揉め事ですが、自業自得です。
炊き出しを開始してから、どんどん人が集まってきています。
それを、帝国騎士団の皆さんが、綺麗に整理しています。
そんな中で、老人や子連れの女性子供が別に誘導されて一箇所に集められています。
はて、一体何故でしょうか?
この集団だけ、座って待つように言われてますね…
すると、大きな鍋を長くて太い木の棒に吊るして、鍋の方がが人間に向かって動いて行きます。
確かにご老人や小さい子供は並びの大変ですものね…
しかも、運んでいる騎士団の人達の動きに、一切そつがないです、慣れてますよね。
後で聞きましたが、これもうちの王様のいつものやり方だそうです。
それを聞いたソフィア様が、また涙を流されてますよね。
そうなんですよ。うちの王様って、必ず弱者優先なんですよね。
何故か私が誇らしい気分ですが、私はただの首輪です。
自分の事の様に思う事は、普通きっと不敬なのでしょうが、あの王様は、そんなの一切気にしませんよ。本当に凄いお方だって、つくづく思います。
あら?
列の途中に、割り込もうとする輩が現れた様ですが…
駄目ですよ、ちゃんと順番は守って貰わないと?
心配しました、でも騎士団の皆さんによって、あっと言う間に制圧されてますね…
まあ、そりゃ当然でしょう。
驚いた事に、割り込もうとした連中は、なんと盗賊や野盗達なのだそうです…
まさか盗賊とも在ろうものが奪いもせずに、わざわざお情けにすがりに来たと?
え?…流石に無理?
ああ、確かに大規模の軍が集結しているのを見てますからね、絶対に奪え無いと。
オツムの弱い方でも、それはすぐに理解できたのでしょう。
…だったら列に並べよって話ですが。
ですが不貞腐れて、やれ早くしろだの、サッサと持って来いだの、好き放題喚いていますね。
流石に忙しい騎士団の方の我慢も、そろそろ大概って時に…
出て来られましたよ。
あー、もう絶対に、痛い目を見ますよね。自業自得ですよ。
『うるせえな、黙れやボケがっ!』
そう言って王様が突如現れて…
その盗賊達には、次々と罰が与えられて行きますね…
騎士団の方がボソッと仰ってますね…ほら、言わんこっちゃないと…
ガンッ、バキッ、ゴンッ…
ぎゃあ、ぐああ、痛え、痛え…
短い悲鳴が、次々と聞こえて来ます、
そして、盗賊達は足を抑えて、ゴロゴロと地面を転がってますね。
うちの関係者が皆さん、心底恐れるという、王様の罰…
あの音で判りますね。相当痛いと…
『いいかテメエら、次にまた騒いだら、こんどは反対側も行くからな?…判ったか?』
そう言い残し、王様はゆっくりと歩いて天幕に帰って行きました。
住民らの、ポカーン…が、良く分かります。ええ、そうでしょう、そうでしょう。
あんな凶暴そうな大男が、揃いも揃ってみんな、地面を転がってますからね。
ソフィア様も、ただ呆然とされてますね。
ええ分かりますよ。初見だとそうなるのですよ。ええ、私もそうでしたから。
でも…
あのお方の前では、凶暴そうな盗賊なんて、ただのそこいらの石ころなんですよ。本当に。
凄いんですよね、うちの王様って。
そう言って、ふと横を見ると、皆さん、手を合わせ王様に祈りを捧げていました…
まあ…そうなりますよね、普通。
私はもう見慣れちゃって、すっかり麻痺しちゃってますが…
はいはい、皆さん、そのくらいで、もうお仕事しましょうね。
そう云うの…うちの王様、本当に苦手でらっしゃるので、はい。




