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円卓会議 前編

 私達が通された大きな会議室…


 そこは、この国の運営に関する会議の為の場所の…


 更に更に上の…


 言って見れば、

 この国を含む、連合国の頂上会議ですよ?


 …ですよね?



 気付くと、私のひざは、ガタガタ震えていた…


 「皆さんごきげんよう…まずは、こちらの方を紹介しますね」



 あ、あ、ああの…ああああ…


 フフフフ、あらあら、もう、そんなに緊張し無いで良いのよ、エッタさん。


 じゃあ、自己紹介ね、


 あああ…

 ダメだ…落ち着け私、最初が肝心だ、

 仮にも、貴族の娘なんだ、大きく息を吸って…

 落ち着け、落ち着け、落ち着け…


 よし、

 「み、皆様、お初にお目に掛かります…サ、サント領マイトカの領主、エドモンの娘、エト…エトラン アズ スガストルネ…と、も、申します…」


 皆様が、温かい拍手を下さったが…

 私の緊張は既にピークだった。


 落ち着け…落ち着け、それだけを、ただひたすら心の中で盛り返した。



 そこから、お座りになられた方々が簡単に自己紹介を始めたが…

 ダメだ…一向に頭に入っていかない…


 恐らく、私の真っ青を超えた…

 もはや血の気の引いた真っ白な顔…

 それを見かねたヘンリエッタ様が、


 「はい、皆様一旦中止ね、まずはお茶からだったわ…」



 側に控えていた、あの…メリー書記官が、

 直ぐ様、見事な速さでお茶の用意を終えられた。

 「さあ、まずは一杯、飲み干しなさいな」


 あ、はい、い、い、頂きます…


 凄く…良い香りがして、妙に…落ち着くんですけど?


 何やらこのお茶…


 多分…メリー書記官様が、私を強制的に落ち着かせる為の、

 何か強いハーブでも用意して下さったんだろうか…


 しかも…すぐに飲める温度に調節してある…


 ちょっと…ほんの少しだが、なんとか落ち着いた、

 ありがとう御座います、大臣様…メリー様、



 は~い、じゃあ、皆様、もう一回、やり直しね、


 

 まずは私から…

 ヘンリエッタ保健薬科上級大臣です…


 リースベラ経済上級大臣です、


 リジャディード国務総務上級大臣と申します。



 将軍のシレンです。 宜しく。


 バルタです。 

 その節はどうも。


 またお会いしましたね。アインゴルです。 


 ザーラーだ。 

 ズク族だが一応、将軍だ。


 カイです。 

 獣人ですが、海軍を預かっております。


 アーデです。 

 同じく獣人だが、特殊作戦群を預かっている。


 


 騎士団のゴルド騎士長だ。

 あと、ご存知かと思うが、今ここには不在だが、

 エルドン騎士長も、共に騎士団を預かっております。


 第一調査部及び情報分析科のウーゴだ。 

 

ロッテンです。 第二調査部長です。


ケイラ  …第三調査部 です。




 当たり前だが…

 ここに居られるのは皆様、全て凄い方々だった…



 当然、私以外は…ですけどね…




 円卓に席は全部で12有って…


 中央の椅子を入れて13…


 私は、不在のエルドン騎士長の席に座らされた。


 詳しくは聞かなかったけれど、この円卓に座する人達を、


 通称、マジェスティックトゥエレブ、と呼ぶとか…



 そして、くり抜かれた円卓の中央には、豪華…と迄は行かないが、

 大層立派な、座り心地の良さげな椅子が置かれて居る。


 説明が無くとも、流石に私だって判る、


 あれは、王の為の玉座だ。そう、思っていたが…




 そして、その円卓の後ろ、一段高い所にも、石で出来た、大きな椅子が置かれて居た。


 明らかに古くて、造りも大雑把な…

 ただ、石だからか?

 座る為に、身体が触れるところには、綺麗なクッションが置かれて居る。

 中央の綺麗な椅子に比べると、それはとても質素…

 いや、古くて、かなりボロっちい気がしますが…


 …あ、これを入れたら、椅子は全部で14になるな…



 説明を受けた。

 こちらの、ちょっと残念な古い椅子こそが…


 実はこの国の真の王、そのお方の玉座だった。



 そして、真ん中の綺麗な椅子は、この国で信仰されて居る、

 【深淵の神】の為の、椅子なのだそうだ。



 それ以外にも、円卓の後方に、横に長いテーブルと、椅子が2つ置かれて居る。

 そこに、あの…雇われ国王様と、もう御一方、若いけど、高貴な佇まいの方がお座りになられていた。

 この方々は、自己紹介も無い…

 つまり、雇われ国王共々、私が決して触れてはいけない、国家機密なのだろう。


 一瞬、この高貴な方が真王様かとも思ったが、

 玉座にお座りにならないと言う事は、違うんだろう。



 ちなみに、ここに居られる3人の上級大臣様達を、

 帝国三大天と呼び…


 6人の将軍が、帝軍六大将軍、


 二人の騎士長が、

 王の直属の軍隊で有る騎士団、


 鷲の団、梟の団 の2大司令官と、


 それらは全て、真王様によって、そう命名されたそうだ。



 この会議に於いて、

 基本、全員は同列の位で有るとされ、


 全ての議題は多数決で採択される。

 同数の場合は、真王の一票が足され、採用となる。


 滅多には無いそうだが、真王の命で全て却下される事も、過去には何度か有ったそうだ。





 では…皆、そろそろ本題だ。


 そう仰った、リジャディード様が、議会の進行をされるようだ。


 まずは最新の特号案件について…

 皆、既に承知であろうが…


 この、エトラン君が、その役目に選ばれた。


 以降、各自、最大限の協力と尽力、そして保護を…。


 恐らく…かなりの…

 神様の抵抗、などが予想されるが…


 多分間違いなく、


 その全ては我等の予想の範疇を、大きく超える事だろう。


 従って、この特号は、緊急時を除き、当面常に国議案の第一位とする。


 では多数決だ。挙手を…

 全員の了承を得た。



 では次だ。


 …そこから、5つの議題が話し合われ、その都度、多数決を行った。



 幸い?、全て全員が賛成を選択したので、

 大きく紛糾する様な事態も無かった。



 そこ迄、滞り無く進行して、

 一旦休憩と成りまして…


 そこから急に、食事が運び込まれた。



 ヘンリエッタ様の横に居られたリースベラ大臣様が、食事くらいは、女性同士の方が良いでしょうからと、


 私と席を変わって下さった。


 お気遣い、大変痛み入りますが…


 この、場違いもいいところの私如き虫けらに…


 どうか、放っておいて下さってけっこ…


 あ、はい…では、お言葉に甘えまして…


 運ばれてきた料理はとても香りが強く、既に匂いだけでも判る…


 これも、私の意識を全部持って行く、かなり危険なヤツだと。


 料理の名は、カレーと言って、この会議の際は、絶対にこれが出されるそうだ。


 一口…ほんの一口で…意識を全部持って行かれそうになって…


 慌てて水を飲んで、はやる気持ちを無理矢理落ち着かせた。



 な、なんだこれは…?


 たこ焼きも、牛丼も、もはやその比ではない…驚愕した。


 恐ろしい位に美味しいんですけど?

 …美味し過ぎる、本当に美味し過ぎるんですけど?…何これ?


 皆様が、凄い勢いで、次々とおかわりをされている。

 まさか…あのお淑やかなヘンリエッタ様や、上品なリースベラ大臣も、


 あの…国王の横の、高貴な方でさえも…

 笑顔で、早々とおかわりをを要求していた。


 貴方も遠慮しないでっと、ヘンリエッタ様に言われたので、


 遠慮無く、私もすぐにおかわりをを頂いた。


 驚いた事に、このカレーと言う料理を、


 まさかの、真王様が、直々に味付けされた、秘伝の味だと言う…



 皆が料理を絶賛するのは、

 決して王へのお世辞や愛想だけでは無い…


 皆の顔や食べっぷりを見れば、誰でも判る…



 これが、本当にお美味しいからなんだ…実際美味しいし…



 常に戦場の最前線に赴き、

 ついこないだは、迷子の子牛を探され…

 更には料理の監修までするの?


 …王様が?



 ちょっと…理解し難いんですけど?


 一体…真王様って、どんなお方なんだろう…




 ところで…ヘンリエッタ様、その肝心の真王様は、ここで皆とお食べには無られないのですか?


 ああ…今、ここには居ない様に、貴方は思うだろうけれど、


 このお話は全て、ちゃんとお聞きになられて居るし、


 今も見えないだけで、いつも皆のすぐ隣にいらっしゃるのよ。



 …え?それはどういう意味で…?




 まあ…それもきっともうすぐ判るわよ。


 

 それが、我が国の建国の英雄にして、【深淵の主】…

 私達が唯一、絶対の忠誠を捧げた真王、




 シバ様、なのだから…。

 


 


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