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日々原高校ゲーム部  作者: 名波 和輝
010 日常(2041/06)
80/83

010-003 ドミニオン…?


「ドミニオン…?」


 聞いたことがないゲームだ。


 まあ、確かに、僕はアナログゲーム、ボードゲームの(たぐ)いには疎いから仕方がないことなのかも知れないけど。


「ドミニオンはデッキ構築型のゲームだぜ。実際にやってみた方が早いな。初めてならこの辺のカードを使おうかね。…よし、卓、立てたぜ」


「あ、はい。入ります」


 入ったは良いものの、初めてのゲームなので、表示されてる諸々がよくわからない。


「じゃあ、MoMoちゃんは初めてだから、ゆっくり説明しながら行くぜ」


「はい。お願いします」


「ドミニオンはさっきも言った通り、デッキ構築型のゲームだ。そのデッキがMoMoちゃん自身の領土で、その領土を成長させて、ゲーム終了時に最も点数が高い奴が勝利だ」


「なるほど。この『屋敷』ってカードが点数ですか?『勝利点』って書いてあるんですけど」


「その通り!それが1点のカードだ。初期デッキはみんな同じで、『銅貨』7枚と『屋敷』3枚の10枚で構成されているんだぜ。まあ、拡張次第で変わるんだが、今日はスタンダードな基本セットでやってるから、その辺は気にしなくて良いぜ」


「なるほど。みんな最初から3点は持ってるわけですね」


「そそそ。今回の場の場合、点数に関係するカードは4種類。まずは勝利点カードの『屋敷』、『公領』、『属州』の3種類。画面の左側に並んでるだろ?」


「あっ、はい。あります」


 上から、6点の「属州」、3点の「公領」、1点の「屋敷」がある。


「そして、残りの1種類は呪いカード。これはデッキにあると-1点として換算されるカードだ」


「『屋敷』の下にあるやつですね?」


 先程紹介があった勝利点カードが緑なのに対して、呪いカードは紫色だ。


「そうそう。で、サプライに並んでいるこの勝利点カード達を自分のデッキに入れて点数を得ていくって感じだ」


「サプライ、って何ですか?」


「デッキじゃない共通の場に並んでいるカードのことで、基本カード7種類と王国カード10種類の総称だ」


「あ、何となくわかりました」


 画面中央には、確かに17種類のカードが並んでいる。


「一応、説明しておくぜ。基本カードってのが、さっき説明した『属州』、『公領』、『屋敷』、『呪い』の4種類に、『金貨』、『銀貨』、『銅貨』の財宝カード3種類を加えた計7種類だ」


「左側に小さく並んでるやつですね」


「そそ。そして、王国カードってのが、基本カードの右に並んでいる10種類のカードだ」


 基本カードの横に5列×2段で並んでいる。


「この白かったり、青かったりするカードですね?」


「そう」


「ちなみに、基本カードと王国カードの違いって何なんですか?」


「基本カードはどのゲームでも使うけど、王国カードはゲームによって使われるかどうかが変わるんだよ」


「使われるかどうかが変わる?」


「今回使ってる基本セットだけでも王国カードは30種類くらいある。その中から10種類を選んでゲームをスタートするのさ」


「なるほど。王国カードの方は毎回変わるってことですね」


「その通り。それがドミニオンの面白さの所以(ゆえん)さ。ある場では最強カードでも、違う場ではそうとは限らない。場を見極める力がドミニオンでは肝要なのさ」


「なるほど」


「じゃあ、カードの説明を軽くしたところで、実際の1ターンの流れについて説明していくぜ」


「お願いします」


「自分のターンを迎えたプレイヤーは、アクション権1回と購入権1回を持った状態から始まる。まずアクションフェーズを行い、その後に購入フェーズを行う感じだな」


「アクション権って言うのは、この王国カードを使う権利ってことですか?」


「まあ、厳密には種別に『アクション』って書かれたカードを使う権利のことだが、今回の場ではその認識で良い。で、本来はアクションを使えるんだが、1ターン目と2ターン目はアクションは使えない。さっきも言った通り、最初のデッキは7枚の『銅貨』と3枚の『屋敷』で構成されているからな。アクションカードは手札に回って来ないんだよ」


「なるほど(?)」


「ちょうどMoMoちゃんのターンだから、実際にプレイしてみると良い」


「はい。アクションカードはないので、アクションフェーズはスキップして、購入フェーズですね」


「購入フェーズでは手札の財宝カードを出して、サプライにあるカードを買うことができる」


「えっと、僕の手札には『銅貨』が4枚あるので、これを場に出せば良いんですね?」


「そそ。『銅貨』は1枚、1金だ。自分の場に4枚出せば4金までのカードを買える。ちなみに、それぞれのカードの値段、コストは、カードの左下に買いてある数字な」


「わかりました。でも、一体何を買ったら、良いやら…」


「ま、今回はチュートリアルだ。あんまり勝つことは考えなくて良いぞ。それよりもルールを覚えることの方が大事だ。迷ってるなら、まずは『鍛冶屋』を買うことをおすすめするぜ」


「『鍛冶屋』、ですか?えっと、効果は、『+3 カードを引く』」


「そう、アクションフェーズに使うと、デッキから3枚ドローできるんだ。初期手札は5枚だが、そこで『鍛冶屋』を使えば7枚になるってことだな」


「確かに強いですね!買います」


「で、購入権を使い切ったから、MoMoちゃんのターンは終了。自分の場に出して使った『銅貨』、買った『鍛冶屋』、手札に残った『屋敷』は全部捨て札に行く。そして、デッキから5枚カードを補充して次のプレイヤーにターンが回る」


「デッキが0枚になりましたけど、次のターンが終わったら、どうなるんですか?」


「デッキからカードを引く時に、デッキのカードがない場合は、その時の捨て札をシャッフルしてデッキを再構築する感じだな」


「なるほど。つまり、僕が今買った『鍛冶屋』がデッキに入るのは、2ターン目が終わったタイミングになるので、最速でも使えて3ターン目ってことですね」


「筋が良いね。その通り」


 なんて説明を受けているうちに先輩達もターンを終えて、また僕にターンが回って来る。


「次は3金、何を買いましょうか…?」


「そうだなぁ。ここは『銀貨』なんてどうだ?」


「『銀貨』、ですか?カードの絵を見る限りだと1枚で2金ってことですか?」


「その通り。手札は5枚なわけだから、全部『銅貨』でも、5金しか出ないが、そのうちの1枚でも『銀貨』なら、6金まで出る。つまり、『金貨』も買えちゃうわけだ。逆に言えば、初期デッキではどう足掻いても『金貨』は買えないわけだ」


「なるほど。確かに、同じコストを出すにしても、『銀貨』があるのとないのじゃ全然違いますよね。わかりました。『銀貨』を買います」


「ああ。それが良い。このゲームは実は基本カードだけで成り立つんだよね。でも、それだと、手元に『銀貨』や『金貨』を揃えるだけの、ただの運ゲーになっちゃう。だから、王国カードがあるわけで。裏を返せば、基本カードである『銀貨』はゲームを成り立たせられるくらい大事なカードってことだ」


 そして、また僕のターンが回ってくる。


 手札は、『銅貨』2枚、『銀貨』1枚、『屋敷』2枚だ。


「とりあえず、アクションカードはないので、購入フェーズに移りますが。4金。何を買いましょうか…。…この『民兵』ってカードの種別にある『アタック』って何ですか?」


「その名の通り他プレイヤーを害する効果を持つカードさ。『民兵』なら、他のプレイヤーは3枚になるように手札を捨てなきゃならないし、こっちの『魔女』は、他プレイヤー全員は呪いカードを獲得しなきゃならない」


「へぇ、強いですね」


「でも、対抗策がないわけでもない」


「そうなんですか?」


「ああ、この『堀』ってカードが手札にあれば、攻撃を防げる」


「青いカードは防御カードなんですね」


「いや、ちょっと違う。青いカードの種別は『リアクション』。そのカードに合ったトリガーとなる行動が行われた時に、発動することができる」


「トリガー、ですか?」


「ああ、まあ、この基本セットには『堀』しかないし、次の段の『陰謀』って言う拡張セットにも相手のアタックがトリガーとなるリアクションカードしかないから、誰かのアタックカード使用がトリガーって認識でも良いんだが。他の拡張セットだと、誰かが財宝カードを獲得したらってトリガーで発動するリアクションカードもある」


「なるほど。アタックカードと『堀』の関係はわかりました。でも、まだ誰も『堀』を買ってないってことは、今、『民兵』を買えば、絶対に刺さるってことですよね?」


「ああ、その認識で合ってるよ。でも、そうなると、悲しい展開になる可能性がある」


「どんな展開ですか?」


「MoMoちゃんは手札にある『鍛冶屋』を使う。すると、引いて来た3枚の中に、『民兵』があった。どうなる?」


「あ、アクション権がないから、『民兵』が使えません」


「その通り。だから、デッキをアクションカード(まみ)れにするとそんな悲劇が起きかねない。じゃあ、どうすれば良いか?答えは簡単。アクション権を追加するカードを使えば良い」


「アクション権の追加…」


「例えば、『地下貯蔵庫』。手札を好きな枚数捨てて、捨てた枚数と同じ枚数をデッキから引くカードだ。加えて、このカードには『+1 アクション』と言う効果がある。だから、例えば、MoMoちゃんが『屋敷』を3枚捨てて、3枚引いたらその中に『鍛冶屋』があった場合は、その鍛冶屋も使えちゃう」


「なるほど」


「でも、それじゃあ、その『鍛冶屋』を使った時に、『民兵』を引いて来たら、やっぱりその『民兵』は使えないよな?」


「あ、確かにそうですね」


「これは、結局、アクション権が1回しかないから問題なんだ。だったら、アクション権を増やせば良い」


「アクション権を増やすって、2回にするってことですか?」


「そうそう。今回の場だと、『村』と『祝祭』が当てはまるな。これらのカードには『+2 アクション』の効果が含まれる。つまり、アクション権が1回の時に使えば、アクション権が2回に増えるわけだ」


「なるほど。じゃあ、『村』、『鍛冶屋』って使えば、その『鍛冶屋』で『民兵』を引いて来ちゃっても使えるわけですね」


「そゆこと。アクション権が増やすカードがない場では、アクション権が減るカードばっかりデッキに入れると、詰むから気を付けような」


「はい。まあ、でも、次のターン以降に『村』か『祝祭』を買うとして、このターンは『民兵』、買っちゃいますよ!」


「良いんじゃないか?ちなみに、今、『祝祭』ってカードが出て来たから、ついでに説明するけど、『祝祭』には『+1 購入』の効果も付いてる。これは購入権を増やす効果だ」


「例えば、7金出た時に、購入権が1回しかないと、『金貨』を買う一択ですけど、もし購入権が2回あれば、『村』と『民兵』とか、『堀』と『祝祭』みたいな買い方ができるってことですね」


「その通り。選択肢が増えるわけだ。っと、オレのターンか。じゃあ、オレは『礼拝堂』を使うぜ」


「何ですか、そのカード?」


「廃棄するカードだ。さっき説明した『地下貯蔵庫』は()()()カード、こっちの『礼拝堂』は()()()()カードだ」


「何が違うんですか?」


「捨てたカードはデッキとなって戻って来るが、廃棄したカードはデッキから除外されるのよ。つ〜訳で、オレは『銅貨』2枚と『屋敷』2枚を廃棄するぜぇ」


「なるほど。デッキからいらないカードを削除できると言うことですね」


「そそそ。カードを買ってばかりじゃ、デッキが膨れ上がるからな。廃棄カードを上手く使って圧縮するのさ。特に、『銀貨』の下位互換である『銅貨』や、ゲーム中は殆ど役に立たない『屋敷』なんかはさっさと廃棄するに限るぜ」


「なるほど。確かに圧縮すれば、優秀なカードが手札に来る確率が上がりますもんね。ところで、ゲームの終了条件は何ですか?」


「終了条件は2つ。『属州』の山が枯れる。3つ以上のサプライが枯れる。そのどちらか、(ある)いは、両方を満たせば、ゲーム終了だ。その時に最も多くの点数を持っていた奴の勝ちだ。ちなみに、同点の場合はよりプレイしたターン数が少ない奴が勝つ。それも同じ場合は引き分けだ」


「わかりました」


 そんなわけで、僕達はドミニオンを楽しんだ。

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