捕まっちゃった様ですね、私。
えーーー、なんと言いましょうか…、
軽い、人助けのつもりだったのですが、なんか…完全にピンチですね。参りました。
え?…以外と落ち着いているなって?
そうですよね、こんな時はか弱い女性らしく…
きゃあああああとか?…
言うべきなのでしょうね、そう、こんな時こそ?
ええ、こんな私だって判ってますよ?
ただね…もっともっと怖い、武器を構えた盗賊達や、もっと怖い、高い山の上からまさか普通に飛び降りるとか…
まあ…色々と怖い経験をしたあとなので…
そこらと比べると、そこまで怖いかな?って、
すぐに死ぬ訳でも無いのかなって?
え?…危機感が完全に麻痺してますか、私?
うーん、そうかも…それはいけませんね。自覚しないと…
で、私を取り囲んだ皆さん、
えーっと…すいませんが、貴方方はどちら様でしょうか?
私をどうするおつもりでしょうか?
一応、言って置きますが、私は他国の人間ですから、
新政権相手の交渉を有利に進める為のコマ?
価値のある人質には、全くなりませんよ?
ただのお手伝いに毛が生えた程度の、立派な田舎貴族ですからね…言ってて悲しいですが…
そうですね…今、サッサと解放して下さったら、何も無かった事にしておきますよ?
ええ、何も、誰も見てません。勿論、何も無かったですよ?…って。
私が怖くないと思ったもう一つの理由、
この方達が見た感じ…
盗賊の様な荒々しさも無く、兵隊の様な力強さも無い、普通の一般的な貴族?
どう見ても、非戦闘員だったからです。
一応?お一人、護衛ぽい方も居るようですが、妙に落ち着いていますね。まあ…所詮は小娘一人ですから、簡単に抑えられると、きっとそうお考えなのでしょうね。
…それ正解です。
「手荒な真似をして済まないが、解放は出来ん…」
一番年配のお方が、静かにお話になります。
えーっと…失礼ですが、貴方はどちら様でしょうか?どこかで…お会いした様な記憶が…
「ああ…そうだね。君とは確かに、そう、城で会ったよ、一度ね…」
やっぱりですか、えーっと…貴族のお方が、一体全体何でこんな事を?
「まあ…ここではなんだ、出来ればこれ以上、なるべく手荒な真似をしたくないので、どうか黙って一緒に来て貰いたいね…」
え?…はい。分かりました。
ですので、どうか乱暴な事だけは…
「判っている…行くぞ?…」
そうして、移動すること数分…
そこから馬車に乗り、更に移動してますね…
どうやら街の外へ出るようですが、
ちょっと困りましたね…
命の危機も無さそうな感じですが、
あくまでも今のところは…
良くないですね。唯一の安心材料は、騎士長さんが私の経緯をご理解下さってるトコですが…
まさか…馬車まで用意されていたとなると、流石に簡単には探せないでしょう…
何か目印でも残そうと、預かった薬草をわざと落として見たものの、
「落ちましたよ?」
…と?親切な御者の方が拾って下さったのが、とっても辛いです。
…要らぬ親切ですよ?とは、言えないのよね〜流石に…
これは流石にちょっと、焦りを感じて来ましたね。
取り敢えず、祈る…以外に、出来る事を考えましょうか。
…
…
ビックリする程全く、何も浮かびませんね。
そもそも誘拐なんて、一切経験有りませんし、まあ…所詮田舎モンですからね…
狙われなんて事は無い、いや、有ったな…
でも、狙われるとすれば、それは魔獣か、或いは大きな獣?
そう勿論、餌として…
田舎過ぎて…悪人らしい悪人さえ、実際居なかったよな、うちの田舎は…
良い事なのに、何故だか哀しいって云う不思議…
暫くの間、馬車は動き続け、やがて森の中の小さな屋敷?
かなり古い建物の前で止まりました。
そこはかなり古くて、老朽化、廃棄…って、そんな言葉がすぐに浮かびました。
中に入ります。
見たところ、入り口の近くの、大きな部屋だけは、キレイに片付けられています。
そこに通され、そして座るように促されました。
あわわ…緊張して来ました。
出来れば…怖い事されたり、聞かされる前に、
お花を摘みに行きたいんだけどな…
一回、お願いしてみようかな?怒られるかな?
あの…申し訳御座いませんが…
一番年配の方のすぐ隣、優秀そうなお付きの執事さんっぽい方に向かって、ちょっともじもじとしてアピールしてみました。
おお!流石に執事さん、ちゃんと判ってくれたようです。
すぐに年配の方に耳打ちして下さいました。
「この女…何か企んでおるようですが?」
ちいーがううううっ、違いますっ、普通にお手洗いですから、
ずっと馬車だったんですよ?そういう女性に対する気遣いが、貴方は出来ないのですかっ!?
…思わず、大き声を上げてしまいましたが…
苦笑いと同時に、お手洗いには行けました。
良かった様な…恥ずかしい様な…
うーん、なんか色々考えさせられますよね、誘拐って。




