表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

10/41

今日は外周区周辺と大きな農業区画でした

 そして次の日。今日も良い天気だ。


 私の職場…そこにはまだ名前は無く、仮に、エッタ様の仕事部屋と、私の中では呼んでいる。


 そして、今日もお掃除とお茶の用意をして、入口でエッタ様をお待ちする。


 はて?噴水の方で何やら騒ぎの様だ。


 まだ大臣様到着まで時間は有るよね…こっそり、見に行こうっと。


 噴水の前には、人だかりが出来ていて…


 驚いた、黒くて大きな魔物が、なんと噴水の水を飲んでいた。


 あれ?何でみんな笑ってるんだ?…

 あんなに大きくて、危険な魔物が出たのに?



 あ?!

 …良く見たらあれ…グリフォンだ…

 何で、獰猛な魔獣が、こんな街のど真ん中に?

 これはいけない、大変だ、

 急いですぐに、軍隊を呼ばないと…


 え?…ヤダ、騎士長様が脚を噛まれる…て…?って?…

 あれ????変だ?


 嘘?

 …あの魔獣…騎士長にじゃれてるの?なに、何なのよ、猫じゃ有るまいし、一体全体、何なのよ?


 あ、騎士長がこっち見てる…

 え?来いって?


 は?…何言ってんのよ、気は確かなのかしら、いや、馬鹿なの?私に魔獣の相手なんて、出来る訳が無いでしょ?



 え?…人垣の全員、こっち見てるけど…


 何でこの人達、この大事に、全然慌ててないのよ?


 ああ、エッタさん、これは…いや、コイツはね、セン…と、おおっ、


 あ?おい判った、判ったから、もう噛むなよ、もう良いだろ?いい加減許せよ、な?


 そこに大臣のエッタ様も到着して、この事件の詳細が明かされた。



 あのグリフォン、この都市を護ってる大きな門の守護獣で、

 名前はセントジョンと言うそうだ。


 時々、噴水の水を飲みに来るのだそうで、


 だから…皆、全然慌てて無かったんだ。

 騎士長には、やっぱり甘えてたそうで、甘噛みだって言ってた。


 言ってたけど?…


 鎧の脚のとこ…かなり酷い事になってたけど?


 グリフォンは、エッタ様には、ご機嫌で頭を擦りつけていた。

 その姿はまるで大きな猫の様だった。



 満足したのか、グリフォンは勢いよく壁を蹴って上の方に登ったあと、

 さっさと飛んでいってしまった…



 私はとにかく怖くて、そこから一歩も動けなかった。


 後でエッタ様には、いっぱい笑われてしまった…


 でもでもだって…


 あれは、怖いですよ、魔獣…

 しかも、グリフォンなんて生まれて初めて見たんですよ?


 しかも、頼りの騎士長が、

 押さえつけれてガシガシ噛まれてて…


 きっと、食べられちゃうんだって思って…

 

 もう、怖くて怖くて…



 まあ…最初は、誰だってそう…なるわよね。フフフフ…


 あの子はね、他の子よりも、特に甘えん坊でね。


 でも、王様が噛んでいいと言った相手以外は絶対に噛まないから、安心して良いわよ。


 ちなみに…兵士や軍人、騎士とかは、王様が悪い事をしてたら噛んで良いって…



 騎士長が噛まれてたのはね、

 きっと、騎士長のスネに、王様の気を感じたんじゃ無いかな?


 多分ね…

 お前、主を怒らせたな?って、


 まあ…ちょっとお仕置きも兼ねてたんだと思うわ、

 ああ見えてね、とってもとってもお利口さんなのよ。


 でも…エルドンさんったらもお…


 貴方ったら、次から次に、ホント、おかしな…人よね、もう、ウフフフフフフ…


 ねえちょっと、酷いですよエッタさん?…


 本気で、笑い過ぎですよ…



 コホン…まあ、とにかくだ、

 アイツらグリフォンが、

 この国の、東西南北それぞれの門を護っててな、


 北門のセントジョン、

 西門のジョンスミスに…

 東門のジョンウィックと、

 南門の…エルトンジョンだな。


 アイツらが居るだけで、門の付近にはどんな魔獣も、ビビって近づけないし、


 あれ見たら、敵の人間も含め、そりゃ簡単には、寄っては来れないんだよな。


 ただ居るだけでも良いって、

 国の防衛に関してはまさに、グリフォン様々、だ…



 たまに、噛むけどな…




 おいおい、エッタさんったら、また笑ってるのかよ?…





 その後、軽くお茶を頂いて、

 騎士長と私は、外周区へと向かった。



 国の整備が入ったとは言え、その街並みは城内と比べると雑多で、少々煩い印象だ。


 多くの国の人種は勿論、獣人に人獣…多くの種族が居て、更には驚いた事に、


 先の大戦国だった、アーマやズク族の姿も、チラホラと見かける。


 ああ、アイツらか?

 アーマもズク族も、ここで揉め事を起こしたら即追放だからな、

 ここじゃ大人しいもんだよ。

 いや…そもそもだ、


 ここの王のお慈悲で、居ても良いって、言われてるご身分だからな、アイツら。


 

 ここは、消火栓は有るが、耳の良い…いや良すぎる獣人らが大勢居るからな、防犯鐘は無いんだよな。



 よし、疲れたろ、あの店で、休憩と食事にしようか。


 いい匂いだろ?


 これはな、牛丼って言って、コイツも真王様のお気に入りでな。


 幾つか店舗は有るが、真王様が選ぶ牛丼なら、大体ここだな。


 騎士長によると、メニューは1種類だけで、

 ここでは自分が食べたい量を頼むのだと。


 騎士長は大盛り、私は普通を注文した。


 運ばれてきた木の器には、白っぽい穀物が敷かれて、

 その上に、肉や野菜…タマネギかな?が、のっかっていた。立ちのぼる湯気とともに、とても良い香りがする。


 突如、騎士長が両手のひらを合わせ…

 「頂きます」っと、そう言った。


 どうされたんですか?私が聞くと、

 いや、ホントに近くに真王様がいる気がしてな…


 ああ、今の、頂きます…は…


 私達が生きて、そして食うって時にはな、

 必ず食われる存在ってのが有るって事でな、


 その尊い犠牲の上に、私達が生きていけると…


 たったひと言で短いんだが、

 まあ…飯の前にダラダラは違うしな…


 その奪われた命に対しての、奪う側の、

 せめてもの感謝の祈りなんだよ。

 

 勿論、これも王様の受け売りで、王の側近は全員、必ず言ってる。

 私は食い気に負けて時々忘れちまうが…

 

 そうだ、良いか、

 王の前では、これは絶対に絶対に、死んでも忘れんなよ、

 即、その場で罰を受けるぞ?良いな…


 「はい、必ず…」


 では、食おうか。


 甘辛なお肉と、柔かくなったタマネギと一緒に、


 汁を含んだ、謎の白い穀物を口に運んだ。

 「…お美味しい」



 ふと正面を見れば、騎士長は凄い勢いで、既に一杯目を完食していて、

 早くも、二杯目を注文していた。


 この柔らかい白い穀物は、米と言うそうで、

 生産量の問題から、

 この城の付近でしか流通してないそうだ。


 たこ焼きも、相当衝撃的だったが、こちらも相当凄い美味しさだった。


 またしても…私がふと気が付いた時には、すっかりと完食していた。



 たこ焼きと言い、この牛丼と言い…


 本当に恐ろしいわ…私の全ての思考を、こうも簡単に奪われてしまうとは…



 そして、一緒に出されたスープは、多少味と具が違ったが、

 前に居住区で食べた、あのスープと同じ物だった。これも美味しいわ…



 

 ああ大満足だな。じゃ…そろそろ行くか。




 次は…大外の軍の基地だな…

 よし、そこらで馬車を拾うぞ…



 

 私達は、側を通りかかった軍の荷馬車に乗って、



 その、軍の施設に向かいました。


 


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ