あれ以来、大変でした
皆さんに王様と、王様の伝説の武器をご披露してからと言うもの、
王様が差し入れを持って現れるのを、今か今かと皆さん待ち構えてます。
よく判らないんですが、皆さん自分のペンや筆に、「ドラゴンこわし」と、勝手に名付けています。
ちょっと怖いです。
何故か、王様はまだかと、私が催促されました。私を脅しても、それは無理ですよ?
あの方は自由ですからね。
そういえばヘンリエッタ様が仰ってましたね、
探してない時はすぐに視界に入るのに、
探し始めたら、途端に姿をくらますんだって…
そう言う本能?能力がお有りなのでしょう。
つまり、ここには当分来ないと思いますよ。
王様、皆さんにちょっとビビってたし…
まあ…気長に待ってたら、ひょっこり来て下さいますよ。
いや、炊き出しの場所や、配給の場所を探せば、案外すぐに見つかる気がしますが。
え?…あ、はい…
…っと、言うわけで今度は生活物資の配給所の視察って事だそうです…
皆さんに押し切られました。
圧が…尋常じゃないんですもの、
まあ…視察自体の予定は有ったので、問題は無いのですが…
配給所は主に、服や靴、薪、水や水を溜める袋…などなど。
生活物資全般と、薬草が用意されています。
ここにはゴルド騎士長がいらっしゃっておりました。
「やあ、エトラン嬢、ご機嫌よう…」
どうも騎士長、おはようございます。お仕事ご苦労様です。
ちょっと視察にお邪魔したいのですが?
「ああ、勿論構わないよ。何処からでも好きに見て下さいな…」
ありがとう御座います。それでどうですか、物資の具合は?
「そうだね…緊急の薬やなんかは、既に我が主がお運びになったんで問題ない。それ以外の緊急じゃ無い品々については、備蓄量はまだまだですが…それ以外は特に、大きな問題も無いですね…」
まあ…やっぱりここも王様が?
「ハッハッハ…そうさ、いつだってうちは、王様が最初に動くからね…」
「え?…王様が…お運びに?」
ああ…ソフィア様…それ以上の会話は、全て国家機密に抵触しますのでどうか…
「あ、はい…申し訳御座いません…」
「ん?…なる程、エトラン嬢はその辺に苦労が絶えんようだね?」
あ、はい…ありがとう御座います。
何でも話せれば良いのですけど…流石に…ねえ?
「まあ…話したところで、普通の人間には、到底理解出来るとは思えんが、まあ…事実は小説より奇なりってヤツだな?」
アハハ…ですよね。
おっと、私と騎士長が盛り上がるほどに、皆さんの視線が痛い…
いけません…空気が悪化する前に動きましょう。
そうですね、皆さんのお目当て…王様も居ませんし、特に問題も無いようなので、そろそろ帰りましょうか?
そう、言いかけた時に、小さな男の子が慌てて天幕に駆け込んできました。
「お、お母さんが痛いって言ってるんだ、だから…だから…お薬をくださいっ!」
今にも泣きそうになってるのに、頑張って来たんだわ。
「ねえ、お母さんはどこが痛いって言ってるの?
それによってお薬は変わってくるわよ?」
ソフィア様が問いかけますが、少年は返事に困ってますね…
じゃあ、こうしましょう。
私が幾つか薬草を持って、そのお母さんの様子を見て来ますよ。
ねえ僕、案内してくれるわよね?
「うん、わかった、こっちだよ」
「良し、念の為護衛をつけようか?」
大丈夫ですよ、騎士長。お忙しいのに、
ちょっと様子を見てすぐに戻りますよ。
「そうか…なら、エトラン嬢にお任せするよ?」
はい。ではちょっと行って来ます。
あ、皆さんはどうぞお先にお戻り下さい、すぐに戻りますので…
そして、男の子に手を引かれて、街の中をどんどんと進んで行きます。
撤去しきれない瓦礫が、至るところで道をふさいでいます。
視界が悪いですね。
これはもう、ちょっとした迷宮ですね?
とても入り組んでますが…
後で、私一人で帰れるかな?とか…
な〜んて、呑気にそう思っていた時期が私にも有りました…
ある意味?その心配は無用でした。
あちゃー…これはまずいな。
すっかり油断してましたがこれ、なんと罠でした。
案内された場所では、大勢の男達が待ち構えて居ました。
「ごめんね、お姉さん…」
そう言って、可愛い僕ちゃんは、何処かへ走って消えて行きました…
うわあ〜ちゃんと護衛連れてくれば良かったよ…
うーんとこれ…かなりヤバイのでは?
おっと、丁度良かったわ、傷薬も持って来といてって、…言ってる場合では無いですね…
これはあれですか?
私…詰んだ?




