通常勤務
いつものように、職場へ出勤し、お茶の準備をしてから玄関先に向かいます。
そこに、いつもの馬車が着き、今日はヘンリエッタ様と、エルドン騎士長さんが一緒でした。
おはようございます、ヘンリエッタ様…
あら、おはようございます騎士長。もう、早速お仕事なんですか?
「いやいや、今日は君にお礼を言うためと、君を放って任務に行ったお詫びをしに…ね」
「そうよ、特号案件を蹴っ飛ばすなんて…普通なら懲戒免職か死罪よ?」
「いや〜、それを言われると辛いんですけど…何分緊急でしたし、任務の内容も、誰にも言えませんでしたからね…いや、死罪って?」
アハハ…騎士長さん、謝罪もお礼も大丈夫ですよ?だってあんなに大変な目に遭われてた訳ですし…
「いやあ…そう言って貰うと、多少気が楽で有り難いよ。でも…まさか王様に付いて行くなんて、ビックリしただろ?やることなすこと…全部」
ええ、まあ…。でも、王様の本当のお姿が見れて良かったです。
まさか、事件現場の最前線に、わざわざ自ら行こうなんて、とんでも無い事ですよね…それが王様…な訳ですし?
「そうよ、そうなのよ。もう充分だって、何度も何度も言ってるのにねえ…その為に軍隊だってなんだって有るのだから、ねえ、エルドン騎士長」
「ハハハ…いや〜自分、その当事者側なもんで…」
「ホント、もっともっと騎士長には頑張って貰わないと、いつまで経ってもうちの王様は…」
ヘンリエッタ様…言いにくいのですが、
多分、どんな状況であっても、王様はきっとお出掛けになられるのだと思ます…
だから、皆様の信頼が異常に厚いのですよ…まあ…私はそれを声には出せませんが…
「兎に角、世話になった、ありがとう。そして…迷惑を掛けたね、ホントに済まなかった…」
騎士長さんは立ち上がり、頭を下げられた。
私も慌てて立ち上がって…
いやいやいやいや、それぐらいで辞めて頂きたいです、だって、私は王様のお荷物だっただけですから…
「あら、それを言い出したら、この国の民は全て、王様のお荷物なのよ?」
…あ…!
『あのさあ…出にくいわっ、そのくらいで一旦、その話止めてくんない?…一向に【深淵】から出れないからさ…』
部屋の隅で、何故かモゾモゾしている王様…
どうやら、完全に出るタイミングを失っておられた様ですね、フフフ…
ここで皆様、勿論私も、膝をついてご挨拶です。
お二方の後ろ、でも私から見たらほぼ正面だったので、、
出たり入ったりする、かなり貴重なシーンを目撃出来ました。
思わずちょっと、吹き出してしまいましたが…
蝗害が直撃したアーラント国から、正式に支援の要請が来た事を、騎士長さんが教えて下さいました。
「ヤツら、こっちには一切バレて無いって思ってますが…さてさて、これはどう処理至しましょうかね?」
『うーん…悩むな』
「もう無視しちゃいましょうか?適当な言い訳をして、ね。フフフ…」
「あら?エッタさんって、結構非情ですね?」
「えーーだって、自業自得じゃ無いの?」
『まあ…これで大きな貸しを作っておくのも、普通は悪くは無いんだが…アイツらすぐに勘違いしそうだからな…』
「まあ…物資の提供くらいで、良いのでは無いかと思いますが…」
『そうだな…どうせならわざわざ向こうに出向いて、直接国民に、だけ、物資配るくらいで、勘弁してやるか?』
「うわー、そりゃ流石に、王族か軍が出しゃばって来そうですよ?」
『うーん一回、アイツらにゃギャフンと言わせたいよな?…よし、エルドン、エトランと共に使者としてアーラント国へ行って貰おう』
え?…私?何で??
『心配すんな、向こうまでは俺が送ってやるから…』
いやいや、そう云う問題では無くてですね…
「いやいや王様?私はともかく、エトラン嬢には…」
『おいエル?…うちのエトランを舐めるなよ?』
「…し、失礼致しました」
『いいか、あんなクソ共、そもそも助ける道理さえも無いが、誰よりも今、心を痛めているエトランが、その目でヤツらを見て、その上で助ける助け無いを決めるのだ…』
え?いやいやいやいや、舐めて良いんですよ、寧ろ、それが当然でしょう?私??何故?
え? え? ええ?
私ですか?一体何故??ただの首輪なのに?
その日、何故か突然…王様の勅命を受け、
本当に何故だか私は、騎士長さんと共に、アーラント行きが決定していました。
ただ最後に一言、王様が仰ったのは、
『良いかエトラン、国を治める王族の、その姿を見て来い。自分の、その目でな…』
他国の王族…たかが田舎貴族の娘が、会っても良いのか…なんて質問も、あっさり却下されました。
『お前はたった今、俺の代理に決定したのだ…救うも良し、見捨てるも良し、全てはお前次第だ!…知らんけど』
え?最後…?




