第51話 第三階層
第二階層のボスを倒し、俺たちは階段を降りて第三階層へやってきた。
そこは、先程までと同じように、迷路が広がっていた。
しかし、その様子は一風変わって通路は広く、更に所々に広間のようなものが置かれていた。
「テーマパークに来たみたいだな、テンション上がるぜぇ〜」
:こ っ ち 見 ん な
:確かに暗殺者ムーブしてるな
ちょっとふざけて視聴者達の反応を誘うと、思っていた通りのリアクションが帰ってきた。
変わったその景色を観察して雑談しながら進んでいくと、枝分かれした道の向こうから敵の気配を察した。
「くるぞ、敵だ」
歩みを止め、足音に耳を澄ませる。すると、その足音は一つではなく、複数聴こえてきた。
:なんか足音多くね?
:確かに、一体の足音では無い
視聴者も気付いたようで、チラホラと声が上がってきた。
ゲリラの対複数戦はこれが初めてなので、万が一が起こっても大丈夫なよう、しっかり準備をして俺は敵を迎えた。
壁の向こうからやってきた敵は、やはり豚頭だった。
第一階層と同じような、手に棍棒を持って腰蓑を纏っただけの豚頭が三、四匹ほど群れていた。
「これなら、いける」
敵の装備と数からそこまで警戒する必要は無いと判断した俺は、早速戦闘を仕掛けた。
先手は俺。
敵は俺の存在に気づいていなかったようで、俺は一番手前にいた豚頭の腹を掻っ切って、膝から崩れ落ちたと同時に首を切り飛ばした。
倒した個体が霧散し始めたのを確認して他の個体の様子を覗くと、豚頭達は動きを止めていた。
おそらく、突然な仲間の死や俺の襲撃に驚いているのだろう。
「腹がガラ空きだぜ!」
馬鹿みたいに立ち尽くしていた豚頭達の腹に切り掛かった。
剣が光を反射して煌めいた後、敵は僅かな抵抗を行うことすら出来ずに倒れた。
これだけではまだ息があるので確実に息の根を止める為首を切り落とした。
:88888888
:最初よりも強くなってる
レベルアップの恩恵だろうか、今日初めてこいつと出会った時と比べて、強くなったことを感じた。
「この階層がこいつらだけなら、負けたりする心配は無さそうだな。こっからはボス部屋まで走るぞ〜」
:おう
:どのくらいで着くかなー
この階層の敵は確認できたし、ここからはボス部屋まで走って攻略する。
次から嫌というほど周回するのだ、初見の対応だけ見せて後は走ってもいいだろう。
しばらく迷路を攻略していき、とある広間を通り抜けようとした瞬間、突然後ろから敵の気配を感じ取った。
すぐにそちらを振り返ると、ほんの1、2秒前にはいなかったはずの敵が広間の中央に現れていた。
「敵!カメラマンさん、大丈夫ですか?」
幸い、大和さんは俺と並走していて被害はなかったようで、配信の邪魔にならないようハンドサインでこちらに知らせてくれた。
「無事らしいから、取り敢えずこいつらは倒す」
視聴者に対して倒す宣言をして、俺は敵を一掃した。
「ふぅ、びびったな。今のはなんだったんだ?さっきまではいなかったはずなんだけど」
敵を倒して一息ついた後、その場に座って視聴者達と話し始めた。
:モンスターの湧き地点がそこで、丁度湧いた瞬間に居合わせたんじゃないか?
:↑それしか無いよな
:でも、そんな偶然あるか?
:偶然だからこそ、今回初めて起こったんじゃないの
コメントの中でも議論は行われていき、俺の意見なども踏まえて、最有力な仮説は『たまたまモンスターの湧き地点に居合わせただけ』となった。
実際に体験した俺もそれに異論はなく、原因はそれということに落ち着いた。
「じゃあ、再発を防ぐにはどうする?今回は敵が弱かったからまだ良かったけど、敵が更に強かったらかなり危険だぞ」
:ゲームでは大体プレイヤーの近くにモンスターは湧かない仕様になっているから、スピードおとしたらいいんじゃ無いか?
:↑俺もそう思う。裕司のスピードが高過ぎたからバグって通った直後に湧いたんだと思うから、スピードを落としたら解決すると思う
解決案を募集すると、なんと俺のスピード出し過ぎが理由だと言われた。
それに反論する意見は全く見当たらず、最終的に俺は結局歩いて攻略することになった。




