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思惑

 リースベラ様が、今回この蝗害の影で起きていた、我が国の小麦畑強奪未遂事件の顛末をお話されています。


 このお姫様、現在のお妃様の娘さんでは無く、前のお妃様の娘さんだそうで、


 この国の中に在っては、ほぼ唯一の善性のお方だそうです。王位継承権第一位であるのですが、


 今のお妃様を筆頭に、何やら良からぬ事を企む…

 きな臭い流れの渦中に居られるのだとか。


 この蝗害、実際にはうちの王様が強制的に進路を変えたのですが、その事実は誰も知り得ません。普通はそんな事、出来ませんからね…


 「我が国の領土に於いて、盗賊の風を装って密かに侵攻した、アーラント軍人を幾人か捕縛しております…」


 「え?…そ、そんな…」


 「それらより尋問致しました処、背後にアーラント軍の高官…更にはどうも…アーラント国王のお姿も…」

 「お、お待ち下さい、こ、根拠が…何か、証拠がお有りなのでしょうか?」


 そこで騎士長さんが取り出した、幾つかの書類には、

 軍の一部が、遠征を装い進軍した時の偽造書類、盗賊を抱え込んだ際の金の出どこを細工し、

 それを国庫から引き出した際の書類、他にも色々沢山…


 アーラントの、複数の国家機密の書類が、テーブルの上に出されました。


 通常、この様な書類は決して表には出ません。何故、他国の騎士長が持っているのか?


 「ご確認ください、全てアーラント国王のサインが御座います。根拠も証拠も、全て手に入れた上で今、姫とお話しております…」


 姫様の、書類を持つ手が震えてました。


 口には出せませんが、きっとこんな書類も、白組の…ウスイ様の別班が、全て手に入れたんだと思います。


 姫様は青いお顔でただ俯き、震えておられます。

 「我が国としましては、アーラント軍の越境行為、更には武力行使をされた上に、今、貴国に援助をせよと請われる状況…」


 姫様に突如突き付けられた現実、


 お前らからの強奪に失敗したから、お前らが助けろ…

 そんな理不尽な要求が通る筈が無いと、誰でも解るように、ゆっくりと丁寧に説明する大臣様。


 しかも…本来は自らがうちに出向き、頭を下げるべき状況にも関わらず…

 逆に、被害者面で遥々、帝国より使者を呼び出したのだ…


 全てがアーラントにとって、完全に裏目に出ています。


 「それで…どうすれば、お助け頂けますでしょうか?…我が国は既に死に体ですから、お縋りする他…私のこの首一つで、どうか…」

 姫様が、絞り出すように、弱々しい声でお言葉を述べられました。


 「いいえ、姫様は今後のアーラントの国営にとって、絶対に必要なお方です。そのお命を頂く事など出来ません…」


 騎士長がゆっくりと立ち上がって、姫様の前に立ち、静かに膝をつきました。


 「我が国が御支援する為には、少なくとも同盟を結んで頂く必要が御座います、ですが…」


 それに続き、大臣様も騎士長の横で膝をつきました。


 「残念ながら、この国の軍部は汚職にまみれ、この国の財産を尽く食いつぶした挙句、遂には我が国に、宣戦布告も無く侵攻しました…お助け以前に、我等は補償を求めるか、最悪の場合、武力報復せざるを得ないのです…」


 姫様の両頬には、涙が溢れます。


 「この国をお救いする条件としまして、先ずは国王の退任と更には国外追放、現国軍の解体と再編…当然軍部上官も国外追放、最低限でこの程度は希望致します」

 大臣様が、強い口調で話されます。


 「なるべくなら今後、姫様が国王となり、我が国の支援を受けつつ、この国の復興を指導して頂きたい…何分、男子とはいえ、弟君はまだ幼いですからね…」


 姫様は黙ったまま、唇を噛み…震えておられます…

 当然でしょうね、急にこんな事言われたって、直ぐに返事等出来る筈が無いですよね…


 「我等は一旦、国に戻ります、お返事はなるべく早急に寄越して頂きたい…十日を過ぎましたらをこのお話は無かったものと…」


 そう言って、御二人が立ち上がって、姫様に会釈された。私もそれに続きます…


 お部屋を出た処に、ジョータローが座って居た様です。邪魔をするのを避けるには、最高の門番さんです。


 ゆっくりと歩く私達の後ろで…姫様がただ呆然と立ち尽くして居たのが…


 ずっと私の心の中に残りました。



 えーっと…


 私、代表ですけど…部外者の様ですね…そうだ、聞いて置かないと。


 大臣様、姫様は大丈夫でしょうか?身の安全は勿論ですが…お心が…


 「…国の運営をする以上、こういった問題が常に付き纏います。故に、王としての強い心無くして、国を治める事など出来ませんから…」


 「エッタさんには厳しく聞こえた様だが、今この状況は、嘘みたいに恵まれすぎているんだ…普通ならもう、アーラントは滅びてるよ、うちの軍の報復によってね…」



 長い廊下を歩きながら、私も色々考えさせられています。


 仮に…うちのお父様が謀反を起こしたら…


 まあ、根性無しのお父様には、絶対に不可能ですけど…


 私はどうなるのかな…いや、どうすべきなのだろうか…


 ぼんやりと考え込ん歩き、ふと我に返ると、




 お城を出た処で、沢山の軍人さんらに囲まれてました。


 

 え?…大ピンチですか?


 

明けましておめでとうございます。本年も宜しくお願い致します。

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