そして伝説…に。
キャラバン隊の影も無く、すっかりと以前のアーラントに戻った。
つまり、平穏な日常が帰って来たって事です。
実質、ほぼうちの王様のお力有りき…では有りますが、
各国から派遣された軍の力添えも有り、市街の整備はほぼ一定の成果をあげ、
かつての町並みとは、大きく趣を変えはしましたが、
新王政権アーラントは生まれ変わり、新たなる歴史を刻み始めます。
本日、各国代表を集め、
女王の戴冠式、ならびに宣誓式、
…その他、が、執り行われました。
王女様はこれをもって女王様になられたのです。
ちなみに、女王様のお召し物、うちから派遣されたお針子さんらが徹夜で作り上げた逸品だそうで、
うちからの、新王への、最初の贈り物なのだそうです。
そのドレスたるやただただ圧倒的で、一言で、
荘厳…
豪華絢爛…確かにそうなのですが、ドレスは落ち着いた色合い…しかも真っ白なのです…
真っ白なのですよ?当然、婚姻では有りません。
通常ならあり得ない…だって、白は婚礼用のお色ですからね…
ですが、うちの王様が言いました。
『王女よ、王となると云う事はな、貴方はアーラントに…国に嫁ぐって事と同義なのだよ…』…と。
衣装合わせの日、
最初は、一体何で真っ白?…そんなお顔だった王女様でしたが、
そのお言葉を聞いた瞬間には、
王女様はものすご〜く、キリッとしたお顔に変りまして、
「まさしく、その通りですね。
その込められた意味に…私はこのドレスに誓います…生涯を掛け、覚悟を持ってこの国の発展に、この命、全てを捧げると…」
そして、それは美しい、綺麗な礼で、うちの王様に感謝をお伝えになられました。
そうそう、
実際、式典の前後は、その意味を知らぬ民衆からは、一体何だと、どういう意味だと、大きく騒がれました、
「一体どういうつもりだ!?」
「浮かれているのか?」
「気でも触れたのか?」
それはもう、散々な罵声もアチコチから聞こえました。
ですが、最後の最後、
その真の意味を、新たなる王様の口から、直接皆に告げられると、
民衆からは大きな拍手と共に、
新王の覚悟を、その本人のお言葉で感じとり、大勢が涙を流されていました。
自分の幸せでは無く、国に全てを捧げる…その心意気や良し…
民衆は大きな声で、新たなる王の誕生に、覚悟に、大いに沸いたのだった。
普通のドレスで、普通に式典をしていたならば、果たしてこんなに盛り上がったのかな?…と。
『アンタのドレス、それがアンタの覚悟だと…見れば判るやつには、ちゃんと判ると思うが…
まあ…判らん奴には最後…そう、最後の最後に教えてやればいいのさ…』
うちの王様が、確かそんな事を言ってましたが…
そういうタイミング…その瞬間に?
…そんな、どこか計画的な流れを感じますが、まさか、これも…演出?ひょっとして…焦らして、焦らして、焦らしてからの…結果発表?
王様はただ笑って、特に何も仰っいませんが、
それってつまり、そうなんですね?
流石に、ちょっと驚き疲れましたよ?またですかって。
『まあ…何度もこんなのを見てきたからな…そりゃ流石に覚えるし、そりゃ改善もするさ…』
なる程…
『でな、エトランよ。俺もお前も、明後日には帝国に帰るからな、仕事の引き継ぎをしておけよな!』
ええ?それはまた、随分急ですね…
『各国の軍も、明後日以降くらいから、徐々に引き上げる、今がその頃合いなのさ。いつまでも構ってると、アーラントは一人で立てなくなるからな…』
は、はあ…でも、確か復興担当者だったはず…なのですが、私?
『ああ、お前はクビだ。かわりはソフィア嬢に決まったからな…』
く?クビ…?私、何か…やらかしてますか?
『あーっハッハッハ…ああ、お前の本来の仕事は俺のお目付だろ?そっちは随分サボってたからな…クックック…』
えーっと…確か、王様から復興担当者に指名されましたけど?
『え?冗談だよ、冗談、とにかく帰るからな…あとはよろしく』
…人生初の、クビ宣告を受けました…
冗談とはいえ、結構、凹みますね…
え?冗談…ですよね?
執務室の荷物を整理しながら、御三人と最後の時間を過ごします。
当初の地獄を思い出すと、ちょっぴり泣けて来ますが、
これだけは言わせて下さい。
本当にありがとう御座いました。
いずれ皆さんが帝国にお戻りになられたら、
集まって盛大に騒ぎましょうね。ええ、その時は私、奢っちゃいますよ?
…なので、
ですので、私の机を、キャラバンで買った商品の展示に使うのは、直ちにやめて下さい…
代わりの方もすぐに来るとの事なので…
それだけは、お願いしますね。




