第50話 腕力最強
魔力を固めた弾を投げると、それは野球の球の様に飛んで、敵の顔を凹ませた。
「威力すげえなこれ、俺野球の投手の才能あるんじゃ無いか?」
:無いだろw
:そんだけレベルアップしてたらどんなに才能無くてもそのくらいはできるだろ
ぐぬぬ、せっかく自慢したのに、誰も褒めてくれない。
レベルアップの恩恵はかなり大きいとは言えど、これは誇れると思ったんだけどなぁ。
攻撃が頭に命中したおかげで脳震盪を起こしたのか、敵は頭を抑えてふらついていた。
ダンジョンのモンスターにも、脳はあるみたいだな。
なんてことを考えながら、俺はトドメを刺すべく、ゆっくり近づいた。
一度スキルを解除して魔力球を消し、もう一度剣を生成した。
剣を持ち上げて振り下ろそうとした直前、俺はあることに気が付いた。
「ちょっとまて、なんか毎回ボスの倒し方一緒じゃ無い?それだと芸が無いな、何か決め台詞を考えてカッコよく止めるならまだしも、このままだとダサいだけだ」
:よう気づいたな
:指摘しようか迷ってたんだよ
「ごめんごめん、なにか考えないとな。どうしよう。先ず決め台詞か、幾つかパターンを変えるか、どちらか考えるか」
:決め台詞なら、かっこいいやつじゃないと俺は許さない
:別にカッコよく無くても良くね?
:いやこれは裕司に任せるべきだろ
「すまんが、別にお前に許してもらえるもらえないはどうでもいい」
:許さないニキ、袋叩きに遭ってて草
なんか空気の読めない奴が沸いてたが、速攻でボコボコにされて消えていった。
「変な奴が邪魔してきたけど、再開するぞ。俺の意見としては決め台詞よりも倒し方を変える方がいいな。決め台詞って気恥ずかしいし、色々倒し方のレパートリーがあった方が俺はかっこいいと思うな」
俺は別になろう主人公などじゃない。カッコつけてイキるのは俺の担当ではないのだ。
:それでいーんじゃない
:よっしゃ考えるのめんどくさいしそうしようぜ
みんな受動的だなあ、もっと積極的に行かないと女の子にモテないぞ?(※彼女無しによる発言である)
そろそろ敵の状態が回復しそうなので、トドメを刺す。
普段は首を刎ねて倒しているから、今度は心臓に突き刺そうか。
体格は大きいものの、体の構造自体は人間にかなり似ている。それなら、左胸に心臓はある筈だ。
肉で刃が届かない可能性もあるので折れないように補強しながら剣を伸ばし、勢いよく突き下ろした。
敵は断末魔と一緒に血を吐くような動作をしたが、その血が出てくるようなことはなく、エアーゲロしたみたいな感じになってた。
「ちょっと可哀想だな、次からは心臓を刺すのはよしておくか」
:ちょっとこわい
:上に同じく
これからの倒し方を少し考え直して、俺は視聴者達と話し始めた。
「いやー、あの球が意外と火力でて驚いたよ。レベルアップで上昇した腕力のお陰か?腕力は殴るのもできて投げても強い、最強だな。腕力最強!」
:バカなこと言ってら
:まあでも強かったよね
しばらく戦いの振り返りをして、俺達は次の階層へ移動をした。




