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妖怪狩り集団が応援する恋の行方  作者: ちぇすなっと
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主人公とヒロイン登場

午後4時42分、引き戸が固いことで有名な食堂に、小出円佳こいでまどかは昔と変わらないクールな表情でやって来た。

町中ですれ違っても印象には決して残らないような、巧妙に存在感を消すことだけに注力しているような、黒いスカートと白いトップスに身を包む姿。

思わず「え」と口に出る。実に10年ぶりの再会だった。

「いつものでお願いします」

小出は食堂に入るなり、中華あん定食を注文した。


駅前にある食堂『くるくん』は、ごく普通の中華料理店である。

古風な入口に立てられたお品書きには、ラーメンと米類が書かれている。営業時間は午前10時から午後9時まで。一般的な4人がけの席だけではなく、座敷席とカウンター席もある。

経営しているのは僕の祖母で、僕は従業員として働いている。小さい時から僕はこの食堂を手伝うことを決めていて、高校を卒業して以来祖母の家であるこの店に住み込みで働いている。両親とは週に1回ほど会うが、基本的には祖母と二人暮らしだ。

駅前という立地に加えて、少し安めの値段設定(最近は値上げを検討している)にしているおかげか、お客さんの出入りは多い。長年通っている常連さんとも僕はよく話す。祖母の体の調子も悪くなり、最近は厨房での業務を任されている。

店内にBGMはなく、チクタクチクタクと規則的なアナログ時計の音と、壁に掛けられた小さなテレビから流れる天気予報の様子だけが響いている。


小出円佳が現れた時、世界が無音になった。

祖母が僕をわざわざ厨房まで呼びに来たのだ。何事だろう。さっき作ったラーメンに髪が混入していたのか?

そこにいたのが小出だった。昔近所に住んでいたいわゆる幼馴染であり、10歳の頃に転校した少女。肌が白くて髪は長く、儚げで透明感がある。口数は少ないが周囲をよく観察しており、常に学級委員として立候補する積極性があった。

それと……


「久しぶりに鄙山ひなやま君の実家に来てみたけれど、驚くほど変わらないね。お店も、鄙山君も。値段もそこまで変化なし。この物価高な世の中でなんてリーズナブルでフレンドリーな料金なのでしょう。駅に近くて安く済ませたいなら、おそらくすべての人がここを選ぶでしょうね。ランチとディナーの間の混んでいないはずの時間帯でさえお客さんがちらほら見かけられたのは、そういった理由から? それとも、私が来店したことで客寄せ効果が生まれたからなのかしら。その可能性は大いにありそうね。ところで、私のこと、覚えてる? もちろん覚えてるよね? 忘れたとは言わせないよ。ほら、私よ私。隣の客はよく柿食う客でおなじみの小出円佳。いや、『柿の小出』という名のほうがピンとくるかしら?」


僕と話すときだけ、おしゃべりな人なのだ。

リハビリ作品。ギャグです。

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