そこにある危機
正門を出た処、いきなり大勢の軍人さんらに囲まれて、かなりビックリしました…あれ、私だけ?
兵士たちは皆、武装しています。いや、そりゃあ兵士だから当たり前ですか?
完全に囲まれましたよ?
逃げないの?
でも…、なんか空気がおかしいな?
あれ?軍人さんンも兵士も武器を抜きませんね??
なにより、落ち着いてませんか、こっちの人達???
大臣様も騎士長も、何よりジョータローさえ、慌てて居ませんね?
囲んだ軍人さんの中から、高齢の鎧姿の兵士さんが、ゆっくりとその前に出ました。
「エギラ様、大変ご無沙汰致しておりました…」
「そうですね…ガードナー将軍、本当に随分とお久しぶりですね…」
ん?大臣様は、お知り合い…ですか?
「我等旧い兵は皆、現后によって、尽く僻地へと飛ばされましたが…今、アントワールお嬢様の為、命を賭して闘う準備は出来ております故…どうかエギラ様、いつでもお声をお掛け下さいますように…」
「その際は、宜しくお願い致しますよ、鬼将軍様にはね…アハハ…」
老兵はにっこりと笑って、そして軍人さんらは直ぐに、何処かへと去って行きました。
またしても、ポカーンって、私だけ置いてけぼりを食った感が、どうにも否めませんが…
「ほう、大臣…ではあの御仁が、あのアーニ砦の鬼将軍様ですか?」
「ああ、そうだ。随分年老いた風に見えたが…いやいや、あれはとんでも無い曲者だからな、きっと今でも全然元気なんだろうさ…」
「色々、逸話や噂話の多い御仁ですからね、そりゃそうなんでしょうな…」
「ああ、エトランさん、浮かないお顔ですが…姫様は大丈夫ですよ…なにせ、うちの王様がすぐ横におりますしね…」
そう言われて見れば…私達を送ってくれた直後、『じゃあ…』と言って、
王様はサッサと、何処かへ行ってしまわれてましたね。
「あの将軍も、うちの王様もそうだが…ああいう人種は決まって人一倍、鼻が効くんだよな…」
「アハハ…違い無い」
とことで、これからどうするのですか?
うちの王様が居ませんが…
私達はどうやって国に帰還するのですか?
「うん?まだ帰らんよ、暫くは、ね…」
「そうですよ。我等もやる事が、それこそ色々有りますからね…」
そ、そうなんですか?
どうやら一番近い、うちの軍の砦に、このまま移動するそうですが、
移動を開始して暫く後で、
何処からか騎馬が二騎、ウマを数頭従えて、コチラへ接近して来ました。
どう見ても盗賊…の様でしたが、
よく見れば、あのお顔には覚えが有りましたね。
ついこの間、一緒にカレーを頂きましたからね…
「お迎えに上がりました、エギー殿、エル殿、エトラン様…」
そこにはアーデ将軍様と、前に港でお話をした、あの兵隊さんでした。
私達は、それこそあっと言う間にここ迄来ましたが、
アーデ将軍らはきっと、あのあと直ぐに、ここに向かって出立していたんだ…
お話によると、既にお城の近くからずっと、隠れて私達の警護をして頂いていた様です。
追手の有無を確認してから、私達に近づいて来たそうです。
「相変わらず、忙しいなアーデ…」
「ああ、まあ…そう言う仕事だからな。だが…ここは然程の脅威も無いので、かなり楽な現場ですな…」
大臣様とアーデ様が肩を並べてにこやかにお話されてます。
なんでもかつて、王様と一緒に、長く旅をされていたお仲間だそうで、
だからエギーとか、エルとか…古い渾名で呼び合うのですね。
そこから結構移動しました。
もうお城が豆粒ほどの大きさですよ。
さらにそこから林の中を暫く移動し、やっとたどり着いたのは、
とても古びた、小さな木の砦でした。
急遽作られた?
大きな囲いの中、その内側にへ入ります。
中庭には、数頭のワイバーンが居て、眠っていました。あれに乗って、アーデ様達は移動したのかしら?
私専用の部屋に案内され、荷物を降ろしたあとで、
皆で集まって夕食を挟んだあと、
今後の作戦会議が始まりました。
え?夕食はスープですね。王様居ないと、普通はこうでしょうね。
さて会議です。
どうやらすでに…随分と前から、とある計画があったそうです。
そして、それが前倒しになったのだと、大臣様から説明を受けました。
どうやらこれらの事態でさえ、うちの王様はずっと前から既に予見されていたって事なんですね。
今回の作戦名は「天の雷」作戦だと、アーデ将軍が教えて下さいました。




