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第26話 出会い


「おーい、由香ちゃーん。どこ行ってたの?あ、裕司君もいるー。なになにー、隠れてデートでもしてたの?」


集合場所に着くと、やかましい女性が1人と、狐のお面をつけた人がそこに居た。


「デートじゃないよ!あんた達が来るのを待ってただけなんだからね!ていうか、遅刻しといて、着いてるなら連絡くらい入れなさいよね!」


「ごめんって由香ちゃん。それより、裕司君とはどんな関係なのよ。」


この人はなんなんだ。初対面の人の前で、なんてことを言ってくれる。眉を顰めてその女性を見つめていると、しばらくしてそれに気付いた。


「ん?何か言いたげな目をしてるね。裕司君。」




「あっ、そういえばまだ自己紹介してなかったわね。私は弓川優里、よろしくね。」


「よ、よろしくお願いします。弓川さん、で大丈夫ですよね?」


慎重に挨拶するが、それは無駄だった。


「そんなに堅くしなくていいよ。優里ちゃんって呼んでね。お姉ちゃんでも良いから。」


うーむ、上手く付き合うのは難しそうだ。このタイプは仲良くするのが苦手なので、威嚇する。


「《《優里さん》》よろしくお願いしますね?」


「う、うん。わかったわよ。」


少し圧を込めて言ってみると、すんなり通った。


「由香さん、何のためにこの人たちを呼んだんですか?俺、早速この人のこと苦手になりそうなんですけど。」


「ちょっと優里?裕司君があんたのこと苦手だって言ってるわよ?少しは慎みをもちなさいよね。」


「稲荷。人見知りなのは知ってるけど、挨拶ぐらいはしときなさいよ。最低限、交流は持っておかないと。それに、これはあんたが言い出したことなんだから責任持ちなさいよね。」


そこで無言のまま立っている人は稲荷というらしい。そして、この人が今日のこの集まりを提案したようだ。しかし、人見知りなら人見知りで、話しかけては来るものだと思うのだが、どうしてそこで腕を組んで立ち尽くしているのだろう。


しばらく待っていると、稲荷さんがモゴモゴと話し始めた。


「す、すまない。どうやって話しかければ良いのかわからなかったんだ。ええと、裕司君?よろしく。」


「はい、こちらこそよろしくお願いします。稲荷さん。」


だんだんと声が尻すぼみになっていったが、何とか聞き取れた。ゆっくり挨拶を返すと、そういうことに慣れていなかったのか、オロオロして、そっと優里さんの後ろに隠れたが、何を思ったのか移動して由香さんの後ろに隠れた。かわいいなこの人。声からして多分女性だろうし、いいな。


「ここで立ち話も何ですし、カラオケにでも行きません?」


少し話しずらい空気だったため、わざと空気を読まずに提案してみた。


「いいね!カラオケに行けば、きっと仲良くなれるよ!」


最初に優里さんが釣れた。おそらく、優里さんが賛成すれば・・・


「はぁー、優里が行くのなら、私も行くわよ。何しでかすかわかんないから。」


よし。由香さんも食い付いてきた。この調子ならおそらく、稲荷さんも着いてくるだろう。


「私は、邪魔だろうし帰るね・・・。」


えっ、ちょっ。


「なんでよー。みんな行くって言ってるんだから、稲荷も行くわよ。」


よかった。稲荷さんが帰ると言い出して少し驚いたが、優里さんが稲荷さんを説得してくれたのでみんなで行けることになった。


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