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1-7

 お雪が何気なく視線を足元に転じると、他とは異なる「岩」があった。それは明らかに誰かの手で柱状に整えられて立っていた。お雪の膝下辺りの高さまで小さく立っていた。

 方形の断面を持つ石柱の前でお雪はしゃがみ込んだ。

 そこには少しかすれた文字が刻まれていた――「白狐塚」と彫られていて、それはここの谷一帯の名称であった。お雪は母親から教わって、その齢の集落の者にしては文字の読み書きが非常によくできて、書物もある程度読む事ができた。

 さらにふと左隣に目を遣ると、上方を仰ぐように僅かに傾斜した大岩の側面に、均したように平らに削られた部分がある事にお雪は気付いた。

 そこには文字が刻まれていた。文章であった。お雪はしゃがんだまま岩に近寄り、側面の雪を手で払い落とした。

 細かい文字は崩れかかり、周囲は暗くて非常に読み辛かった。それでも途中までは何とか読めた。

 ……こんこん山の中 山の中 

 母親探して 歩き回り 

 里を求めて こんこん鳴いて 

 雪の上に 足跡残して ……と縦書きで彫られていた。

 ――何かの童謡の詞だろうか?お雪は考え込んだ。

 前半の句の方にある「母親」の二文字は他の文字と比して相当崩れかけていた。

 周りはいよいよ真っ暗になりかけていた。

 その時に何かが、自分の名を呼んでいるようにお雪には聞こえた。初め空耳だと思った。風の音かとも思った。惑わす狐の声かとも思った。色々思いが巡った。



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