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いざ、アーラント城へ

 それこそいきなり、お姫様の前に突然現れたうちの王様…

 いえ、当然私も…ですね…


 「お待ちなさいっ!良いのです…」

 慌てて衛兵さんが駆け寄ってくるのを、お姫様が制しました。


 『やあ、お姫様。ご機嫌よう。結構な昔、一度会ったことが有るが、覚えているかい?』



 「はい…」そう言って、まさかお姫様は膝をつかれました。

 私も含め、衛兵さんらもかなり驚いてますよ?


 『ああ、もう良いよ。堅苦しいのは、あんまり好きじゃ無いからな…』


 「少しもお変わり無いのですね…あの頃と…」


 この国の前、合併する前の国で、王様とお姫様は一度お会いになった事がお有りなのだそうです。

 うちの王様のお姿は、当時と一切、お変わり無いそうです。



 『早速だが…うちの使節団の代表が、この国の援助を決めた。だが当然、その見返りを求める…そして、悪いが…うちにちょっかいを掛けた悪党共は、俺が全て処分した…』


 お姫様は、顔を抑え…そして泣き崩れました。


 うちの王様が仰った処分…それは、今逃げ隠れしている王族を、全て滅ぼしたと…まさに死刑宣告だった。



 目の前の存在に…


 突如自分の父、自国の王を殺されたのだと…そう告げられたのだ。例え悪党でも父親なのだ…


 うちの王様は、その表情に変化が無い…

 うちに手出しをすれば一切容赦しない…国是だ。


 決して帝国からは責めたりしないが、責められれば、帝国は直ちに反撃、報復を行う。建国以来、ずっと護ってきた強い信念。


 この周辺の国家ならば、或いは武力集団、盗賊、それこそ誰だってみんな知っている有名な話だ。

 ちょっかいを掛け、滅んだ国だって複数も有るのだ。

 

 つまり、この国だって、今、滅んでいたかも知れないのだ…


 王の首で、王族の命でそれを治めて貰った上に、

 復興の援助も受けるのだ…


 お姫様に、意見等あろう筈もない。だが…


 「悪いのは…悪い…のは…母君で、ち、父王は…」


 酷い嗚咽の中で、やっとの思いで…姫が言葉を絞り出した…


 『お姫様よ、結局は…責任の所在が、一体何処なのかって、それだけの話なんだよ…その罪を、お前の父王が受け入れたのだ…』


 再び大きく泣き崩れるお姫様…


 『最後にな…娘を、アンタを頼むと、そう言われたよ…』


 …今際の際に、


 『まあ、同じ立場の王と…王の頼み、約束だ。お前の国を、お前の政を、俺が最後まで見届けよう…』



 そう言って、うちの王様が、何処かから何かを取り出して、何かを…お姫様に手渡した。



 それは王冠だった。そして王がいつも持っていた杖…


 『理由はともかく、言ってみれば、俺はアンタの親の仇だ。それが許せ無いと云うならば、この話は全て無しだ…』


 「いえ…文句等…一切御座いません…どうか、我が国の臣民をお救い下さいませ…」


 『分かった、直ちに手配する…』


 何故だか分かりませんが、私はフラフラとお姫様のそばに行って…


 気が付くと、一緒に抱き合って泣いていました。


 ふと…私も父を失ったら、そう考えたのかも知れませんし、そうじゃ無いのかも知れません…



 どうやら結構長い時間…私達は泣いていました。



 気付くと王様は…近くにあった、誰のものかも知れない冷めたお茶を飲みながら、

 ただずっと、そこで待っていて下さった様で…


 申し訳御座いません…


 

 その後で、近くまた打ち合わせに来るわ…そう言って繭に入って、すぐに帰りましたが?


 帰ってませんでした。



 え?…何で?


 そこは、このお城の正門の前でした…



 そして遠くに多くの兵隊…軍がコチラへ接近しているのが見て取れました。


 『今から最後の大掃除があんだよ…』王様がそう仰っいました。


 接近して来るのは…朝早くから集まっていた、あの将軍様や、


 うちの、国軍の旗も見えますね。


 突然、正門が大きな音を立て閉まりました。


 『無駄だ…』


 うちの王様がそう言った直後、正門に巨大な岩がぶつかって、


 とんでもない大きさの鉄の扉が、とんでもない轟音と共に、全部吹き飛びました。




 ポカーン…



 いや…そう言う事も、うちの王様は出来ちゃうよって、

 前もって大臣様から聞いては居ましたが…


 聞いては居ましたがあ…

 

 到底、頭で理解出来ませんでした。



 驚いた…いえ、驚き過ぎると、人間ってピクリとも動けなくなるんですね…

 いや〜ビックリですよ…



 呆けていた私は、王様に背中を一回、バチンと叩かれて、

 

 やっと正気に戻りました。



 今から、お妃様陣営の残党を全て、一斉に排除するそうですが、


 最奥の、囚われのお姫様を、正義側の軍が救出する…的な、

 そんな筋書きなのだそうです。


 将軍様の軍が城内に入り、うちの国軍が、城の周りを包囲してますね。


 王様がこっちをみた後、ヒョイッと上を指差しました。


 上を見上げると、中庭で見た、飛竜…ワイバーンが旋回してました。



 完全包囲ですね…


 

 クーデター…みたいですが、実際は、悪に奪われた王権を、再び取り戻す、正義の闘いです。


 時折、アチコチの出口から、兵隊が飛び出して…いえ、逃げたんですね。

 うちの国軍が、次々と取り押さえています。




 思ったよりも短時間で…どうやら決着した様ですね。


 ゆっくりと歩いて城内に入ります…王様の後ろにコソコソ隠れて、ですが…



 多少の被害は有ったようですが、ほぼ圧勝だと、将軍様が王様に報告されています。


 将軍様がうちの王様の手を握って、ありがとう、ありがとうって…


 何度も何度も、ブンブンと振ってますね…


 いけませんね…ここは私が何とかしましょう。


 将軍様、おめでとうございます、そう言ってコチラへ注意を向けて、王様を解放しようとしたのですが…

 我ながら良い考えだと思ったのですが…



 今度は、私が感謝を述べられながら…私の手を強く握り、ブンブンと振ってますね…


 ウフフ、あ痛〜…これは完全に大失敗ですね…



 王様が、笑いながら手を振って、静かに去っていかれました。


 どうやら私、王様にあっけなく見捨てられたのですね…



 まあ、一切危険は無いのですが…



 …ところで、いつ終わるんだろ、これ…

 

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