007-013 これにて幕引き
敵部隊を早々に壊滅させた後、僕達はランドマークを悠々と探索し、装備をしっかりと整えた。
「にしても、困ったねぇ。安地、真逆なんだよなぁ」
「収縮に追われながらの戦闘になりそうだね」
「とりあえず、ここでモタモタしてても仕方ないからさっさと移動しますか。落下の感じから見るに、こっちの方 通ってけば、あんまり敵に遭わないと思うんだよねぇ」
「はい」
「了解」
僕達は移動を開始した。
―――
「銃声。いるな」
「キルログは流れてないし、絶賛交戦中ってところかな?」
「ま、だろうよ。すぐ漁夫れる位置に移動して、終わったら行こうか」
「ああ、わかった」
「はい」
「一望できる位置にぼくは移動するよ」
「見つかるなよ」
「そんなヘマはしないさ」
K.A.I.先輩は戦いに備え、狙撃ポイントに移動し、僕達はすぐに駆け付けられる位置にこっそりと移動する。
「MoMoちゃん。顔を出すなよ。バレたくないから」
「はい。状況はK.A.I.先輩からの報告頼みってことですね?」
「その通り。どうだ、K.A.I.?」
「まだ中距離での撃ち合い中。ファイトが終わるまでの時間は未定だ。展開次第ってところかな。どうする?撃っちゃう?今なら2人は持って行けると思うけど」
「いや、2パ相手にするには位置が悪い。大人しく片方が壊滅するのを待とうぜ」
「了解」
「さて、ゆっくり待ちましょうか」
呑気な口調でyou先輩はそう言った。
暫く銃声を聞くだけの時間が流れた。
銃声の種類はアサルトライフル、時々、スナイパーライフル。
これだけでも膠着状態が見て取れる。
この音だけで戦況を判断できる能力、僕も成長してるってことかな。
銃声の質が変わる。それ即ち、戦況の変化を意味する。
「奥側のパーティが手前側に詰めてってる。まもなく終わるよ」
「K.A.I.、やり合ってる地点にピンを刺してくれ。それと終わったら、合図を頼む」
「了解」
「MoMoちゃん、部長、準備はいいか?K.A.I.のゴーサインで一気に詰めるぞ」
「ああ」
「はい」
ゴクリ。僕は固唾を呑む。
「今」
それがK.A.I.先輩からの合図だった。
その合図と共に、K.A.I.先輩は1人をダウンさせ、you先輩とTomo先輩はピンの方向へと走り出した。
一方で、僕は。僕は、走り出さなかった。
それは感覚的なものだった。
過ぎる直感は、駆け寄るよりも最善の一手を指し示していた。
直感に従い、身体は動き出す。
グレネードを構え、頭上へと投げた。
僕達の奇襲に気付いた敵の2人が、欠けた体力の回復のために、1つの遮蔽の裏へと隠れたのだった。
流石はプロ上位帯と言うべき判断能力か。
奇襲の事実、奇襲の方向、自分達の状況、これらを一瞬で把握し、適切な判断を下したのだった。
何よりも素晴らしいのは、錯乱してすぐに退避しなかったことだ。
K.A.I.先輩の射線を考えずに退避すれば、頭を見せた者から順にダウンしていたことだろう。
けれども、彼らのその反射的に下された判断は、やはり咄嗟の判断と言うしかない。
考慮不足。この一言に尽きる。
しかし、それも仕方がない。それほどまでに事態は切迫していたのだ。
だから、僕が投げたグレネードが遮蔽裏の2人にクリーンヒットした。
「2ダウン!」
僕はその事実を高らかに宣言した。
この時点で勝敗は決していた。
残った1人に与えられた選択肢は2つ。
無様な逃走か、無茶な闘争か。
敵が選んだ選択肢は、逃走。
けれども、K.A.I.先輩のスナイパーライフルはそれを許さなかった。
これにて幕引き。




