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頂上決戦ですよ。

 さあ、ついやって来ましたよっ!

 

 無敗の絶対王者 対  厳しい予選を勝ち上がった、真の勇者…


 頂上決戦が今、その幕をあげます!!


 うおおおおおおおお…


 大盛り上がりです…観衆の熱がすごいですね。

 何よりも、軍人さん方の様子が変でした。

 うちの王様を応援するのが筋ですが…

 負けるとこも見てみたいと…


 一体どんな手で攻め、どんな手で護るのか?



 先手は司祭様ですね。


 司祭様は大きく息を吸い込み、ゆっくりと吐き出す。

 そして、最初の一手を動かしました。

 攻めるのですね?てっきり穴熊?あれでリベンジかと思いましたが、

 どうやら方向転換して、本来の自分らしさを前面に出して戦うそうです。


 対する王様…


 静かに、そしてニヤリと笑い…

 『ほお…攻めるのか?なら…』


 

 「ま、まさか…それは…」



 『クックック…折角だ。穴熊で来ると思いきや諦めるとは…哀しいぞ?…だが、ならばお前に見せてやろう、本物の穴熊をな…』

 

 司祭様の目が大きく開いた…

 「ほ、本物の…」

 

 結局、王様はなんと自陣の端っこまで、王様のコマを動かしました。

 当然、周囲はガチガチに囲まれていますね…


 「まさか、王を最端に?」司祭様は、終始ずっと驚いてますね…


 うちの王様は絶対防御を敷き、左右の将軍(飛車、角)だけが、大きく激しく動く。

 攻撃も行うのだけど、やはり防御が凄かった。


 敵の攻撃を全く寄せ付けない…


 王手までが遠い…余りにも遠かった。

 すぐそこに居る王まで、どうやっても簡単には近づけないのだ…


 うちの王様は、完全に準備が整った様で…終始余裕の表情です。


 ただ相手を待ち構え、攻め上がってきたコマを次々と狩って行く…


 司祭様の汗がすごいですね。


 「まさか、こ、これ程の…こんな手を、ずっと隠していたんですか、神様…?」


 『ん?…そうだな…隠すというか、実は使うタイミングを失ってただけんだけどな…』

 

 各国の軍人さんも、すっかり固まっています。

 攻め手が無いのです…しかも、攻め込めば必ず狩られる…


 実際の戦闘なら籠城には限界があり、やる方もやられる方もまあ…大変ですが…


 ショーギだと、順番ですからね、

 狩られると解っていながらも、順番で攻めねばならず…


 意味ない動きでもして時間稼ぎしようものならば、

 あっと言う間に左右の将軍に陣地を食い破られていきます…

 ので、攻めざるを得ない…


 攻めても地獄、守っても地獄、


 凄いな…流石は無敗の絶対王者…エグいです。


 えーっと…ソフィア様?なんで泣いてるのですか?


 え?…凄いから?は、はあ…

 

 異様な空間に、王様ただお一人だけがだけが、余裕の表情で、


 当然ですが…司祭様は苦々しいお顔だし、


 んーっと?


 周りで見ていた軍人さん方も何故か皆が、大体難しいお顔ですね…


 張り巡らされた防御網…まるで蜘蛛の巣の様ですが…


 皆がそれに絡め取られた、まるで獲物かの様な…


 きっと必死に、探しているんですね…どこにも無い、その逃げ道を…


 攻めているのは司祭様ですが…


 まるで、素手で剣でも殴ってる様な…そんな状態です。


 そうなってくると見てるのも辛い、

 一方的な状態です…



 まさにラスボス…立ち塞がる巨大な壁…


 絶対王者とか、呼ばれる理由ですね…



 そして…ついに王様が声を出した。


 『どうだマー坊よ…これが本物の穴熊だ。こうなってはもう、お前には打つ手は無いんだ…降参しろ…』


 「クッ…」



 …


 …


 …しばしの沈黙の後、


 目を閉じ、苦悶の表情でじっと固まっていた司祭様ですが…




 「参りました…」



 おおおおおおおお!!!凄い歓声が起こりました。


 絶対王者が、まさに王者の貫禄で、強い挑戦者を、その力でねじ伏せました。


 近くで見ていた軍人さんらが一斉に立ち上がって、王様にお声を掛け…


 何故か近くの人同士で、急にショーギを始めましたよ。


 まあ…当然皆が、先程の穴熊を、見様見真似でやってますが…


 なんか少し、それが微笑ましいのは、私の気の所為でしょうか?


 両方が護ってたら、いつまで経っても終わりませんよ?


 ええ、そのお気持ちは判るんですけどね…



 ちょっとシャイナ様?貴方には、穴熊はまだちょっと…早いと思いますよ?


 ええ当然、マゼラン様もね。防御にもたついたせいで、完全に攻め込まれすぎですけど?



 ソフィア様は、必死に足掻く司祭様に感情移入しちゃった様で…

 「勝負はいつも非情なのね…」とか言ってますね。

 知りませんよ…勝負?何言ってるんですか?



 王様と司祭様が強く握手を交わされました。

 

「悔しいですが…完敗でした…」


 『フッフッフ…まあ…懲りずにまたやろうぜ?』


 これ以降、アーラントでは年に一度、盛大な将棋大会が行わる事となりまして、


 第一回優勝者の名はそれぞれ石碑に刻まれまして、


 「ここでの敗北は、ここでの勝利で塗り替えねばなりませんので…」


 各国の軍人さんが次々と、何故かそう口にしてますね…来年も来ると誓ってますね…相当悔しいんすかね?


 ああ、負けっぱなしが嫌なのでしょうね。負けた相手にリベンジしたいのですね…


 なる程…ここには、負けず嫌いさんが大勢いるようですね。



 以降、将棋大会はアーラント復興後も、

 ずっとずっと、皆がアーラントに集まってくる、アーラント最大の名物イベントとなったのでした。


 『フッフッフ…俺の狙い通りだな…』


 そう言ってる王様ですが…

 実は司祭様が数回…こっちにとって、ホントにありがたいミスをしてくれたので、


 それで勝てたんだよなって…


 実は結構ギリギリだったって…


 内緒で、私にだけ、こっそり教えてくれました。


 流石は勝負師…勝負中は常に、ずっと余裕の表情…憎々しい感じでしたが、


 実際は内心、ドキドキだったのか…フフ…


 ちょっとかわいいって…あ、流石に不敬ですね。

 以後、気をつけます。

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