アーラントの未来は…私が?
気にはなっていましたが、あの…お城で聞いた大きな地響き…
やはりと言うのか、当然と言うか…
やっぱり、うちの王様のしわ…いえ、お仕事だったようですね。
そう言えば王様は、アーラント王には、きついお仕置きをするって、言ってましたものね。
そして…
日が昇った頃からまた、多くの兵隊さんが、アチコチから、続々とこの砦に集結しています。
うちの国の軍隊の姿は勿論、昨日、アーラントのお城の前でお会いした、あの将軍さんのお姿も有りますね。
その時、その真ん中辺りに、突如うちの王様も現れました。
当然、私は急いで、そこ迄走ります。
王様の出現と共に、そこに居た全ての兵が一斉に膝を着きました。
これだけ沢山の人達が一斉に行うと、凄い迫力です…
思わずビックリして、立ち止まってしまいました…
で…皆様膝をついている中、私だけ突っ立っている状況に、もう一回、ビックリして、慌てて膝を着きました。その時に、
…王様とバッチリと目が合いました。
王様が、思わずプッて吹き出したのも、しっかり見えました…
『皆、朝早くからご苦労さん。すぐに楽にしてくれ…』
王様の一声で、皆が立ち上がる。
その中で、軍の偉い方や将軍さんらが、王様にご挨拶をされてます。
そこを目掛け、私は猛ダッシュしました。
お、おはようございます、王様。
『お、おう、おはようエトラン…ぷぷぷ…』
…アハハ、気を取り直し、
さしあたって、急ぎ私も、皆様にご挨拶をして回りました。
『動くのはまだ少し先だろう。取り敢えずは、一旦楽にしといてくれ。あと、各隊長クラスは集合な…』
そう言って、王様と数人が建物へと移動しました。
出遅れた分を取り返すべく、移動する人数を目で数え、急ぎお茶の用意に向かいます。
ここで、さっきの汚名を挽回して、信頼を取り返すのだ。
頑張った。不慣れな環境など言い訳に出来ない、必死でお茶の用意をして、皆様にお配りしました。
皆様からそれぞれお礼を頂き、ちょっと恐縮しながら、
王様の後ろに移動します。定位置です。
「先ずは我等の願いをお聞き頂き、この機会をお与え下さった、帝国の王に、我等心からの感謝を…」
『ああ、だが…感謝は全部終わってからにしとこうか将軍?…変なフラグが立っちまうぞ?』
それから、この国の現状が詳しく報告され、
想像以上に蝗害が、国に深刻なダメージを与えていますね。
「蝗害は確かに大きな問題ですが、うちはそれ以前に、中枢に大きな寄生虫が取り付きまして…そっちの方が寧ろ…」
将軍が頭をかきながら、困ったお顔でそう仰った。
どうやら、あの国のお妃様が、その寄生虫…だそうです。
結論、遅かれ早かれ、アーラントは近い内に良くない方向で傾くだろうと、そう言う事でした。
『で、エトラン…お前には、今後の方針を決めて貰おうと思うが…』
王様が振り返って私を見たが…
はい?
…固まってしまった。
『お前にはどう見えた?このアーラントは…』
えーっと…
私は…細かい事は分かりませんが…
少なくとも、お姫様は至って真面目なお方だと思いました。
王様とお妃様は…国民を放置して逃げた訳ですし…いえ、確かに王族の血は大切なのでしょうが、困った国民を助けるのが、その国の王族の仕事だと、思います…
『つまり…そんな王族はもう、お払い箱で良いよね?と…』
え?
…いや、あのー…その…
どうしても、うちの王様と…つい比べてしまうのですが…
そもそも、うちの王様は規格外だし…それと比べるのも、はて、どうかなとも思うけど…
あのぉ…散々国民の税で生きてきた以上、やっぱり自分らだけ、サッサと逃げ出すなんて、王族としても、貴族としても、絶対に良くないと私は思います。
『そうか…じゃ、代わりに姫がこの国を治めるのはどうだ?姫はまだ若いし、今の国の現状だと悲惨だよな…いつまで正気で居られるかどうか…』
あの…王様、私が…たかが、田舎貴族の小娘ですが…私が王様にお願いすれば、姫を助けて頂けますか?
『ああ、お前がこの使節団の代表だからな…』
そうだった…
では、改めてお願い…いえ、我が王に進言致します。どうぞアーラント王女をお救い下さい。
『そうか…ならその正当な理由と、対価が要るぞ、使節団代表エトランよ…』
は、はい…対価…?
あの…えーっと…ここは海も近いですし、自然も豊かだと思います…
アーラント王は、何故か必要以上に農業を軽んじた様ですが…
そもそも、地理的にうちの国の小麦畑が近いと云う事は、
きっとここの土も良い土なのだと…思います、多分…
えーっと…もし万が一、うちが食材に困る事が…
まあ…無いとは思いますが、
仮に有った時には、きっとその時は、食糧問題の解決に繋がるだろうと…そう思い…いえ、愚考致し…ます、その…多分…。
『良し、それで良いだろう。鬼将軍よ、うちの代表の意を汲み、貴国に援助を約束しよう…まあ…まだ仮に…だがな』
「王よ、代表よ、この恩、ありがたく…」
将軍は膝をついて、深く頭を下げた。
大臣様も騎士長も、にっこりと笑っておられました…
私だけが…ヘロヘロですね…
私は…疲れて、どうやらその場で、ぶっ倒れました、…なのだそうです。
気がつくと騎士長さんと王様が笑ってお話されていました。
あれ?ここは…
私はベッドの上でした。
『お?やっと起きたか、じゃ、ぼちぼち出かけようか…』
そこから、王様の繭に入って、お城まで移動しました。




