010-005 確かに、盲点でした
「やっぱり、もっと強くなりたいです!」
某日。僕は部室でそう宣言した。
「お、どうしたどうした」
いきなりの僕の発言を揶揄うようにyou先輩はそう言った。
「この間は、you先輩の口車に乗せられて、ドミニオンやっちゃいましたけど、やっぱり大会が近いんですから、バトロワやりましょうよ!」
「え〜、オレは楽しむためにゲームをやるのであって、強くなるためにってのはオレのモットーに反するんよなぁ」
「ええ。だから、you先輩に強制はしません!好きなゲームをやってください!でも、逆に僕には僕の好きなようにやらせてくださいよ!」
「なるほどぉ。一理あるなぁ。いいぜぇ。なら、MoMoちゃんはMoMoちゃんの好きなようにやれば良いさ」
「ありがとうございます!で!お願いなんですが!1つ教えてください。僕はどうやったら強くなれるんでしょうか?」
「結局、オレも巻き込むんかい」
「いや、違いますよ。アドバイスだけ。アドバイスだけで良いので!」
「本当か?『〇〇だけ』って言って、それを守る奴いなくねぇか?『先っちょだけ』って言って本当に先っちょで終わる奴をオレは知らねぇぞ」
「ちょっ!?なんでいきなり下ネタなんですか!?」
「あひゃひゃ!MoMoちゃんはすぐに赤くなって可愛いなぁ」
「…ともかく!アドバイスをください!」
「ん、ぁ?じゃ、2つだけ」
「2つもアドバイスもらえるんですか!?」
「1つ。自分を上げるんじゃなくて、相手を下げろ。2つ。汎用的なコーチングなら、動画が幾らでも上がってる」
「なるほど。2つ目は理解しました。自分でネットを漁ってコーチング動画を見まくれってことですね!」
「ああ、そうだ。正直、オレ達は汎用的なスキルで戦ってないからな。MoMoちゃんはそんな変なところから身に付ける前に、汎用的な、一般的なスキルから身に付けた方が良いと思うぞ」
「わかりました!で、1つ目はどう言う意味なんですか?」
「まあ、2つ目の説明と矛盾するんだけどな。オレの戦闘技術だ。MoMoちゃんは自分が上手くなることばっかり考えてるけどよ、別に相手が下手くそなら、それでも良いよな?」
「確かに、盲点でした。自分と相手の実力差が必要なら、自分を上げるのではなく、相手を下げても同じ結果になりますね。でも、どうやって、相手の実力を下げるんですか?」
「そりゃ簡単な話よ。相手の気を散らせば良い。純粋な1対1なら、相手は100%の実力を出す。でも、他の要因を使えば、それを80%とか60%、もしかしたら、20%にまで下げられるかも知れない」
「他の要因ってなんですか?」
「そりゃ色々よ。例えば、相手がこっちの全員の居場所がわかってないなら、残りのメンバーは何処にいるのかで思考を持っていけるし、第3勢力がいるなら、それも要因になり得るな。とにかく、相手の精神をすり減らせるなら、それ即ち、全部他の要因よ!」
「なるほど…。理解はできました。でも、そのスキルを身に付けるのは難しそうですね」
「そんなこともないけどな。基本的な思考としては、『自分がやられて嫌なことをやれ!』。それだけよ」
「わかりました。心掛けます」
「で、今日は何する?」
「え。バトロワの練習しますけど…」
「え!コーチング動画漁るなんて、家で1人でもできるのに?」
「はぁ。わかりましたよ。部室にいる間はみんなでできることをしましょう」
「あひゃひゃ。それで良し!なぁにやろっかなぁ〜」
僕達は適当なゲームを遊んで、その日は解散した。




