表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

7/42

今度こそご挨拶を

 脛を必死で擦りながら、王様は玉座にお戻りになられた。


 騎士長はまだ、正座の様な格好で、床に頭を付けながら、脚をバタバタさせつつ、ウンウンと、呻いていた。


 いや、これはお見苦しいところをお見せしてしまい…いやはや…


 改めまして…

 我は、現国王、ヨハルトで有る。



 ねえ、…ちょっと、

 先輩?いや、第二騎士長、

 貴方一体、いつまで見苦しく転がってんですか?

 仮にも、騎士どころか、騎士長でしょうが?



 あ…ああ、いや、待て…仮ってなんだよ、仮って?私はれっきとした…いやまあ…良いや、


 いやもう…随分久しぶりに食らってしまったよ…


 いや…すっかり忘れてたわ…この痛み、いやいや、もう軽い地獄だな…


 なに言ってんです、こっちは、不幸な巻き添えですよ?

 完全な貰い事故ですよ?

 もうこれは完全に、一つ貸しですからね?



 ああっと、…御免ね、もうすっかり置き去りでしたね、エッタさん…?


 良いですか、もう大丈夫ですよ…

 今のこの国王は、相当身内に優しいですからね。


 なあ…諸君?ねえ先輩?


 守備兵は大きく頷きながら、「「はい、その通りで御座います」」綺麗に揃った返事を返した。


 騎士長は立つには立ったが、まだ顔を顰め…大きく一回、頷いた。



 あの…今…一体何が?


 ああ…今の?


 説明が難しいんだけど…


 そうだね、怖い怖い…とんでもない地獄耳の神様が居てね…


 悪口?いや…国にとって大きな問題発言や、恐ろしい企てなんかを聞きつけたらね、


 即、罰が下るんだよ…


 その罰ってのがね…


 鉄の棒でね、脛をぶたれるんだよ…


 これがもう…痛いの何のって…

 とにかく凄く痛いんだよ…



 あの…それって…まさか…今、神様が、直接叩いたんですか?



 そう…なんだよ。

 まあ…見えなかったと思うし、

 簡単には理解出来ないとは思うけど、

 

 うちの国がお祀りする神様ってね、

 凄く特殊な能力をお持ちでね。そんな不思議な事を、容易くさらっと、やっちゃうんだよな。


 で…君、エッタさんが、

 エギいや…大臣に選ばれた、

 その…特殊な神様…真の王の、お世話係って訳だね。


 「え?」…じゃあ、私も脛をぶたれるですか?


 ハハハ…いや…幾ら何でも、そんな傍若無人な神様じゃあ無いよ?


 何もしなきゃ、相当優しいですよ。


 そもそも、弱いものを虐げたり、殺生そのものを、特にお嫌いですからね。


 まあ…ここにも頻繁に来るでしょうから、今後とも、宜しくねエッタさん。


 国王様は、想像の何倍も穏やかで、

 普通に…そこらに居てもおかしくない男性だった。

 正直、違和感しか無い…



 それもその筈…だった。

 この国王様は、言ってみれば影武者で、


 目の前の国王様本人が笑って仰ってた…

 「私は、言って見れば雑用係…雇われ国王なのだよ」、と…


 …雇われ国王?何それ、そんなの聞いた事も無いよ…



 少し後で聞いたが、

 そもそも真の王こそが本当のホントの、唯一無二の国王様で、


 とにかく、その真の王は、政治や外交の様な、

 普通の王様なら当然の仕事が…


 そう言った面倒くさい事が、特にお嫌いで、


 …下手に機嫌を損ねると、

 この国が滅びる可能性まで有って…って?


 雇われ国王様は、


 実は…とある組織から選抜され派遣された、対外用の、


 いわば代理…の、王なのだそうだ。


 仮に誰かにここで狙われたって、逆に返り討ちにしちゃう位、実は強いんだって。


 勿論、これは絶対に極秘だ。



 第一守備隊は城の外を、第二守備隊は城の中を警備するそうで、


 騎士長さんは、実は第二守備隊の要職も御兼任されているそうなので、


 だから…

 騎士長と王様は面識あるどころか、

 毎日顔を合わしていたからこそ、

 あんなに仲良く、フランクな関係だったんだって、それも後で聞いた。


 その後、王様と騎士長に王城をくまなく案内され、



 しかも、王様とご一緒に、豪華なお食事まで頂いて…




 そして研修?…1日目は、なんとか無事に終了した。



 恐ろしい程、精神的に疲れちゃった…




 ベッドに倒れ込み、あっと言う間に、



 私は深い眠りに落ちていた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ