010-004 K.A.I.先輩らしい拘りだなぁ
「よし!またまたオレの勝ち〜!んじゃあ、次のゲームは…」
「いや、ここまでだよ、you。もう良い時間だ」
次なるドミニオンのゲームを始めようとするyou先輩を、そう言ってTomo先輩が止める。
時計を見ると、下校時刻が近付いていた。
結局、僕達は今日、ずっとドミニオンをやっていた。
「おっ、もうこんな時間かぁ。ドミってると、時間忘れるんよねぇ。で、どうよ、MoMoちゃん、ドミニオンは?」
「あっ、はい。面白いと思います。普通のカードゲームみたいに、デッキを組み立てるフェーズと実際に使うフェーズに分かれていないので、デッキに足りない要素に気付いたらすぐに組み込めるのが良いですね。実際の勝負を想定してデッキを構築するのが苦手な僕でも楽しめました」
「そいつぁ、良かった。オレの読み通りだぜ。なんてったって、パ…親父が1番好きなボードゲームだからな!」
「先輩方は、去年とか結構ドミニオンやってたんですか?」
「いんやぁ、ぼちぼちだな。K.A.I.がドミニオン嫌いだからたまにしかやってねぇよ」
「K.A.I.先輩、ドミニオン、嫌いなんですか?」
you先輩の言うことを鵜呑みにして、僕は問う。
「別に嫌いじゃないわよ、苦手なだけで」
「ほら、K.A.I.はマイナーマニアだから」
否定するK.A.I.先輩と補足するTomo先輩。
「わたしは王道で勝ちたくはないのよ。誰もが思い付くようなコンボを使って勝つなんて面白くないじゃない?『村』、『議事堂』、『民兵』とか。わたしは誰も思い付かないような新たなコンボやカードの使い方で勝ちたいのよ!」
「でも、それって難しくないですか?」
高らかに宣言するK.A.I.先輩に僕は横槍を入れる。
「そうなのよ。今日みたいな基本セットだけの場だと特にね。けど、そうじゃなくても、新しくて強いコンボやカードの使い方なんてそうそう見つからないのよ。だから、苦手なの」
「はあ。なるほど」
K.A.I.先輩らしい拘りだなぁ。
「でも、ドミニオンが嫌いってわけじゃないわよ。だから、MoMoがやりたいなら遠慮なく誘ってちょうだい」
「あ、はい。わかりました」
とは言ったものの、K.A.I.先輩が惨敗する様を何度も見せつけられながら、こっちだけ楽しむってのも気が引けるなぁ。
きっとそれを気にしないのは、当のK.A.I.先輩本人と、空気の読めないyou先輩くらいなんだろうな。
気を遣っちゃってドミニオンをやろうとは言えなかったであろうTomo先輩と葵さんの姿がありありと思い浮かんだ。
さて、そんな会話をしながら、僕達は片付けを進め、その後、すぐに解散した。




