。」

俺は、タンスの中に凶の服が入っているダンボールをしまった。

「さて、これからどうしようか…。」

「宿題でもしたらどうですか?」

「今は、春休みだし宿題は無い。」

「そうなんですか?」

「あぁ。」

「じゃあ、あなたが好きなレポートを書いたらどうですか?」

「何のレポート書くんだよ?」

「私に会うためのレポートです。」

「却下!」

「何でですか?」

「誰も読まん。

あっ読むか…。」

「?」

「凶にどうやったら会わないようにするためにはどうすればいいか分かるからな。」

「えっ、私に会いたくない。」

「あぁ誰も不幸になりたくないからな。」

「そっそんな。」

凶は、目に涙を浮かべた。

「私って嫌われてるんですね。

あなたにも他の人にも…。」

「…ごめん。」

「何で謝るんですか?

私は、あなたを不幸にするためにここに来たんですよ。」

「あぁ、だがな俺は、おみくじを引かなかったら凶に会わなかったわけだ。

これは、偶然ではない。

必然なんだよ。」

「必然、ですか?」

「あぁ、俺のところに神様が凶を送り込んだことも必然だよ。

だから俺はな…。」

「何ですか?」

「この不幸は神様が俺に与えた挑戦状だと思うし、別に凶がここに来ようと何しようが俺は、何も言わん。」

「…分かりました。

あなたって…。」

「何?」

「心が広いんですね。」

「広いっていうかチマチマ考えるとストレス溜まって嫌になるタイプでね。

すぐ嫌なことがあったらできるだけ忘れるようにしてるのさ。」

「そうなんですか。

じゃあ、私に会ったことも忘れてください。」

「いや、それはできないでしょ。」

「…ですよね。」

「当たり前だ。」

「それで、これからどうするんですか?」

「どうすると言われても困るんだが。」

「えっ。」

「あっ!」

俺は、あることに気づいた。

「今日は、テストの発表日だ。」

そう、今日はテストが駄目だった場合に行われる再テストの発表日なのである。

「テスト?」

「あぁ、期末の再テストの発表日なんだ。」

「ないといいですね。」

「あぁ、そんじゃ見に行ってくるわ。」

「行ってらっしゃい。」

俺は、家を後にし大学へと足を進めた。

発表は掲示板に自分の出席番号が貼られている形式であった場合手続きをしに行かねばならない。

答えを覚えていたからあってるはずだ。

絶対にない。

俺は、思いながら掲示板を見た。

必修科目だけなので全部で3科目ある。

俺は、目を疑った。

ハットトリック!

全部に引っかかっていたのである。

「えっ?

ええっ!

まっマジかよ。

書いたぞ?

書けたぞ?」

どこが間違ってたのかさえ検討がつかなかった。

「仕方ない、手続きしてくるか。」

俺は、事務所に足を運び手続きをし帰路についた。

「おかえり~どやった?」

明るく声をかけてくる凶をよそに俺は、ため息を尽きながらベッドに横たわった。

「どったの?」

「…全部。」

「ん?」

「全部引っかかってました。」

「ふ~ん。

良かったの?」

「悪かったんだ!」

俺は、半分キレた。

「どこが駄目だったのか分からない。

全く検討がつかないんだ。」

「まぁ次回のテストで頑張ればいいじゃん。」

「簡単に言うなよ。」

「だってそうでしょ?」

「そうだけど…。

「じゃあ今から勉強しましょう。」

「…はい。」

俺は、しぶしぶ勉強に取り掛かった。

全て理科の必修科目…頑張ればできる。

俺は、そう信じた。

テスト当日。

その日は、部活で先輩の送別会だったのだが俺は断った。

落ちたら駄目だからである。

クラスのみんなからメールで励まされた。

俺は、嬉しくなりながら一層気を引き締めた。

そして、俺は万全な対策をしてテストを受けた。

3月1日に結果が分かる。

テストを受け終わり俺は家へと帰った。

はっきり言って怖い。

落ちたらその教科をもう一度受けることになるからだ。

冷や汗ダラダラな状態で電車に乗る。

親に何か言われるのではないか。

そんな不安もこみ上げてきた。

だが、考えても無駄である。

いずれにせよ結果で全てが分かるのだから…。

今日は、まだ2月16日だ。

まだ日はある。

ゆっくり気長に待つとするか。

俺は、ベッドの中に潜りこんだ。

「合格するといいね。」

凶が尋ねてくる。

「うっ…うん。」

久々に友達にメールするか…。

俺は、中学の友達にメールをすることにした。

「あっ返信来た。」

俺は、返信メールを見た瞬間愕然とした。

2人の高校の物理と英語の恩師が亡くなり1人の英語の恩師が退職(解雇?)されたという訃報を聞かされたからである。

退職された英語の恩師と俺は連絡を取っており、俺が初任給が入ったらおごってくれた牛丼を食べようと約束を交わしていた。

しかし、ある日音信普通になってしまったので不審に思っていた。

「そうか…亡くなったのか。

あの先生一体どこに行かれたのだろう?」

俺は、悲しくなりポロポロと涙が目から零れ落ちた。

「おい?

凶。」

俺は、凶に言った。

「何?」

凶はきょとんとしながら俺の方に顔を向けた。

「お前、俺を不幸にするのは構わないが、人を亡くして俺を不幸にするなんて…。

ふざけるなっ!」

「えっ…。

誰か亡くなったの?」

「俺の恩師を亡くして俺を不幸にさせてそんなに楽しいか?」

「…楽しいというか普通?かな。」

「だったら何故そんなことをした?」

「私がいたらあなたを不幸にするのは分かってる。

でも、私はあなたをどうしたら不幸にできるとかそういう考えはしてない。

いえ、してないのではなくできないの。」

「できない?

どういうこと?」

「つまり、私は、ただあなたのそばにいるだけで何もしてないってこと。

だから、こんなことが起こらないようにしようと思っても私にもあなたにもとめられないの。」

「…そうか。

ごめんな、変ないいがかりをつけてしまって。」

「いいの、でも私があなたにこのような不幸を与えてしまってるのは事実。」

凶は、うつむきながら俺に話す。

「なぁ、凶?」

「何?」

「凶は、何も悪くないからな。」

「…でも。」

「人は、皆いつか死ぬんだ。

そう考えたら楽さ。」

「そう?」

「あぁ、だから俺の前でそんな暗い顔するな。

いい?」

「…分かった。」

「よし、気分を変えてどっか遊びに行こうかな。」

「遊びに?」

「うん、そうだな~俺の友達も誘うかな。」

そう言って俺は二人の友達に声をかけ、ゲームセンターにあるコインゲームをやることになった。

「絶対沢山のコイン出すからな。」

そう言って俺は、いつも沢山出している機種の前に陣取った。

「そう簡単に1000枚や2000枚のコインなんか出るかよ。」

そう言って友達は、あざ笑いながら別の台に移動していった。

手持ちのコインは240枚。

コップの半分しかはいっていない。

これを増やすのは容易ではないことを俺はよく知っていた。

しかし、俺はこのとき友達にあざ笑われたせいかやる気に満ち溢れていた。

「大丈夫なの?」

凶は、心配そうに俺を見つめながら言ってきた。

「まぁ見ろって。」

俺は、一枚ずつコインを入れていった。

そして、30分は過ぎたときだった。

スロットが一瞬音と共に揺れ数字の7が揃いビッグチャンスを俺はものにした。

そこから俺は、一気にコインをかき集めていった。

サイコロを振るたんびにボタンを押しコマを進め、沢山コインがある場所に止まり、1037枚のコインを物にすることに成功した。

「すっすご~い!」

凶が、隣ではしゃぎまくった。

「出すって言っただろう?」

山のようにコインが出てくるのを見つめながら俺は、凶に話しかけた。

そして、俺は友達のもとへ駆けて行った。

「お2人さん、調子はどう?」

「うーん、あまりこの台は出ない。

そっちは、もう無くなったのか?」

一人の友達が苦笑いしながら聞いてきた。

「いや、今出てくるのが終わるのを待ってるとこだ。」

「えっ、どういうことだ?」

もう一人の友達が首を傾げながら聞く。

「今、1037枚出したからでてくるのを待ってるのさ。」

「はぁ?」

二人は、口を開け唖然とした。

「まさかっ!」

「じゃあ見に来るか?」

3人は、今もコインが出続けている台へと向かった。

「ほっほんまや…。」

「こいつ、やりやがった。」

「言っただろう?

出すって。」

「…うん。」

「少し貰ってっていい?」

「どうぞ。」

俺は、友達に少しだけコインを分け与えた。

「今度から行くときは俺を呼べ。」

「…そうする。」

「あぁ。」

そして、帰る時間となりコインは預けた。

「そんな才能あるなんて私知らなかったわ。」

凶は、驚きながら呟いた。

「やってるうちにコツ掴んできたし運がいいだけや…。」

「へぇ。

それが勉強に活かせれたらいいのにね。」

「…痛いとこ突くな~凶は。」

「えへへ。」

「さて、帰るか。」

「うん。」

俺は、家に帰った。

そして、月日は経ち成績発表の日がやってきた。

見てみると再テストのあった科目は一つだけ落ちていた。

まぁ一つだけならまだいい方か…。

そう考えながら家に帰った。

しかし、この考えは甘かった。

親に見せた瞬間人生の終わりを感じた。

「何故必修を落とす?

考えられない!!」

父親は、成績を凝視しながら言う。

母親はといとため息をつくばかりで何も言わない。

「すいません。」

俺は、ただただ謝ることしかできない。

凶は、おどおどしながら俺の隣で座っている。

「頑張ってこの成績なの?」

ようやく母親は、口を開いた。

「頑張ってなかった部分もあると思う。」

「じゃあなんで頑張らないの?」

「…。」

「そこで黙るなっ!」

父は、黙ってしまったことによりさらに激怒したらしくガミガミと愚痴をこぼしだした。

「こんな成績になって何とも思わないのか?」

「いえ…。」

「はぁ、よくもまぁこんな状態でゲームとかできるわね。」

「しばらく、遊びは禁止!」

俺は、ゲームとパソコンをとられた。

凶は、俺の部屋のベッドで座って俯いている。

「わ…私のせいなの?」

「いや、俺が遊びすぎたりしたからこうなったんや。

凶は何も悪くない。」

「ほんとに?」

「あぁ、だからそんなに落ち込むな。」

「…うん。」

俺は、何も言わずに夕食をとり、床についた。

次の日、俺は何事もなかったかのように友達と接した。

ただ、一つの事を考えながら…。

それは、ゲームがしたいという事である。

俺は、この時オンラインにはまっていた。

レベルあげとかレアアイテムを集めるとかそういうことでオンラインにはまっていたわけではない。

世の中には、いろんな人がいる。

だから社会勉強?みたいな感じで全国の人と話をする事が楽しかったからはまっていたのである。

多いのは10〜30代、少なくて40代〜となっている。

俺の友達は、10代が多くほとんどが年下となっている。

「そんなにゲームがしたいの?」

凶は俺の周りを飛びながら聞いてくる。

「うん、だって話すのが楽しいからね。」

「へぇ、私と話すよりも?」

「えっ?

何が言いたい?」

「別に…。」

凶は、少し落ち込んだようなそぶりを見せた。

「そか…。」

しかし俺は、そんな事はおかまいなく歩く。

家に帰ると親は、出かけており誰もいなっかった。

しめた!

俺は、ゲームの隠し場所を知っていたのでゲームを持ってきてやった。

親が帰ってきたらできなくなるので俺はどうしようか考えた。

何を考えたかというとゲームをせずにみんなと話をするとういう事である。

俺は考えた末ある危険な賭けに出た。

それは、ゲーム内でメールができるので俺はメールの文章に自分の携帯のメルアドを乗せて信用している20人の友達に送った。

返ってきたのは10人、携帯・パソコンを持っていなくてメールができないと言ってきたのは5人、全く入ってこなくなってしまった人が5人という結果になった。

「ふぅ…。」

「嬉しいの?」

凶は、ベッドでゴロゴロしながら聞いてきた。

「うん、普通さそこまでして話そうとしてくれる人なんてあまりいないよ?

だから、すごく嬉しい!」

「そか…。」

「どした?」

「ううん、何でもない。」

凶は、枕を抱きしめながら答える。

「凶?」

「何?」

「そのベッド好きなのか?」

「どうして?」

「いや、たいていそこにいるからさ。」

「う、うん。

好き。」

「そうなんだ。」

「うん。」

「今日、そこで寝るか?」

「えっ!

悪いよ。

え、えと…。」

「どした?」

「な、名前なんて呼べばいいのかなって。」

思い出してみると凶は俺の名前を一回も呼んだ事がなかった。

「何でもいいよ。」

「あだ名ってあるの?」

「あだ名…ねぇ。」

オンラインやリアフレに約30もつけれたっけ?

そう考えながら俺はある、と答えた。

「どんなの?」

言っていくとキリがないので携帯にメモっていたあだ名集を見せた。

「多い…ね。」

「うん。」

「決めたよ。」

「そか♪」

「もっちゃん(≧▽≦)。」

「ぁい。」

「今日、ベッドで寝てもいいの?」

「あぁ。」

「もっちゃんはどこで寝るの?」

「ベッドの下かな。」

「そう。」

「どした?」

「ううん。

ねね?」

「何?」

「お、襲ったりしないよね?」

「ぶっ!!」

俺は吹いてしまった。

「んなわけねぇだろうがっ!!

俺が悪い男に見えるのか?」

「ううん…。

ただ…。」

「ただ…?」

「何でもない。」

「何じゃそりゃ!!」

たわいもないコントをしながら俺達は寝た。

これがもっちゃんの匂いかぁ…。

いい匂い♪

凶は、枕の匂いを嗅ぎながら寝た。

次の日の朝、俺はとてつもなく不快感に襲われた。

「うぅ…。」

「どったの?」

「筋肉痛いし、寝違えたかも…。」

「ありゃりゃ。」

「凶は、どうだった?」

俺は湿布を貼りながら聞いた。

「うん、寝心地良かった。」

「そか、良かったね。」

「うん!」

凶は、無邪気な子供のように嬉しがった。

そんなこんなで夏休み前のテストとなった。

「オ、オワタ…。」

できた感覚はしなかった。

また去年と同じように単位を落とし親に怒られることになった。

しかし去年の比にならないくらいだった。

俺は、成績が渡される前に嘔吐感に襲われた。

帰る時も嘔吐感は続き、家に帰った瞬間トイレに直行した。

親には、気づかれなかった。

それが不幸中の幸いだった。

親に怒られるのが怖くなり、見せるのが嫌になってきた。

「大丈夫?」

凶は心配そうになりながら聞いてくる。

「うん。」

俺は、苦しそうな顔を見せながらも笑いながら答えた。

そして、親に見せる時が来た。

地獄だった。

「就職する?」

会心の一撃がきた。

俺は、無抵抗で何もできなかった。

何とか乗り越えることができたが、単位のことで頭いっぱいになり頭が真っ白になってしまった。

「…。」

凶は、泣きながらベッドに突っ伏している。

「どした?」

俺は、凶の隣にベッドに腰掛けながら尋ねた。

「私のせいでもっちゃんが傷ついていくから…。」

「凶は何も悪くないから。」

「…。」

次の日、衝撃的な出来事が起こった。

朝起きてみると、机の上に置き手紙があった。


私のせいでもっちゃんが傷ついてしまう。

そんな姿を見たくない。

だから、幸せになってもらうために私は去ります。

楽しかったよ、有難う。

そして、さようなら。


「凶!!!!!」

俺は、家中を探しまわった。

「いない。」

外に出て凶が好きだった公園などにも行った。

そこにも凶の姿はなかった。

「馬鹿っ!

何も言わずに出て行くなんて…。」

そして、夏休みがきた。

少し、ゲームができるようになり、みんなに会いにいった。

みんなと話をすることができ楽しかった。

でも、俺は凶のことを忘れることができなかった。

ある日、自分の部屋を作っていると友達がきた。

しかし、全く覚えがない友達だった。

ただ自分が持っているプロフィールのカードが反応しているから自分のフレなのは確かなことは分かった。

誰なのか友達リストを見ても今の時間に誰も入っていなかった。

挽回さんっていう名前は聞いたことないし誰だ?

「こんにちは。」

俺は、知らない友達に声をかけた。

「こんにちは。」

向こうも同じ答えを返してきた。

「あなたのカードをもらってもいいですか?」

もしかしたら無くしたのかバグで消えたのかもしれないので言ってみた。

「カードって何?」

「えっ!?

プロフィールカードです。」

「そんなの持ってない。」

「あります。」

俺は、渡し方を説明した。

「ほんとに持ってないんです。」

「…。

じゃあこちらのカード渡すので登録してください。」

「はい、…できました。」

「わかりました〜。」

俺は、しばらくそいつと話をした。

文字をうつ早さと話し方を考えると初心者?で女の子と推理した。

話し方は、どこか凶に似ていた。

「なんか話し方がうちの友達に似てます(笑)」

「そうなんですか?」

「えぇ、ある日いなくなっちゃって…。

どこにいったのかすごく心配でして。」

「そうですか、早く戻ってきてほしいですよね。」

「はい。

何も悪くないのに出て行っちゃって…。」

「もし、帰ってきたらどうしますか?

怒ります?」

「怒る?w

怒りませんよ。

帰ってきたら多分泣きながらお帰りって言うよ、凶。」

「えっ、凶?」

「あぁ、すいませんうちの友達の名前です。

「…。」

「どうなさいました?」

「も…もっちゃん!!」

「えっ!?」

「…ごめんね。

いきなり、出て行っちゃってごめんなさい!」

「ほんとに凶なのか?」

「…うん。」

「そか、早く帰ってこいよ。

待ってるからさ。」

「それは、できない。」

「どうして?」

「また、傷つけるから。

そんな姿みたくないし、それに…。」

「それに?」

「もう、この世界にはいないから…。」

「何言ってるの?」

「私もうこの世界にはいないの。」

「!?」

「だから、もう会えない。

もっちゃんに会って私は幸せでした。

ありがとう。」

「そんなのねぇよ!!

勝手に出て行ってさよならでこの世界にいないだって?

そんなことあってたまるか!!

なんで戻れないんだよ?」

「色々事情があって…。

今は、無理だけどいつか…いつか戻ってくるから!!」

「分かった。

ずっと待ってるからな。」

「うん。」

夏休みが終わり、冬休みがやってきた。

俺は、いつもとかわらずみんなと話をして楽しんでいた。

そのとき一通のメールが来た。

送り主は 挽回さん


ただいま。

今、公園にいます。


俺は、家を飛び出し公園に向かった。

公園に行くと、一人の女の子が後ろ向きに立っていた。

額に凶と書かれた三角巾は無く、普通の女の子…。

「…凶?」

俺は、声をかけるわけでもなく名前を口にした。

女の子は、振り返り笑った。

「もっちゃん♪」

「凶…なのか?」

「うん。」

「えっ!?」

「えへへっ。」

舌を出しながら凶は、笑った。

「でも、名前は凶じゃないよ。」

「何?」

「恭子です。」

凶のなごりはあるのね…。

「そか。

おかえり、恭子。」

「ただいま、もっちゃ〜ん!!

うぇ〜〜ん!」

恭子は泣きながら俺に飛びついた。

俺はその弾みで後ろに倒れた。

「いってぇ〜〜!」

「ご、ごめん。」

涙ぐみながら恭子は謝った。

「う、うん。

にしても何があった?」

「…。

わ、私ねある日気がついたの。」

「何を?」

「えっ///」

恭子は、頬を赤らめた。

「も、もっちゃんの事が好きっていうこと!!」

「なっ!?」

「あの…。」

「何?」

「私と付き合って下さい!!」

「こっ告白かよ!?」

「…駄目?」

「告白しといて駄目って聞くなよ。

はぁ…。

いいよ。」

「ふぇっ?」

「いいって言ってんだよ///」

「や、やった〜〜〜!!!」

恭子は、飛び跳ねた。

「あとね、まだ報告があるの。」

「何さ?」

「私ね、人間になったから。」

「…はいっ?」

「だから上の人に頼んで人間にしてもらったの。」

「同等の立場で一緒にいたかったから///」

「だからこの世界にいったんいなくなったのか?」

「うん。」

「お前ってやつは…。」

「ごめんなさい。」

「謝って済むと思ってんのか?」

「…。」

「はぁ…。

覚悟はできてるか?」

「なんの?」

「ちょっとこい。」

俺は、恭子の手を引っ張りながら家に戻った。

「何する気?」

「みてろ。

母さん、俺彼女できたから!!」

「…。」

母と恭子は、お互いの顔を見ながら固まった。

「えぇ〜〜〜!!」

「と、いうわけでよろしく。」

俺は、恭子と一緒に部屋に戻った。

「恭子?」

「…。」

恭子は、依然として固まっている。

「恭子?」

「何?」

ようやく返事をしてくれた。

「俺さ。」

「うん?」

「今、すごく幸せだよ。

幸せにしてくれてありがとう。」

「い、いいえ///」

恭子は、頬を赤らめながら答えた。


今、俺は恭子とともに幸せな時を過ごしている。

この幸せは、恭子のおかげでもあり、自分で掴んだのだと思う。

あのときおみくじで凶を引かなかったらどうなるのだろうか、などと考えた時もあったが

そんなことはどうでもよくなった。

俺は、ずっと恭子とともに歩む…。

悪夢の元凶としてではなく一人の女性として…。



ほぼ自分の体験を元にして作りました。

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