早速お買い物に 後編
気が付けば、奥の豪華なお部屋へと、無理矢理案内されまして…
豪華な椅子に座って、美味しいお茶まで頂きました…
これでもう、何も買わないという選択肢は消滅しましたね。
グリフォン像ですが、キャラバンのものよりも、まあまあ…いえ、随分とよいお値段のようで…
さっきからもう、ドキドキが止まりません…
案内してくださった老紳士が、
「では、責任者を呼んで参りますので…」そう言って、
スススっと、奥へと消えて行きまして…
より恐怖が倍増して来ました。
ここまでされて、一番安いのってなんでしょうか?
…などとは、決して聞けません…そもそもそんな根性が有れば、ここに座ることもなかったでしょう…
あ…来たみたいだ…緊張します…
「どうもお待たせ致しました…」
あ、どうも、待ってませんよ?
大丈夫です、それより私如きの為、お忙しいのに、わざわざありがとう御座います…
「まあ…いえいえご丁寧に…私が当商会の責任者で、エステルと申します。よろしくお願いしますね、エトラン様…」
あ…どうも、その…えーっと…ですね…
「ふふふ…大丈夫ですよ、無理矢理何かを買わせるつもりなんて有りませんから…そんな事になったら私、きっと神様に怒られちゃうのよね…フフ…」
え?…
「エトラン様、私もかつて神様に救われた奴隷だった者です。つまり神様の関係者は、みんな家族だと思ってますから、決して無碍なことなど致しませんよ」
あ、ありがたい…いえ、ありがとう御座います、なる程…そうだったのですね…
「アーラントのキャラバンでは、きっとうちの商隊もお世話になったでしょうし、今日はその感謝をお伝えしたくて…」
えーっと…あ、こちらこそ、キャラバンには随分と助けられたのですよ、アーラントの皆さんにも、笑顔が戻りましたから…
「そう言って頂きましたら、こちらは大変ありがたいです」
落ち着いた雰囲気で、綺麗で、そして謙虚ですね…全てを、見習わねばいけませんね…
私がアーラントの復興担当者だって事は勿論、ヘンリエッタ様が任命した王様のお手伝いである事もご存知でした。
この方も、ヘンリエッタ様を、エッタお姉さんって呼ぶのですね。
それだけで、大分近しいのが分かりますね。
そこからアーラントでの王様のお話に花が咲いて、
「そっか、マイケル君勝てなかったのか…やっぱり強いな、お兄ちゃんは…」
え?お兄ちゃん?
「ああ、ゴメンなさい。ついクセでね、時々ふと、お兄ちゃんって、呼んじゃうのよね…」
王様が救ったという30人の子供達は、みんな王様をお兄ちゃんって呼ぶ事が、法律で正式に認められています。
なので唯一、例外的に不敬罪にはなりません。
王様が無理矢理押し通したって、確か騎士長さんが言っていたっけな。
…って、そうか、じゃあ、二人の騎士長さんもお知り合いなのですね?
「ええ、勿論。他にもアーデさんやシレンさん、アマジャさんに親戚…いえ、エギラさん…
イサクさんや勿論、エッタお姉ちゃんもね…ふふふ…みんな家族なのよ…」
へえ〜、ちょっと羨ましいなあ…
「何言ってるの?今この世界で一番羨ましがられてるのって、ダントツで貴方なのよ?」
え?…私…ですか?
「そうよ。だってずっとお兄ちゃんと一緒にいられるなんて、そんな凄い事なんて、この世界には他には無いわよ?」
ああ、そう言えば…キャラバンでは、会う人会う人全員から、仕事を変わってほしいって言われましたね…
「ね?…」
随分と皆さん、王様をお慕いされていますよね。
「ええ当然ですわ。だって、私達を救って下さった、ホントに本当の神様ですからね…」
ええ、凄いお方ですよね。
かなり長い間、おしゃべりをして…気が付けば夕方で…
まさか馬車で送って頂いただけじゃ無く、何故か沢山のお土産まで頂いてしまいました…
かなりの量なのですが…
一切、お金を受け取っては頂けませんでした…
逆に…怖いのですが?
その日から、
私のベッドの横の壁には、立派なグリフォン像がそびえ立っております…
いい夢が…いえ、ちょっと別の意味で…
ちょっと、怖い夢を見そうです…




