そして夜です。
逃げるように消えてしまった王様に対し、
どこにも逃げ場など無い私…
まあ…気を使う場所や対象が居るとはいえ、別段嫌だとかの感情も無いですし、
逆にこんな機会なんて、田舎貴族には恐らく一生縁など無い、絶対に絶対に無い…
そう考えれば、これってかなり素晴らしい経験ですよね。
何より皆様、とってもお優しいですし、
ヒルメ様は元気いっぱいで、
「案内してあげるね!」って、アチコチに引っ張られています。
ただ…こんなに広い広大な敷地だと云うのに、ここに住んでると思われる方はかなり少数で、ちょっと寂しい感じも有りますね。
何故かずっと、ヒルメ様と手を繋いだまま行動を共にしてますが…
そして御二人が妙にゆっくりされているところを見ると、
私って…きっと良い身代わりなんだって、そんな感じなのでしょうか?
ただ…そう言えば昔、両親に妹が欲しいよ…なんて言ってた事を、ふと思い出して、ちょっぴりほっこりしてます。
で…「お腹がすいたねえ…」っと、ヒルメ様が仰ると、
周りの神族の方々が一斉に動き出し、お食事の用意が始まりました。
その時になってようやく気付いたのですが…ここって凄い山の上で、
しかももう夜だと思うのですが…まだ妙に明るいです…
「これが太陽神ヒルメ様のお力なのです」ミーシャ様が教えて下さいました。
ヒルメ様が起きている間は常に昼間の様で、
お眠りになられた時から、目覚めるまでの間が夜…そんな感じだそうです。
その時、お食事の用意が出来ましたと、神族の方々が知らせに来て下さって、
皆で食堂に向かいました。勿論、お手てを繋いで。
立派な食堂ですが、何故か見覚えが有りますね?
これって、うちの国に有る食堂…それを模して造られてる様ですね。
なんかちょっと不思議ですし、へえ〜って感じです。
そしてメニューもうちの王様が関与したと言われてる様々なメニューが有って、
今日は何を食べたいのか、皆様それをシェフに告げています。
ヒルメ様がじっと私を見てきます…何を選ぶのか、興味津々みたいですが、ちょっと決めにくいですね…
そうだ、逆にここは質問返しで…
ヒルメ様のオススメは何ですか?って聞いてみました。
「え?オススメ…?…うーんとねえ…」
随分と悩まれていますね…
そんなに選ぶの大変だったのかと、ちょっと心配になるくらい、
相当に神剣に悩まれていますね。
何故か、付近に居る全員が、それを固唾を呑んで見守って居ますよ。
後で聞いたのですが、ヒルメ様は自分でメニューを選ばずに、いつも誰かと同じ物が食べたいとか、仰るそうで…
私が聞いた事では有りますが、
どうやら自分で選ぶのって、かなり珍しい事だそうです、
だから、皆様が注目されているのですね…
「うーんとねえ、全部美味しいのよ…だからどれでも良いのだけど…オススメですから…そうね…」
そう言って目を閉じ、腕を組んだまま固まって…
「決まったわ!エトラン、今日は牛丼にすれば良いの!」
ありがとう御座います、判りました、じゃあ牛丼を頂きますね…そういって感謝を伝えると、 それがかなり嬉しかった様で…
そこから周囲の方にもオススメをし始めました。食べたいものがあった方はどうもすいません、これはある意味であい頭の事故ですから…
どうかご容赦下さいませ…
牛丼のお味ですが、うちの国に有るのと同じ味で、当然美味しいです。
で、オススメされたミーシャ様が焼きそばを、
マーオ様がオムライスを、
それぞれ美味しそうに召し上がってます…
ヒルメ様も笑って牛丼を頬張ってます…
私と同じってのが、ヒルメ様のいつもの行動だそうですが…
自分で考える事に気付いたって事を、何故か皆様から感謝されますが…
なんと言いますか、こそばゆいです…
その後、皆で巨大な浴場に行き、
まあ…当然?豪華で荘厳です。
やはり、お風呂も格が違います。
そしてここの水…いやお湯って、地下から風車で汲み上げている温泉だそうです。
うーん、流石は温泉…お肌がツルツルしやがります…
そう言えば…帝国内にも確か温泉って有った気がしますね。
今度、行ってみようかな。
風呂上がりは牛乳…ここではそんな風習が有るそうですよ…
でも、実はこれもうちの王様の押し売りだそうです。
そしてヒルメ様の寝室に同行します。恐れ多いとか…言ったところで、最早、私如きがどうにも出来無いのですね…
ええ、絶対です。だって神様のお願いですから…はい、以外のお返事など、この世には無いのです。
そして就寝…とにかく寝付きが異常に早いですが…
そこで本当に突如夜になりました…聞いては居ましたが、本当に驚きました。
まさしく太陽神…
なんか思ってるよりも気疲れしてたみたいで、
どうやらヒルメ様とほぼ互角の速さで眠ったみたいでした…
ちなみに、お昼寝でも、ちゃんと夜になるそうです。
ご参考までに…




