第13話 ついにコラボ
八女由香さんとのファーストコンタクトがあってから1ヶ月ほど経った。
ティーダとの特訓風景を作業用bgmとして配信したり、彼女とコラボの予定を擦り合わせたりで、あっという間に1ヶ月も経ってしまった。早い。
一度、相手の配信がどのようなものか知るために、配信をのぞいてみたのだが、俺と内容は大した違いはなかった。
しかし、彼女自身がかなりの美人で、俺がコラボして許されるのかと少し不安になった。
俺たちダンジョン配信者は知名度がかなり低く、見ている人も少ないとは言え、このままでは炎上してしまうのでは?と思ったが、彼女の同接数も50いかないくらいらしいのでガチ恋勢が湧いているわけがないし、大丈夫だろうと自分に言い聞かせた。
「でもまあ、コラボができるくらいにはこの界隈が発展してると思うと、最高だな。あとはなんか、めっちゃバズれるようなことが起こればいいんだが。」
そんなアホらしいことを考えていると、待ち合わせの場所に目的の人物が現れた。
「あっ、八女さん、こちらです。俺はここにいますよー。」
周りをキョロキョロと何かを探している様子だった彼女は、俺の存在を認めるとものすごい勢いでこちらに向かってきた。
「やっと見つけた!ふう、こうやって実際に会ってみると、配信で見るよりも小さいわね。よろしくね?裕司君。」
この人、会ってすぐに相手のコンプレックスを指摘するとは、やるな。
「はい、こちらこそ。ご存知でしょうが、小鳥遊裕司です。よろしくお願いします。」
「改めて自己紹介するけど、私は八女由香。タメ口でも大丈夫よ?由香って呼んでね?」
かなりグイグイくるなこの人。それは全然平気なのだが、最初の一言が俺を傷つけてしまったので、残念だ。
「はい、由香さん。よろしくお願いします。あの、身長のことは気にしてるので、できるだけ触れないでください。」
「あら、ごめんなさいね。安易に傷つけてしまっては今後の関係が上手くできないもの。気をつけるわ。」
少し会話した後、俺たちは目的地へ出発した。
この人は、ダンジョンの中ではわかりずらかったが、モデルのように身長が高く、俺はちょっと及び腰になっていた。
胸部装甲はかなりデカく、かなりメリハリのある体つきをしていて、目のやり場にも困るので、どうしようかと視線を彷徨わせていたら、唐突に彼女から話を振られた。
「裕司君って、彼女とかいるのかしら?いないのなら、私がなってあげてもいいわよ?」
「へ?…何言ってるんですか?揶揄うのはやめてくださいよ。彼女とかはいませんけど、流石に知り合ったばかりの貴女と付き合うことはできませんよ。」
「ふーん。じゃあ、しばらく経って仲良くなったら、付き合ってくれるってことでいいのかな?」
この人はどこまで俺をからかったら気が済むんだ。
「それでも、付き合うとかはしませんよ。最初の一言のせいで、俺からの好感度はマイナスですからね。」
そう言うと、彼女はこう返してきた。
「そしたら、これから裕司君からの好感度を上げて、カンストさせちゃえば、解決だね!」
何を言っても通じない。俺がどう返してもポジティブに受け取って諦めようとしない。
「はあ、どうしたら諦めるんだよ。」
「私は諦めが悪いからね、裕司君がOKするまで、ずっとアプローチしていくよ♡」




