第15話 前哨戦
二手に別れた後、俺はゴブリン5匹、鎧ゴブリン1匹、でかゴブリン1匹、杖持ちゴブリン1匹と対峙していた。
「「「「「ギャアッ」」」」」
相手の様子を見ていると、ゴブリンが5匹、同時に飛びかかってきた。
「そんなのでやられるかよ、バカ」
ティーダとの特訓の成果もあり、簡単に避けることができた俺は、魔力錬成で剣を作った後、カウンターでゴブリンを5匹とも切り捨てた。
すると、仲間を殺されて怒ったのか、鎧ゴブリンが、俺に向かって突進してきた。
冷静にそれを躱した俺は、カウンターで斬りつけた。
「グガァッ」
鎧に邪魔されたが、剣を持っていた腕を斬りつけたおかげで相手は剣を落とし、腕が使えなくなった。
「うぐっ、なんだ?」
攻撃手段を失った鎧ゴブリンにとどめを刺そうと近づいたが、横から岩の塊のようなものが飛んできて、左肩を怪我してしまった。
岩が飛んできた方向を見ると、杖を持ったゴブリンがブツブツと何事か唱えていた。
「あいつが何かしたのか?心配だから、あいつから倒すか。」
まずは相手の出方を探ろうと様子見しようとしたが、でかゴブリンが邪魔をしてきて、うざい。
先にそちらを片付けようかと思ったが、そうすると今度は杖持ちゴブリンから目を放す事になってしまい、攻撃手段を確認することが出来ない。
「ニャア」
八方塞がりになってしまってどうしようかと考えていると、いつの間にかティーダが俺の横に座っていた。
せっかくティーダが横にいるのだから、有効活用しようと思い、ティーダに声をかけてみる。
「なあティーダ、お前にあのでかゴブリンの相手をお願いしてもいいか?」
「ニャオウン」
おそらく快諾してくれたのだろう。ティーダは俺がそう言うやいなや、でかゴブリンに猫パンチを食らわせて、1撃で煙にしていた。
「知ってはいたけど、ティーダって結構強いんだな。今の俺でも、あいつをワンパンできるかは怪しいぞ。。」
奥の手を使えば出来ないこともないかもしれないが、今はまだ見せたくない。
「よし、今度は俺の番だ。あの杖持ちゴブリンをさっさと倒すぞ。」
杖持ちゴブリンは、まだ何かをブツブツと唱えていて、隙だらけなので、今のうちに攻撃すれば簡単に倒せるだろう。
「どうしてこいつは隙を相手に見せて倒される手前まで行ってまで、唱えるのをやめないんだろう、な!」
堂々と正面まで歩いてそこから脳天へ剣を叩き込んだが、本当に斬られるその時まで何事かを唱えるのをやめず、1撃で煙になった。
自分のところにいたゴブリンたちを倒し終わったので、由香さんの方を見てみると、彼女はとっくに倒しきっていたようで、最後までずっとその場で動いていなかったどでかいゴブリン、そして、どこからか現れた追加のゴブリン達と向かい合っていた。
「今から加勢します!」
どでかいゴブリンは、なんと味方を召喚する能力を持っていて、由香さんは攻めあぐねているようなので、一言声をかけてから、俺も戦闘に加わった。




