キャラバンにて
アーラントにやって来たキャラバンですが、やはり大盛況です。
あり得ない商品が、あり得ない値段で販売されてます。
どれだけ大規模なキャラバンであっても、運べる量には限りが有るのですが…
キャラバンに積まれていたのは、実は腐らないものだけで、
生鮮は全て、王様がここから何往復もして、全てお一人で運んだようです。
どうりで、将棋の前にお姿が無いなあって…
どうりで、食糧が全然売り切れないわけだ…
そして、キャラバンの関係者は、王様を神様かお兄さんって呼びますね。
通常なら不敬罪ですが…
みんな王様と仲が良い…ってか、もう兄弟や親子かってくらい、近しいです。
気付いたんですが、皆さん、王様に今の自分の姿を見て、褒めて貰いたいんだと…
そんな気がしてます。
王様もそう思ってるのが、
見ているこっちにも伝わって来て…何だかほっこりしますね。
そして、それぞれの屋台の責任者さんにも、
やっぱり?当然?
小さなクモさん、守護魔獣がついていますね。
うちのオニキスちゃんは、ミュー様の直接の分体だからなのか?
私が近づくと出て来て、ぴょこって、挨拶をしてくれます。滅茶苦茶かわいいですね。
さて、大きなトラブルも無く、商売…いえ、ボランティア?は、順調に運営されてますね。
どうやら司祭様や教会関係者もみんなお友達らしく、
本当に楽しそうにお話されてます。
ここに集まったキャラバンの責任者の皆さんに、
王様から、私が紹介されました。
皆様から口々に、どうか私と代わって下さいな、って…
そんな冗談…
…冗談なのかな?
そう、ひたすら同じ声を掛けられ続けています。
ですが…私、諸事情が御座いまして、
申し訳御座いませんが、この仕事を失う訳には参りません。
必死に抵抗してます。まあ…冗談だと…思いますよ。
皆さん目は笑ってませんが…
とにかく、なるべくキャラバンに金をばらまけと、王様から申し送りが有りまして、
騎士団は勿論、軍人さんも兵隊さんも、
私と三人の…とあるショーギ馬鹿…でも、キャラバンにて、お買い物をしています。
かわいいブローチやネックレス、香水なんかには一切目もくれず、
ソフィア様が即決でうちの王様の武器…そのレプリカを買いました。
結構良い値段してますが…
「おお、お嬢様はお目が高い!これはそう、地上最強の漢が持つ、地上最強の武器…を、
完全再現した、世にも珍しい、そして貴重な逸品ですぜ?」
「頂くわ…」
え?いや、そもそも?
…嫁入り前の女性が、
絶対に買っていいものでは無い気がします。
シャイナ様は、豪華な装飾のついたショーギ盤を、これまた即決でお買い上げです…
まあ…ココらへんはまだ、セーフな気がしますが。
マゼラン様…何故か、いたく気に入ったそうで、
グリフォンの像を買われました…
何故こんなモノを売ってるんだって疑問を…
何故こんなモノを買うんだって疑問に、すぐに書き換えて下さいました。
皆様、変わってますね。私の頭には、だから嫁の貰い手が…って、そんな言葉が浮かんだのですが…
言えません…
きっと私も同族なのでね…っと、
黙ってぎゅっと、唇を噛み締めました…
私はそういったモノはスルーです。
確かに、欲しいかと言われれば、欲しい…そう言わざるを得ないですが、
なので見ません。
せめて私だけでも、嫁入り前の貴族の娘…っぽいモノを買うのだと、
妙な、謎の使命感に包まれてます。
色々見て周りますが…悔しいですが、私も似たようなものに強く興味を奪われるのです…
武器とか彫像、彫刻…何故か猛烈な誘惑が止まりません…
キャラバンの空気が、余計なモノを素敵なモノに変換させる魔法でも使っている気がしてきました…
そんな時に、キャラバンのお姉さんに強く勧められて、
少しの荷物と一緒に、オニキスちゃんが入って休める、肩から下げるカバンを買いました。
全然セーフです。素晴らしいです。
全くもって、これはセーフですよね?
女性がバッグですから、絶対に正解に一番近いと言えるはずです。
あとは、このバッグに仕舞える、護身用の武器を…
あ…
やはり…私も同族でした。
でもまあ、買いましたけどね…武器…
ただ、言わせて頂くのであれば、
私は王様とあちこち…
死地にだって普通に行くわけですよ。
当然、護身用の武器は必要だと思うのです。
かっこいい折りたたみのナイフとか…
火を起こす道具とか、
投石機とか…
え?
…同族ですか、そうですか。




