帰って来ました。
長かった出向の日々が、本日無事、終了しました。
御三人と軽く、お別れパーティなんかして、
帝国での再会を約束しました。
通常なら、ここから馬車に揺られ、長い旅になるのですが…
一瞬でした。
別れの涙が乾くよりも遥か先に、もう帝国のいつもの職場の景色を見てます。
しばらく休んでいる間に、職場は大きく様変わりしていました。
そこには立派な机が並び、まさしく職場って雰囲気がしますね。
ですが、
一番の驚きが、以前円卓会議の際にお会いした、第一から第三調査部までのそれぞれの部署から、このお部屋に出向された方々増えたという事ですね。
そして、この部屋の最奥にも、大きくて立派な椅子が置かれました。
紛れもなく、神の椅子です。
王城の謁見の間、そして円卓会議の最奥、どこも重要な場所には必ず椅子が設置されると聞いていたけど、
ここ?
ここって、そんな重要な場所なんでしょうか?
ちょっと…ビビってしまいますね。
おっと皆様にはご挨拶が遅れまして、
私、エトランと申します。どうぞよろしくお願いします。
「はじめまして大臣補佐様、私は第一情報部より出向致しましたワルド上級分析官です、よろしくお願いします」
え?えーっと…大臣補佐?…私?
「同じく、第二調査部から出向致しました、ミケイラで御座います…」
「同じく、第三調査部から出向致しました、私、サイモンと申します」
「き、騎士団から出向致しました、エルドンですけど?…」
いやいや、騎士長?急に何やってんですか?
「え?…いや、だって今、そういう流れだったでしょ?」
『近所から来ました…俺です…』
は?…ちょっと、王様まで何を…
ってか、近所ってなんですか、近所って…
関係無い近所の人が、ふらっと来ちゃダメな場所でしょうが?全くもう…
「あ、通りががった大臣の、ヘンリエッタです、よろしくお願いします…」
「あ、どうも、同じくたまたま偶然、寄ってみただけの大臣、リースベラですけど…」
…皆様、ノリが良いのは充分に分かりましたから、どうかもう、勘弁して下さい…
いや…ちょっと空気が異様なのですが?
こんなに偉い方が勢揃いして、一体どうかしたのでしょうか?
「何言ってるのよ?貴方に会いにに決まっているでしょ?」
え?わざわざ…それはどうもありがとう御座います。
ご心配頂きましたが、ご覧の通り、本日無事に帰還いたしました。
そ、そうだ…イケない…お茶、お茶を…
「良いのよエトラン。ここ、もうちゃんと給仕が居るのよね…」
え?…ホントに?
私の大事な仕事だったのですが…
「ふふふ…もうエトランったら、貴方のお仕事は、王様のお手伝いでしょ?」
え?ああ、はい、その通りですが…
とにかく、急に職場が急変して、ちょっと落ち着きませんし、
私の机…ヘンリエッタ様らを差し置いて、まさか一番奥なのですが?
「そりゃそうですよ。だって貴方、ここの責任者ですからね?」
へ?…ちょ、ちょっとリースベラ様?仰ってる意味が?
「ああ、実は正式にここ、特務課って名称に決まりまして、貴方がここの責任者で、特務課課長って事に、なってますよ?
あ、辞令、ここに有りますけど?」
ま、まあ…今帰って来ましたから、辞令が後なのは理解しますが…
特務課…ですか?
「そう、王様からの特別な任務をこなす部署…ですからね…」
特別な任務…まあ…確かに…
いや王様?『へえ〜』って他人事みたいに?
『え?あ、ああ…つい』
『まあ…あれだ、エトランはお疲れだからな、あと二日は休んでから、仕事って事にしようか?』
「ん?…怪しいですわ王様…何か企んでませんか?」
『い、いやだなあ、エッタさん?部下に気を使える、ただの気の利く上司なだけだよ?…企むって?』
「まあ、そういう事にしておきますけどね…」
『お、おう…』
なんかいつもの、この以前の空気がなんだかとっても、凄く懐かしいですよね…
そう、色々あったけど、遂に、やっと帰って来ました。
私の仕事、私のお部屋に。




