第49話 魔法
詠唱を終えた敵が杖を振った。
すると、杖の先端辺りから火の弾が飛んできた。
弾速はかなり速く、咄嗟に回避したことでなんとか避けることができたが、その後に連続して3つほどの魔法が飛んできた。
「やべぇ、避けきれん」
全てを回避するのは不可能と判断した俺は、盾を生成し、ギリギリで魔法を受け止めた。
絶え間なく飛んでくる魔法を盾で防いでいると、しばらくして魔法の波が収まった。
「今のうちに・・・!」
魔法の威力は高く、盾で全てを防ぎ切るのは魔力的に難しい。
この魔法の波を一つの魔法のものとすると、詠唱の長さを考えるとおそらく連続して使うのは無理だろう。
それなら、このクールダウン中に攻撃したら相手は対応できないはずだ。
急いで体勢を立て直して、敵に攻撃を仕掛けた。
俺が攻撃してくるのを見て敵も詠唱を始めたが、間に合うわけがない。
構わずに攻撃をしようと剣を振り下ろす直前、突然目の前に炎の壁が現れた。
「あっつっ!」
その熱波に怯んでしまい、後退りして攻撃することができなかった。
まさか、炎の弾幕の他にも魔法があったとは。
そんなこと全く予想していなかったので、警戒せずに突っ込んでしまっていた。
「やべ、どうしよう。戦いようが無くないか?」
:消耗戦に持ち込めば魔力切れ起こすはず
消耗戦か。いい案かもだが、おそらくジリ貧になるだけだろう。
敵は、今の2回魔法を使っても、全く魔力が減ったような様子がない。つまり魔力の底が見えてないわけで、敵の攻撃を凌ぎ切る前に、俺がやられる可能性がある。
盾は攻撃を受けると削れたりしてその度に魔力で修復しないといけない。
つまり、戦い続けると俺の魔力も消費してしまい、尽きた時には生身で攻撃を受けないといけないのだ。
距離を取ると相手はこちらに一方的に攻撃してきて、こちらは何も手出しができない。
しかし、近くによると炎の壁で俺を妨害してくる。
もっとレベルを上げていれば、もしかしたら簡単に攻略できていたかもしれないが、今すぐレベルを上げるなんてできっこない。
そんな時、とあるコメントが俺の視界をよぎった。
:何か遠距離攻撃手段とかないのか?
そうだ、遠距離で攻撃すれば問題ないのか。全く気づかなかった。こいつはなんて頭がいいのだろう。
遠距離攻撃は何がいいか考えてみたが、弓矢か、銃くらいしか思いつかない。
しかし、これらを作るのはかなり困難だ。
銃は先ずその構造を知らないし、知っていたとしてもそこまで精密なイメージは出来ない。
弓矢は、矢を作るのは簡単なのだが弓が無理だ。
弓を作るにはしなる棒の部分と弦が必要だ。しかし、魔力で作った物体は全て硬く、曲げたりしならせることなんて不可能だ。
遠距離でどう攻撃しようかと悩んでいると、一つ気付いた。
ものを飛ばして敵に当てれば、それは遠距離と呼んでもいい。つまり、魔力で作った球を相手に飛ばせばいいのでは?
やっぱり俺は天才だな。
魔力で生成した球を、力一杯ぶん投げた。
レベルアップの恩恵で身体能力が上がっているので、それは先ほどの魔法にも劣らない速さで飛んでいき、敵の顔面を陥没させた。




