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復興に向けての会議

 その頃、帝国の議事堂では、アーラント復興の援助の全容、

 規模や期間と言った細かい内容を、

 官、民でとり決める会議が、既に何度も行われていた。


 我が国王様の直属の、大臣や将軍の、更にその下に位置する機関の代表者や、抽選で選出された一般国民、

 そして一部だが、他国の商人までもが、ここには参加している。


 なるべく多くの目線で考えるのが、

 内からだけでは無く、外からの意見も特に重要だろうとの、王の考えによって。


 当然だが…、上の決定を下に無理矢理押し付けるカタチが、多分…普通の国では、当たり前なのだろうが、


 ごく一部の例外、特号を除く物は、ここでは必ず全国民の七割以上の賛成が無ければ、

 例えどんな案件であっても可決はされ無い。


 なので、その案件が可決されるまで、

 何度でも何度でも、その可決される時の妥協点を、摺合し探す折衝が行われる。


 ただ…基本的にはそこ迄大きく揉める事が、実は余り無い。


 この国はなにせ、普段から役人や軍人らの、国民らと距離がかなり近い。


 国民の食料と安全を司る軍部…兵隊も、

 普段農民と一緒に、農業を行なっているし、


 ここに商品を持ち込む商人も、ここから荷を出荷する同盟国の商人らも、

 この国の外交力と戦力が有ってこその商売なのだ。


 他国に比べ、ここに住まう国民のほぼ大半は、国に文句をいうより先に、国の為に力になろう、なりたいと、そう考えている。


 だが…今回の相手が、あのアーラント国だと言うのが、唯一問題であった。


 かつては鉄製品で、かなり名を馳せた。

 …そう、かつてはだった、のだ。


 鉱山がダメになって以降は、唯一の収入源だった鉄製品での収入が、右肩下がりに激減していった。

 通常、そうなる前に、何かしらの対策をすべきなのだが…


 だが、アーラント王は、国の運営を担う機関は、何故かそれを怠った。


 混ぜ物で誤魔化した、劣悪な粗悪品を高値で押し付ける様な、商売としては最悪のカタチ、詐欺行為をずっと続けたのだ。


 例えば、そこらで遊んでいる童で有っても、

 それでは絶対にダメだろうと、そう分かるくらいに。


 今、アーラント国が置かれている状況は、完全に自業自得なのだ。

 その上で、国内事業の改善よりも、目先の武力行使を選んだ国だ。


 国民や商人の懸念は、そう言った国の頭をすげ替えたとて、

 そこから下の…背骨も内臓も、完全に腐り切っているだろう、と云う事だった。

 

 つまり、その腐り切っている患部を全て切除して、残ったボロボロの身体で、国がどこまで動けるのか?


 遠い昔に捨て去った農業基盤を、一体どこまで回復出来るのか?

 

 そして、そこ迄手を差し伸べて、この国に一体、どれ程のメリットが有るのか?


 当然だが、無償の援助で出せる限度などは、たかが知れている。


 それではアーラントには、焼け石に水だと…


 それ以上の支出を行う以上は、

 必ず、それに見合うだけの対価が必要となる。

 で、そのアーラントだが、鉱山資源は枯渇し、農業は廃れ…

 今、我が国が大量に投資をしても、それを回収出来る見込みが、現状は殆ど無いのだ。


 コチラへちょっかいを掛けて来た悪党に、身銭を切って助ける価値が、果たして本当に有るのか、無いのか?


 会議に参加した皆は、そこに大きな疑問が有るのだ。


 そこに参考人として、この国の中枢に位置し、汎ゆる情報を収集し、分析を行う機関から、何名かの担当者が派遣されている。


 先ず、アーラント国の現状、それも蝗害後の現状を説明し、その被害の大きさを伝えた。

 当然だが、ここに参加した全ての者は言葉を失った。

 余りにも被害が甚大だったのだ。


 そして、それ故に考えうる、復興と復興後の予想を伝えて行く。


 先ず、王城の一部を除き、街の瓦礫を撤去しつつ、街そのものを作り変えて行く事。


 我が国の土地の土壌と、アーラント国の土壌が、非常に酷似していると言う事。

 すなわち、我が国の農産物を作れる土壌、場所が近隣に確保出来たと考える事が出来る。

 

 次に、アーラントは海に面しており、港の整備によって、

 漁業の充実と、我が国の海軍の為の補給所を、他国にも置けると言う事。

 そして、

 例えば、我が国内での農産物に、病気や天候不良による大きなマイナスの影響があった場合、

 出資した我が国には、食料確保の大きな保険となり、

 現状、メイヤード国からの輸入にのみ頼っている、一部の海産物の、別ルートでの確保、

 特に、メイヤードは、台風の影響が、毎年大きく出てしまう土地柄で有り、

 別ルートの確保は、我が国に於いては、かなり有意義で有る事。


 また、他国からの攻撃に晒された場合の

緩衝地になる位置関係である事、


 そう言ったメリットが説明された。

 同時に、それらが確実にその通りになるであろう確率や、

 我が国が、その恩恵を受ける側になる迄の、大まかな予想期間が述べられる。


 そこからまた会議は続き、


 一応の妥協点を見出すまでに、更に二日を要したが、会議は無事に妥協点を見つけ、



 法案はようやく可決された。



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