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何故だか皆で朝食を

 王様の一言で、何故だか急に皆で出掛ける事になりました。


 馬車は使わず、徒歩でお話しながら移動します。


 ここで判ったのは、そもそも…私が初めて王様をお見かけしたあの時も確かそうだった…


 王様はいつでもどこへでも瞬間移動がお出来になるのに、何故だかお城の中を歩いてた。


 それは…少しでも国民の声を聴くためだったり、街の様子を確認する為に敢えて、だったのだと。


 だから、お城の中はなるべく歩いたり、周りが見える囲いの無い荷馬車なんかで移動されるのだと…


 本当に驚いた。


 ちゃんと意味が有ったんだ。


 ずっと…以前のあの時は、仕事から逃げてるどっかのバカ息子だって、

 そんな穿った目で見ていた自分が、今は恥ずかしいです。

 全然違う、事実は全くそれとは反対だったなんて…見た目だけでは分からないものでした。


 ところで…皆は王様が何処へ向かっているのか、知っているのかしら?

 暫く歩いて、ようやく一軒のお店の前に来ました。

 『さて、今日はここだぞ!』


 「ん?はて…ここは確か、前は粉物屋…でしたよね?」


 「そうね…確か、お好み焼き…だったかしら?でしたよね?神様…」


 『おう、こないだテコ入れしたんだよ。ここって、近くに同業が多かったからな…さあ、入るぞ?』


 「それで…なんのお店ですか、ここって?」


 『フッ…聞いて驚け、粥だよ』


 「かゆ?…神様どっかお痒いんですか?」

 『なっんでやねんっ!ドッコも痒無いわ!』


 …え?


 「なる程…だとすれば確かにここは、良い立地ですな?」

 『流石は親戚さん、良い読みですよ?正解。そうなんよ、ここら近所は飲み屋も多いからね…』


 「で…どこが痒いんですか?背中だったら、かきましょうか?」

 『だから、なっんでっやねんっ!!そして背中ちゃうわ!!』


 …ええ?


 お店の方がやって来ました。


 「これは…おはようございます。皆様わざわざお越し頂き、ありがとう御座います…」

 お店の方が膝をつき、皆に挨拶された。



 「おや、あなたは…」リースベラ様が、何かにお気づきになられました…?


 『店主よ、今日はスペシャルを四つだ。頼むよ』


 「ご注文賜りました、暫くお待ち下さいませ…」


 

 「神様…スペシャルに痒いんですか?流石にもう…病院行きますか?」


 『どんな痒さやねんっ、それっ?!』


 ええ???


 …なんだろう?さっきからこれって、わざとなの?

 まさか…ヘンリエッタ様の…本気の会話なの??


 …


 「お待たせ致しました…」お店の方がお食事を運んで来て下さいました。随分早かったですし、会話について行けない私には、まさしく救世主の様です…。


 「ほお…これは美味そうですな?」

 「ええ、本当に。上のは、アワビかしら?」

 『そうだ、これが一日限定四食だけの、当店のまさしく、アワビスペシャルだよ?』


 

 へー凄い…限定なんだ。


 ん…?

 当店って?


『頂きまっす!』「「頂きます」」


 白い器に盛られていたのは、粥 と呼ばれるお料理だそうで、私は初めて見ました。

 お米を…煮込んだものなのかしら?


 では、一口。

 うわあ…すっごく優しい味だ…

 ん?…でも凄く美味しいわ…ただ味が薄い訳じゃ無いんだわ。どんどん口の中に、その風味がしっかりと広がって行くわ…うん、とっても美味しい。

 そう言えば、王様が関係したメニューって、絶対全部、凄く美味しのよね、凄いわ…

 

 『どうだ、美味かろう?苦労に苦労した、俺の渾身の一杯だからな…』

 「はい、これは大変美味しゅう御座います」

 「ええー、ウソ、じゃあ限定って事は?そもそもおかわりも不可って事ですか?…」


 『ああ、これは敢えてそうなんだよ。付加価値ってやつだな。まあ…俺だけは別なんだけどな?…だって、それが唯一の、俺の特権だからな…』

 「えー、ずるいですよ、神様だけおかわりなんて?」

 『アーハッハッハ…世の中は厳しいのだよ?エッタさんよ…』

 「もおー…」

 え?…待って、俺の特権って?



 『ごちそうさまでした〜』「「ごちそうさまでした…」」

 

 色々有った私の疑問に、歩きながらリースベラ様から、そのお答え頂けました。


 「まず…この城内全ての店舗の持ち主は全て、王なのです。そして…店主はそこを借り受けている形ですね。

 経営が上手く行かない場合や…何か王様が思いつかれた場合に、こうやって店の入れ替えやら、内容の変更を行います。まあ…そこの店主も従業員も店が変わっても、基本的にはそのままですけどね…」

 「後ね…この機会に、他のお店で上手く馴染めて無い様な従業員をね、ここの人と入れ替えたりする事も有るのよ?」

 「それで、その度に各々が出来ることも増えますからね、勉強だと思えば、移動も苦にならないと…」

 「自分に合ってる合ってないって、中々判りませんものね…」


 はあ、そうなのですか。なる程勉強になります。


 

 なる程ねえ…だからうちの店って事なのね。

 …いつも思うけど、うちの王様って本当に色々と、細かいところまでお考えになられていらっしゃっているんだわ…


 「うちの王様はね、全ての国民が、働く事に生き甲斐が有るべきだってお考えなのよ?」


 「そうですね…嫌々働いたってただ辛いだけですから。そんな仕事の内容も、きっと褒められたモンじゃ無いでしょうから…」


 『ねえ…君達さあ?その王様って奴?君達のすぐ横に?…ここに居るんだが?何故、さっきからさも居ない体で話すんだよ?』


 「おっと、確かに。これは失礼致しました」

 「フフフ…だって、神様ったら、おかわりを下さらないもの…」

 

 『お…おう』


 王様、どうもごちそうさまでした。とっても美味しかったですが…私も多少、おかわりは有ったほうが良いと思いました。だって、あれはとっても美味しいですから…


 『そうか…じゃあ、あとちょっと増やせるように、今度言っとくわ…』


 はい、ありがとう御座います。

 …ところで王様、この後は如何されますでしょうか?


 『ん?…ああ、そうだな、えーっと…今日は…、

 おお、エトランはもう休め休め、疲れてるだろうから、今日はゆっくりすると良いぞ…、そうしよう!』


 いえ、お気遣い、大変恐れ入りますが…王様程、私は働いておりません。ですので、お気遣いは無用です、王様。何なりとお申し付け下さいませ!!


 『ええー…?!』


 …え?今の王様の、かなり嫌そうな感じは一体?ヤダ…私、嫌われてる?


 「まあまあ、神様…逃げようたって、そうはいきませんよ?」

 「そうですよ、寧ろ、貴方様こそ少しお休みになられるべきでは有りませんか?…」


 『グヌヌヌヌヌ………判った。じゃあ、取り敢えず…』


 そう言って、王は移動用の繭を出された。

 

 

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