それは貴方の、貴族の都合ですよね?
私、一世一代の大ピンチです、今まさに…
その運命の分岐点に居ます。若干…嫌な流れを感じます。
事なかれ主義…貴族の王道です、
無かった事にしたいが難しい…よりにもよって、人違いな挙句、重要な他国の使者で、
他国ってのが、帝国だと…
小娘の手をつかんだと思ったら、なんとそれは巨大な大怪獣の尻尾だった…
知らぬ存ぜぬは全然通じませんよ?
何故、安易な殺人、死体遺棄という、間違った答えを選ぼうとなさるのか?
うちの特殊作戦群とか白組って、例え世界の端っこに隠れてたって、きっと探し出してしまいますよ?
相手が悪いんです、悪すぎるんです。貴方方の手に負える相手では無いのです…
皆、あっさりと殺されてしまいますよ?
何より、ここ迄必死に働いて来たのですよ、私は!
それをむざむざと、こんな事で、
人違いなんかで、壊されて堪るもんですか!
ここはもう一押しし、何とかこの身の安全を確保しなければ、死んでも死にきれないです…いや、死ぬのも嫌ですが…
このままでは、明日には冷たい土の下ですか…絶対に嫌ですね。
良いですか皆さん、貴方方の希望で有り、最後の望みは私なのですよ!
良いですか?
私だけが、お姫様にお話が出来、私だけが、帝国との問題解決の、鍵、なのですよ!!
大きく出ました…ここは思い切って…
少し前に、食事しながらエルドン騎士長さんが教えてくれた、
ハッタリ講座が、なんと役に立つなんて…
とにかく、窮地の場面こそ、自分の価値を最大級に引き上げとくんだって…
まさに、確実に、じわじわ効いてますね?
唯一絶対とか…俺こそが鍵…その辺りの言葉は、困ってる奴には特に刺さるんだよって…
ああ騎士長さん、ありがとう…無事乗り越えられたら今度、たこ焼き奢ります、
勿論、たこ屋のやつですううう。
首の皮一枚…いえ、多分髪の毛一本くらいで、どうやら私の処分は、一旦保留されました。
「…我等は、謀反など起こしてはおらんのだ…だが、色々誤解があってな…」
ご老人は、コーリン卿という、貴族だそうです。
コーリン一族は常に王族の側に使える右腕の様な存在であったと言う…
そう、あの日までは…
色々、回りくどい言い訳を並べてますが…
要は、コーリン一族の中が一枚岩で無かったのと、
ご自身の息子、つまり次期当主が例の悪徳后の手先であったと、
その責任は確かに当主で有るご老人に有るのだけれど、実際自分は一切関与していない上に、
一族全ての膿を切り離し、改めて忠誠を…っとお話したかったのに、一切耳を貸さないお姫様に、
なんとか話しを…っと、誘拐ですか?
どれだけアホなのですか?ただでさえ絶対絶命の場面で、そんな事すりゃもうただじゃ済まないでしょうが?
いい年して、そんな事さえ判らないなんて、貴方、それでも貴族ですか、貴族が聞いて呆れますよっ?!
あ…いけない、自分の価値を上げたかっただけなのに…
思わず説教しちゃった…田舎の小娘のくせに…
まさか…コーリン卿が、泣いてる…?
うわうわ…自爆ですか、私?
つ、つい興奮して…
ああ…流石に激昂されて死刑って流れですね…
お父様、エトランはやっぱり長生き出来ない職場で、やっぱり長生き出来ませんでした。
先に逝ってきます。後のことはお願いしますね…
では、さよお…
え?ポカーン…
…
…
まさか…?
ご老人を始め、そこにいらした皆さま、何故か土下座でした…
絶対絶命からの、ハッタリと説教…
そうだわ、これが王様のお好きな言葉、ダブルコンボを叩き込む…って事でしょうか?
この瞬間、
誘拐された被害者から、謀反貴族の関係者へと昇格してしまった私でした…
当然、今だに現状の把握は一切出来てません。
果たして、私の運命はいかに…




