第48話 駆け足攻略
第二階層でも、第一階層と同じように迷路を攻略しながら、敵を倒して進んでいる。
このまま、ゆっくり攻略していこうと思っていたのだが、とんでも無いことに気づいてしまった。
今の状態のままでは、配信に変化が無く、視聴者達が配信に飽きてしまう。
いくら底辺であれど、配信者たるもの、視聴者に見てもらえるようにするのは義務だ。
今日の攻略で配信が盛り上がったのは、新しい敵との初エンカウントや、ボス戦だろう。
それなら、ボス戦までは駆け足で攻略するべきだろうか。
迷路という物の性質上、しばらく同じ絵が続いてしまうことになる。それをどうにかするのが配信者のトークスキルだが、俺にそんなものは無い。
これはRTAにもつながると思うのだが、無いものは別のものでカバーしてリカバリーしなければいけないので、ここでは走者の技術の差が顕著になる。
俺にできることは、マンネリ化が進まないよう、早く走るぐらいだ。
ということで、ボス部屋に到着するまで急ぐ事にした。
道中で遭遇する敵は取れ高なのでしっかり戦って、配信を盛り上がらせる。
どうしても生まれてしまう空き時間は、頑張って話を繋ぐしか無いか。
「今から、ちょっと駆け足で攻略するぞ。ずっと同じ絵ばかりでも、お前らが飽きるだろうからな。とりあえず、ボス戦か何か事件が起こるまで走るからよろしく」
:おk
:りょーかい
視聴者達からの承諾も取れたので、俺は早速駆け出した。
迷路を急いで攻略する。
2択の枝分かれした道は、漢の直感で適当に選んで突進していった。
道中で遭遇した敵は片っ端から叩き潰して突き進んでいく。この階層での敵は鎧を着ているが、ハンマーでまとめて潰せばもうちょっとした誤差程度だ。
走って攻略したおかげで、第一階層では1時間ほどかけて着いたボス部屋に、今度は30分ほどで到着することができた。
:早かったな
:終盤は2択を結構な確率で当てていたから運が良い
「そうだな、やっぱり走ったからか爽快感もあって良いし、各階層に居る初見の敵と遭遇してからは、走った方が良さそうだな」
ボス部屋の目の前に立ち止まって、駆け足攻略の感想について視聴者達と少し話し合ってから、遂に第二階層のボスとご対面する。
ずっしりと重い扉を押し開け、その向こうに待ち構えていたボスの姿を確認する。
相手は、さっきまでに何度も見てきた豚頭に、ローブを羽織っている。その手には、先端に青い球体が付いた杖を持っていた。
「魔法使いみたいな格好してるな。魔法ってことは遠距離攻撃か?それなら今回も超近距離戦で挑むか」
:裕司とは相性の良い敵が多いな
:魔法って何かを飛ばしてくるのか?
前回と同じように、ボス部屋に侵入しなければ、ボスは視界に俺が入っているはずなのに攻撃してくる気配がない。
それを利用して、戦う前に戦法を定めてから、戦いを挑む。
部屋に足を踏み入れた瞬間、ボスは俺の存在に気付き、ブツブツと詠唱のようなものを始めた。
詠唱で動きが止まっているのを好機と見て、その隙に攻撃するべく、駆け出した。
しかし、ボスは部屋の奥の方に居たため、俺が到着するよりも先に相手は詠唱を終えてしまっていた。




