第33話 どつちなんだい!!
話の途中でチャットの場面が挟まります。スマホでご覧の方は横画面にてお楽しみください
授業、HRが終わり放課となって、帰宅の準備をしていると、小楢が声をかけてきた。
「裕司くん、最近楽しそうだけど、何か新しい趣味ができたの?」
「ダ・・・、うん。そんなとこだ。」
全く構えていない状態だったので咄嗟にダンジョンと口に出しそうになったが、口をつぐんで適当に誤魔化した。
「そうなんだ。よかったね!どんなことをしてるの?そんなに楽しいのなら、私もやってみたいな。」
「小楢には、ちょっとおすすめしずらいかもだから、難しいな。すまん。」
「そうなの?裕司くんが楽しそうならそれでいいや。」
説得しやすくて楽なのだが、あまりにも正直すぎて少し怖いな。
彼女がその場を去ってから、また帰宅の準備を終わらせて、そのまま家へ帰った。
自宅の自室で、さっきのことを思い出して俺は悩んでいた。
「ある程度周りに伝えた方がいいかな・・・?それとも、完全に秘密にした方がいいか?」
それはダンジョンを攻略していることを、家族や友人達に伝えるべきかどうかだ。
帰る前に小楢に質問されてダンジョンのことが口に出そうになったが、言葉を飲み込んではぐらかした。
今回はうまく説得できたが、今後も同じようにいくとは限らない。なので、おおっぴらにするか、秘密のままにしておくか、この辺ではっきりさせないといけない気がする。
おおっぴらにする場合は、ダンジョンについてどこまで言うのかも、考えないといけない。でないと、スタンピートについて伝えた暁には、警察に通報されてダンジョンに入らなくなるかもしれない。
そうでなくても、他の人がダンジョンに入って死んだ時、俺に責任がくるかもしれない。そう考えたら、そうする理由よりもそうしない理由の方が多くなってきて、俺の思考は秘密にする方へ傾いていった。
「由香さんに相談してみようかな」
しばらく悩んだ末に、自分の中で決着がつけられなかったので由香さんにチャットアプリで相談することにした。
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こんにちは。相談したいこ>
とがあるんですけどいいで
すか?
由香<あら、どうしたの?何か
困ったことがあるなら、
いつでも相談に乗るわよ
?
ダンジョンのことを家族や
友達に話すかを悩んでて・・・>
由香<なるほどね。私は、家族
には伝えてないわ。心配
されたくないもの。でも
、裕司くんはどうなの?
私は裕司くんがどうした
いと思ってるかが大事だ
と思うからね。
正直言うと俺は、あまり伝>
えたくないです。伝えた時
にもしかしたらダンジョン
に入れなくなるかも・・・と心
配になるので
由香<それなら、伝えなくても
良いんじゃない?ダンジ
ョンのことは、私たちと
視聴者ぐらいしか知らな
いんだし、そのまま秘密
にしちゃった方がいいと
思うわ
相談に乗ってくれてあり>
がとうございます!どう
するか、ちゃんと考える
ことが出来ました
由香<よかったわ。いつでも相
談に乗るからね♡
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由香さんに相談して、自分はこれからどうするか、しっかり考えて決めることができた。
この科学の世界で、ダンジョンというものは規格外だ。そんな世界にダンジョンの存在を公表しても、俺の気が狂って変なことを言っているとしか認識されないだろう。
それならば、もっとダンジョンを俺の配信で世の中に見せつければいい。今は視聴者の少ない過疎配信でも、いつか何かがきっかけでバズる可能性はある。
その可能性を信じて、俺は配信がバズってダンジョンを世の中に認知させようと思う。それまでは、サプライズみたいな感じで秘密にしておくのもやぶさかではないだろう。
悩みが晴れてスッキリした俺は、ベッドにダイブして、そのまま眠りについた。




